先っちょマンブログ

20240314-1

サッカーW杯アジア2次予選で、日本は北朝鮮と3月21日(木)にホーム、26日(火)にアウェイで対戦することになっている。
女子の予選では北朝鮮での試合が行われずにサウジアラビアでの試合になったが、男子は平壌での開催となるらしい。

次の平壌での試合は、テレビ中継がないそうだ。北朝鮮へ経済制裁中であるため、中継の放映権を持つ北朝鮮側に金銭を渡して中継させてもらうということができないのだ。
どういう状況なのか国民に知られないまま、日本代表は試合をせねばならない。

日本は北朝鮮での試合で過去4戦、2分2敗となっており、未勝利だけでなく1点も取れていない。
前回は13年前、2011年11月だった。このとき、日本代表選手だというのに入国審査で空調のない場所に5時間缶詰めにされ、体調を崩す選手もいたという。
特にハーフナー・マイクが「本当に日本人なのか」と執拗に取り調べを受けていた。代表選手の素性など調べれば一発で分かるだろうし、なにより日本代表が不正に北朝鮮に入ってなにかするわけがない。にも関わらず、嫌がらせのために難癖をつけられ、一部の選手は長時間立たされるなどした。
今日発表された代表メンバーには、アジア杯で正ゴールキーパーを務めていた鈴木彩艶がいる。見た目が黒人であるが、13年前のハーフナー・マイクと同じことになるかも知れない。

日本代表が北朝鮮での試合に弱いのには、日本人サポーターがほぼいない完全アウェイの状態であるのも関係しているだろう。
中東や中央アジアといったおよそ観光では行かないような国の試合でも、代表を応援するためのサポーターが数百人はかけつけており、現地サポーターに応援の声量で負けていても、日本代表の応援が現場でも行われているのは中継を見れば分かる。

13年前、サッカー日本代表の応援に熱を上げていた私の父親が北朝鮮に渡航していた。現地で応援するはずだったが、日本人サポーターが座るスタンドには日本人数人ごとに間に北朝鮮の私服の公安みたいなのがいて、周囲を厳しく監視していたらしい。声を出すのもダメ、立ち上がるのもダメ。大声を出したり、立ち上がろうとしようものなら、その公安のようなヤツに朝鮮語でなにかボロカスに言われ、座らされる。黙ってじっと座っていなければならなかったという。

ついでにいうと、試合の翌日に日本人サポーターらは北朝鮮当局が指定する場所に強制で観光に連れて行かれたらしい。父親が土産物屋で北朝鮮の国旗のピンバッチを買っていたが、実に粗末な作りのピンバッチで、ピンバッチすらマトモに作れないのが北朝鮮だというのがよく分かった。

私の父はその北朝鮮観戦ツアーから予定どおり帰ってこなかった。連絡が取れなくなっていて、北朝鮮で死んだのかと思ったら、ツアー会社から私の母親に連絡があり、体調が著しく悪化したため、韓国の仁川国際空港に置いてきたという。
父は予定より1日遅れてどうにか関空まで戻ってきて、母が関空まで迎えに行っていた。北朝鮮で心臓の調子がかなり悪くなり、マトモに動くこともままならなかったらしい。
ただ、北朝鮮でぶっ倒れるわけにもいかないし、1回目の乗り継ぎの中国で病院に行きたくない。どうにか根性で中国から2回目の乗り継ぎ地点である韓国まで飛行機で移動して、そこでぶっ倒れて医務室の世話になった。
韓国で医師の手当てを受け、薬も貰っていた。韓国人の医師が日本人にも分かるよう、ハングルで書かれた薬の紙袋に手書きの繁体字で「藥」と親切に書いてくれていた。この韓国人医師が診てくれていなかったら父親は北朝鮮のサッカー観戦後に韓国の空港で死んでいたかも知れない。

北朝鮮で一般人に薬でも盛っていたのかと思ったが、実際はそうではなかった。指定難病の心臓サルコイドーシスだった。心臓サルコイドーシスはかなり珍しい病気で国の研究対象になっているとかどうとかで、治療費が無料になり、父は心臓に小型のAEDを埋め込んでいた。外見では分からないが、アイアンマンみたいなもんである。
結局、父はその3年後に食道癌で死んでしまうが、北朝鮮で死んだりしなくてよかった。

国家代表のサッカー選手が入境するだけでも大変なのに、北朝鮮から死体を冷凍保存で持って帰ることなど不可能だろう。現地で火葬するにしても、遺族として入境できるか分からない。現地で火葬を任せたら、他人の骨を送り付けてくるかも知れない。

なんで北朝鮮のようなクソみたいな場所でサッカーの国際試合をせねばならないのか。AFCの決定であるが、本当に最悪である。
今度はサポーターが行くことはないとは思うが、行かねばならない選手やスタッフになにもなければいいのだが。

20240313-1

日本時間11日(月)の第96回アカデミー賞授賞式で、アジア人への差別問題がにわかに騒動になっている。
主演女優賞のエマ・ストーン、助演男優賞のロバート・ダウニー・ジュニアがそれぞれアジア系のプレゼンターを無視したというものだ。

授賞式では例年、前年の受賞者がプレゼンターとしてひとりだけ登壇してオスカー像を渡すのだが、今年はどういうわけか過去の受賞者5人が壇上にいて、昨年の受賞者がオスカー像を手渡しするようになっていた。
エマ・ストーンは「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」で主演女優賞を獲得した中国系マレーシア人のミシェル・ヨー、ロバート・ダウニー・ジュニアは同じく「エブリシング―」で助演男優賞を獲得した中国系ベトナム人難民で今はアメリカ国籍のキー・ホイ・クァンからオスカー像を受け取ったのだが、どちらもプレゼンターには目もくれず、壇上のほかの白人俳優の方ばかりを見ていた。

