先っちょマンブログ

20240329-1

NETFLIXで先週21日(木)から配信が始まったドラマ「三体」を見た。中国のSF作家である劉慈欣の大ヒットSF小説に脚色を加えてドラマ化したものだ。
長らく原作を読もうと思っていたが、動画を見たりゲームをしたりで時間がなく、そうこうしている間にNETFLIXがドラマ化するらしいと知って、「ドラマを見ればいいか」として放置していた。
ハードSFでいうと、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は割引で電子書籍を購入したが、それも読めていない。ライアン・ゴズリング主演で映画化が進められていて、今年から撮影開始、来年か再来年には公開になるだろうから、そちらは映画が封切りになる前に読み終えないといけない。

「三体」は英語では「The Three-Body Problem」となっており、天体力学における有名な三体問題からタイトルが取られている。三体問題とは、互いに重力の影響を受ける物体が運動するとき、その軌道がめちゃくちゃ複雑になり、答えが求まらないという問題だ。

ややネタバレになるが、「三体」では恒星が3つあって三重星系となっているケンタウルス座アルファ星系のアルファ・ケンタウリにある惑星がモデルになっているらしい。地球からもっとも近い恒星系で4光年離れた位置にあり、そこの惑星が3つの恒星のせいでカオスな状況にあり、文明が生まれては消滅するということを繰り返していた。
最終的に恒星の軌道が乱れ、3つのうちのどこかの恒星に墜落してしまった場合、惑星の存在は消え、文明は永遠に誕生しなくなる。
その惑星が三体と呼ばれ、その三体星人が光速の1%の速度で450年かけて地球にやって来ようとし、地球人がそれを迎え撃つという話だ。

中国の文化大革命の時代、中国の異星人交信プログラムに参加していた天文物理学者だった中国人の女が最初に三体星人と交信し、地球の位置を知られてしまう。
中国の小説なので、基本的に原作では中国の話として進むのだが、NETFLIX版では多少変更され、イギリスと中国での話が進むようになっている。

「三体」は中国のテンセントが制作したドラマもある。WOWOWで放送され、現在はU-NEXTやHuluで配信されているが、1時間放送枠(45分程度)が30話の長尺になっている。
三部作の第一部と第二部の最初がちょっと入ったのがNETFLIXで1時間8話。中国版は原作に忠実に作られているらしいが、45分30話はいくらなんでも長すぎる。中国や台湾は100話200話のドラマが普通にあるので、30話なんかなんでもないのだろう。

NETFLIX版では、ドラマ冒頭が文化大革命のときに精華大学で起こった百日戦争のシーンで、知識人である物理学者が紅衛兵に吊るし上げられ、ボコボコにされて死ぬ。その物理学者が殺される様子を見ていたのが、のちに三体星人と交信することになる娘だった。
中国版ドラマでは、この文革シーンが出てこない。原作ではSF雑誌に連載された当初はNETFLIX版ドラマのように冒頭が文革時代の粛清だったが、書籍が発行される際に物語の途中にこっそり入る感じに修正されたらしい。

これについて、福島香織という元産経新聞記者がJBpressに記事を書いていた。

【JBpress】ネトフリ版『三体』に中国の愛国ネット民が噛みつくワケ…文化大革命の残虐シーンが冒頭5分で描かれた真意とは (2024/03/29)

それによると、連載が開始された2006年は胡錦濤が国家主席、温家宝が首相だった時代で、文革を批判的に取り上げることは問題なかった。
2008年頃には文革と同じような粛清政治を行う薄熙来が重慶などで広がっており、習近平が国家主席になって以降は文革批判は完全に禁止された。そのため、小説で文革シーンは目立たないように変更され、中国版ドラマではおそらくあったが、編集で全カットになったようだ。

習近平は文革について一定の評価をしており、自身が毛沢東のような独裁者になることにご執心だ。
だから「三体」のドラマで原作にあるような文革をネガティブに描いたシーンは中国のドラマに加えられない。ひとりの政治指導者の意向がドラマにも反映される国が中国なのであろう。

NETFLIX版の「三体」が面白かったので、中国版にも興味が湧いたが、30話もあることと、いくら原作に忠実とはいえ、いろんな政治的な思惑が働いていることを思うと、見なくていいかと思えてきた。
とにかく続きが気になるが、NETFLIX版「三体」のシーズン2、シーズン3は作られるかどうか分からず、配信されるにしてもいつになるか分からない。第一部が文庫で出て、第二部、第三部もすぐに文庫で出るからそれを買うか、電子書籍を買って読んだ方がよさそうに思えてきた。
世界でもっとも遅く2019年に「三体」が翻訳された日本版は、なかなかいい翻訳に仕上がっているらしい。とりあえず「プロジェクト・ヘイル・メアリー」をさっさと読んで、「三体」も読むようにしよう。

20240328-1

小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害の余波が海外に及んでいる。紅麹は中国や台湾でもよく使われるもので馴染みがあり、小林製薬の紅麹関連の商品が中国の通販サイトでも販売されている。
日本で2名死亡、100名以上入院というニュースが中国で一気に広まり、不安が広がっている。
中国や台湾といった中華圏の国では食品偽装が横行していて、食品になにか得体のしれないものが入っているのを極端に気にする。昨年9月以降に製造された紅麹サプリメント以外では特に健康被害が出ていない状況であるが、紅麹が使われた食品を口にすると死んでしまうかも知れないという感じで話が広まってしまい、軽いパニック状態になっている。

台湾ではどうかと思ってニュースサイトを見に行ったら、あちらでは別の食品による健康被害のニュースがあって、そちらに注目が集まっていた。
台北101などがある台北市信義区の百貨店「遠東百貨信義A13」に入っている素食(ベジタリアン食)のレストラン「寶林茶室」を19日から22日に利用した客のうち、粿条または河粉(フォーのようなライスヌードルの一種)を食べた11名が健康被害を訴えていて、うち2名が死亡、3名が集中治療室で治療、1名が入院する事態となっている。

厨房が原因で食中毒が広まったのではなく、どうやら食材が原因であるとの見立てで、食中毒のほか、急性肝疾患または腎疾患を引き起こしており、米麹由来のボンクレキン酸が原因ではないかとされている。
小林製薬の紅麹サプリメントと似たような感じの健康被害で、話題が完全にそっちに食われた形となった。小林製薬としては中国のようにあることないこと悪い噂が広まっている状況がセーブされているで、ある意味ラッキーかも知れない。
本来なら、DHCが台湾で販売しているサプリメントに小林製薬の紅麹が使われていたので、もっと大騒ぎになってもよさそうなもんだ。

中国では日本に行ったら買うべき「神薬」というのが大手サイトで紹介されていて、12ある「神薬」のうち、5つが小林製薬の製品だ。「アンメルツヨコヨコ」、「命の母A」、「サカムケア」、「ニノキュア」、「熱さまシート」だ。
小林製薬の売り上げで、インバウンド需要はコロナ前の2019年で101億円だった。コロナ禍で16億円(2020年)、3億円(2021年)、7億円(2022年)とかなり落ち込んだが、2023年は74億円まで回復している。
現時点で中国人観光客はかなり少なく、多くが韓国人と台湾人による需要だ。

ちなみに、中国国内での売り上げは使い捨てカイロが23億円、熱さまシートが46億円、それ以外が35億円あるという。
熱さまシートは口にいれるものではないので、紅麹問題があっても売り上げに影響しにくそうだが、それでも小林製薬のイメージが大きく下がっており、内服薬の売り上げを大きく落とすことになるだろう。

とはいえ、2023年の小林製薬の売り上げ1734億円のうち、インバウンド含めた海外売り上げは全体の1割少しというところだろう。国内が非常に重要な市場であるわけだが、中国と同様にイメージダウンは免れず、補償の問題も含めるとかなり問題が長引きそうで、先週まで6000円くらいあった株価が週明けに5000円くらいのストップ安状態に。その後5000円弱を維持しているが、死亡が疑われる人が2名から4名に増えたこともあり、希望的観測がまったく見られない。
しかも間の悪いことに、大阪市内にあった紅麹製造の工場が12月に廃止され、今年から和歌山で操業しており、製造工場の監査ができずに原因究明が難しくなってしまった。原因の成分についてはそのうち明らかになるだろうが、混入過程は明らかにならない可能性が高くなってきた。

雪印乳業が2000年に食中毒事件を起こし、社長が「私は寝ていないんだ」と言って逆ギレしたことでイメージが大幅下落。2002年の牛肉偽装事件で回復不能となり、雪印ブランドだけは残ったものの、グループは解体されることになってしまった。

医薬品を開発して特許などを持っている製薬会社であれば体力はありそうだが、小林製薬は医薬品より医薬部外品、衛生用品が中心だ。「糸ようじ」や「ブルーレット」や「アイボン」なんかは服用しないからいいかも知れないが、企業イメージが下がってしまうと、その影響がボディブローのように効いてくるだろう。

だから、小林製薬は今回の大応に絶対失敗できないが、1月の時点で報告があったにも関わらず、ちんたら調査して、報告したのが3月下旬。批判の誹りは免れないだろう。健康被害の可能性を公表し、商品の回収をすれば自社以外にも多くの企業に影響がおよび、それだけでイメージダウンと金銭的負担の大ダメージとなるため慎重になるのは理解できるが、人の生死に関わるのであれば、ためらっている場合でも、慎重になっている場合でもなかった。

腎疾患で入院した人のニュースを見たが、2パック60粒を2か月かけて飲み終わる頃には排尿が困難になって激しい腹痛を伴うようになり、入院して手術を受けるハメになったという。しかも、手術をしても完全に回復せず、仕事をマトモにできなくなったという。もしかすると死ぬまで人工透析が必要になるかも知れない。
たった2か月分のサプリを摂っただけで、まだ生きてるだけマシだが、人生メチャクチャである。
同様に紅麹サプリメントを摂取した人はかなりの数がいるはずで、程度の差こそあれ、腎臓になんらかの影響が出ていると思う。ネットで購入していれば履歴があるが、ドラッグストアなどで購入していれば、摂取していたかの証明を小林製薬から求められるケースが多く出ていて、さらなる混乱がありそうだ。

小林製薬は12月決算であるため、今日28日に株主総会を行ったが、そこで小林章浩社長が泣いていたらしい。創業者一族の人間として、同社の株式を12%所有し、41歳のときに6代目社長に就任した人物であるが、バカ丸出しだ。こんなところで泣いてどうするのか。
風通しの悪い企業風土のせいでいろいろと対応が遅れたのは間違いない。事後の結果論で責めても仕方がないが、かといって自社や社員、自身の今後の行く末を案じて泣いてる場合ではない。泣きたいのは健康被害が出た被害者とその家族だろう。

小林製薬は対応のまずさで存亡の危機に陥っていると思う。このままだと事業ごとに分社化して、サプリメントを扱うヘルスケア部門を賠償専門の会社として残すことになるという実質的な解体もあり得る。
3年前に新規投入したサプリメントのせいで会社が傾くなんて思っておらず、泣きたい気持ちは分かるが、それでは雪印の寝てない逆ギレ社長と同じだ。
どうやっても傷口は広がるしかないように思うが、少しでも食い止めたいなら、社長が先行してトップダウンで動いていくリーダーシップを見せるしかなかろう。そして、今後は同族経営が悪く言われるに決まっているから、さっさと辞めるしかない。それが不祥事を起こした企業のトップがやるべきことだろう。
自分の代で会社をメチャクチャにしたと思って泣くのは、責任を取ってから好きなだけやればいい。

20240327-1

大谷翔平の通訳だった水原一平がカリフォルニア州で違法のスポーツ賭博に関与したとしてドジャースを解雇された問題が明らかになって以降、朝や昼の情報番組で辟易するほど大谷の金の話ばかりしている。
大谷翔平はこれまでスキャンダルとも無縁の野球バカだったが、個人マネジャーも兼ねていた通訳のおかげで、アメリカで変なイメージが付いてしまった。大谷と直接関係のないところでのスキャンダルであるが、大谷に火の粉が降りかかるのは間違いなく、気にかかるのは間違いないが、なにもハッキリしていない段階でああだこうだと言っても仕方がない。にも関わらず、ワイドショーを中心に情報番組では大谷の金の話ばかりだ。
ついこの間まで結婚相手のことが注目されていたが、それが金の話に移ってしまった。

大谷翔平に関して、野球に関わる動静や試合結果などは気になるが、結婚相手がどうとか、金をどうしているとか正直どうでもいい。にも関わらず、朝や昼のワイドショーを見るオバハンは野球よりも結婚などの生活や金の方が興味があるので、どうしても話題がそちらに移ってしまう。

その件に関して、大谷自身が日本時間の26日(火)朝に質疑応答なしの記者会見で自分の考えを述べ、「彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつみんなにウソをついていたというのが結論」としていた。
大谷がスポーツ賭博をしていたとは思えず、取り調べ対象となっている違法な個人ブックメーカー自身も大谷とは一切関係がないと言っていた。大谷は水原に騙され、昨秋に450万ドルを口座から抜かれていて、それを先週韓国で開催されたパドレス戦初戦後のチームミーティングで初めて知ったらしい。
もしかすると、弁護士とよく擦り合わせしたうえでのウソかも知れないが、あとでバレたら大変なことになるリスクを負うとは思えず、本当のことを言ったのだろう。
会見が遅れたのは、水谷一平が自身の金を横領、搾取したとなると親しい友人だった人物を刑務所送りにすることもあり得るため、いろいろ躊躇するものがあったのかも知れない。

そうなると、通訳がなぜ大谷に口座から50万ドルずつ9回も送金できたかという点だけ気になる。
それについて最近言われているのが、アメリカの銀行口座における「Check Writing Privileges」という仕組みだ。普通、50万ドルという大金を送金する場合、口座に結び付けられた連絡先に本人確認がいく。クレジットカード使用時のSMS認証みたいなもんだ。それがあるから、仮に大谷の銀行口座のオンライン手続きのIDとパスワードを知っていたとしても、大谷のスマホに来る通知で承認しないと送金できない。
だが、「Check Writing Privileges」は振込代理権という意味合いで、口座所有者が任意の人物を代理人にしていできる。その代理人は50万ドルまでの送金は口座所有者の本人確認が行われない。これまで、50万ドルずつ9回、合計450万ドルが大谷の口座から個人ブックメーカーの口座に振り込まれたとあったが、50万ドルずつ小分けにしたのは、金銭の動きを監視する米国歳入庁の監視の目から逃れるためではなく、代理人権限で送れる金額だからかも知れない。

仮に大谷本人が水原一平の違法賭博を知っていて、その借金を肩代わりしようとしたとしても、オンラインでやったらバッチリ記録に残るわけで自分の口座から直接送るわけがない。大谷は水原一平を個人マネジャーのように頼っていて、チームメイトの振る舞う食事やホームランセレモニーで使う兜の手配などもお願いしており、それ以外にも自宅などの生活費の支払いも任せていたかも知れない。経費として使う銀行口座の代理人として水原一平を指定していたことは十分に考えられる。

大谷は記者会見で送金方法について明らかにしなかったが、よく分かっていないのか、捜査があるので黙っていたかのどちらかだろう。
Redditなどアメリカの反応を見ていると、アメリカでは自分の金の管理もよく分かっていないバカのように映っているようだが、本当に金に無頓着で適当にやっていたのだから、そう言われても仕方がない。

大谷は完全にシロであると思うが、そうなると水原一平はなぜここまで愚かなのかという疑問が残る。違法スポーツ賭博で450万ドルもの借金を作り、その返済を工面するため大谷を騙し、彼の口座から金を抜いた。しかも、口座から直接送金してすぐにバレた。
普通に考えたら、あまりにもバカな対応に呆れてしまうが、依存症患者がやりそうなことだと思った。
水原一平は自身をギャンブル依存症だと語ったそうだが、ギャンブルやアルコールなど種類を問わず、依存症患者はその場しのぎをウソをつきまくるもので、極端に視野が狭くなるため後先考えずに行動してしまう。普通なら考えられないような愚かな行動であってもやってしまう。
アルコール依存症の人間が、飲酒を禁止されると墓地へ行って供え物のビールやワンカップを飲んだり、台所にある料理酒やみりんまで飲んでしまうのはよく知られた話だ。本人は悪いと思いつつ、それが止められない。
ギャンブル依存症の患者も似たようなもんで、金を工面するため、周囲にウソをつきまくり、ありとあらゆる手段を講じる。ギャンブル狂の芸人が金を借りる話は笑えるが、依存症でないからまだ笑い話になるのであって、依存症患者が人を騙したり、家族に暴力を振るって用意した金を使ってギャンブルする話は笑えない。
大谷翔平は新天地ドジャースでの開幕早々に笑えない事件に巻き込まれてしまった。

私は麻雀漫画を読むくらいでパチンコや競馬などのギャンブル関係は一切しないし、酒もほとんど飲まないのでアルコール依存症でもない。私が意思が強い人間だからではなく、ギャンブルやアルコールに接する機会がほとんどなく、たまたまいい気分になれることがなかっただけだろう。
鬱病が誰でもなり得る病気であるように、依存症も誰でもなり得る病気であり、専門的な治療が必要なのは間違いない。
自分が依存症になれば、自分の人生をぶち壊すだけでなく、周囲の人も不幸にしてしまう。迷惑をかけたくないと思う大切な人に一番の負担をかけてしまう。今、そうでない境遇にあるならば、ラッキーだと思って自分や周囲に感謝していいと思う。

完全無欠だった大谷翔平が、信頼していた通訳の大ポカを通り越した犯罪行為によってイメージダウンしてしまった。大谷の人となりを知らないアメリカ人からは、自分の違法賭博を通訳のせいにしていると勘違いされている。あんな大金を他人に任せる人間なんていないという理由だ。
疑うメディアがあれば、大谷翔平をいくらでも掘ればいいと思うが、多分なにも出てこないだろう。大谷は余暇があれば寝るか、漫画を読むか、動画配信サービスを見るかくらいしかしていないのではないか。

ある意味世界一退屈なスーパースターが巻き込まれたスキャンダル。今後、大谷が処分されるとかいうことはないだろうが、完璧であって欲しかったのに、通訳が一生ついてまわる傷ものにして、無傷であるのを台なしにしてくれた。
横領以上に罪深い行為ではなかろうか。

このページのトップヘ