エマ・ストーンに関しては、差別騒動の後にミシェル・ヨーがSNSにエマ・ストーンの親友であるジェニファー・ローレンスが壇上にいたこともあり、彼女と一緒に手渡そうとしてワチャワチャになってしまったと釈明していた。それが本当のことなのか、エマをレイシストにさせないための優しさなのかは分からない。ミシェル・ヨーへの敬意が少なめだとは思うが、差別だとゴチャゴチャ言うほどでもないかも知れない。



だが、ロバート・ダウニー・ジュニアの振る舞いは完全にアウトだ。映像を見れば一目瞭然である。



キー・ホイ・クァンを一瞥もせずに片手でオスカー像を受け取ると、ティム・ロビンスと握手し、サム・ロックウェルとグータッチしている。
これではまるで、キー・ホイ・クァンが授賞式でオスカー像を手渡すための使用人のような扱いだ。これほど露骨な無視をするレイシストが今もいて、それがロバート・ダウニー・ジュニアなのだ

ロバート・ダウニー・ジュニアはヤク中であり、薬物で服役経験もあるなどいろいろ大変だったが、アイアンマンで一躍スターの仲間入りをして、念願のオスカー獲得を成し遂げた。
だが、この差別騒動で全部台なしだ。

彼のファンが極めて贔屓目に見て、授賞式後にキー・ホイ・クァンと肩を組んで写真を撮っていることを理由に差別ではなかったと主張しているが、ロバート・ダウニー・ジュニアの広報担当が慌てて彼に指示をして、火消しのためにゲッティイメージズのカメラの前で写真を撮らせたことが分かっている。

ロバート・ダウニー・ジュニアの振る舞いはとにかく感じが悪く、彼がレイシストであることを否定しようがない。欧米のネットではあまりにも酷いと彼への批判が止まらないが、ロバート・ダウニー・ジュニアは差別騒動について24時間以上SNS等でなんの発信もしていない。Instagramに嫁さんとふざけて撮った写真をアップしただけだ。
もしかすると、本人はアジア人差別の意識はまったくなく、自然にキー・ホイ・クァンを無視したのかも知れないが、そっちの方がむしろ深刻だろう。アジア人俳優などアウトオブ眼中で、握手したり、ハグしたりするような対象ではないのだ。

アジア人を空気のような存在で扱うのは欧米でよく見られる差別だ。無視されたことに戸惑うキー・ホイ・クァンに見られるように、アジア人はおとなしく、ぞんざいに扱っても困惑しているだけだから、それでいいと思っているのだろう。
アメリカの白人の差別意識は、白人がもっとも上、ずっと離れて黒人やヒスパニックがいて、最下層に使用人レベルのアジア人がいるというものだろう。

かつて、クリント・イーストウッドは大の反日の日本嫌いだと言われていた。共和党支持の保守系アメリカ人であり、親族が第二次大戦の日本戦線に従軍したとかあって、映画のプロモーションで日本に来たことがないのは日本嫌いだからではないかと言われていた。
だが実際は、2006年にアメリカ映画としては極めて珍しく日本兵をちゃんとした人間として描いた「硫黄島からの手紙」を監督したし、プロモーションで来日もした。2009年には日本政府から旭日中綬章も授与されており、反日でも日本人差別者でもなかった。単にそう疑われていただけ。

だが、ロバート・ダウニー・ジュニアは絶対に違う。コイツは間違いなくレイシストだ。そうでなければ、あんな振る舞いができるわけがない。
今さら広報やらマネジャーの入れ知恵でなにを発信してもあとの祭りだろう。今後、ロバート・ダウニー・ジュニアが主演する映画のアジアでの興行に大きな影響を及ぼすのは間違いない。

日本人は特別と思っている人がいるかも知れないが、アメリカに行けば日本人も韓国人も中国人もベトナム人も、全部ひっくるめてアジア人であり、軽くあしらわれるのが現実だ。白人はもちろん、白人に差別されてきた黒人からも差別されている。アジア人地位は欧米で相当低い。
ロバート・ダウニー・ジュニアのような振る舞いがあっても、肩をすくめたり、せいぜい眉をひそめるだけで、猛烈に抗議してこなかったからだろう。だからアジア人は軽んじていいと思われ、空気みたいな存在となる。

ロバート・ダウニー・ジュニアがクソ野郎だということは世界中に十分伝わった。このヤク中はもうどうにもならないに違いない。根っからのレイシストだ。
このようなレイシストから欧米で軽く見られないようにするため、少なくとも公衆の面前で無礼な態度を取らせないためにも、アジア人はなんらかの努力をするべきだろう。

20240312-1

11日(月)、中国の全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。
5日の全人代開幕のとき、李強首相が中国政府の活動報告を行った。中国の政治家は演説をするとき、聞き取りやすいようゆっくり明瞭に話すため、中国語を勉強している人間にとっては聞き取りやすくていい。とはいえ、全人代開幕時の首相報告は1時間以上あるのが普通なので、全部聞いていられないのだが。
今回、李強首相はこれまでより短い50分ほどの報告だったという。

また、全人代閉幕後はいつも首相が会見するのが恒例になっていたが、今年は実施されなかった。今回から、よほど特別な事情がないかぎり行わないという方針が全人代開幕前から発表されていた。
数少ない中国政府の体外説明の場をなくしたわけだ。中国政府の会見は事前に質問するメディアとその内容が決められている出来レースが多いが、それでも李強首相のような軽薄そうなタイプは口を滑らせることがある。そのリスクをなくすのが目的なのだろう。

今回の全人代では、今まで以上に習近平の独裁体制がより強まったのが目についた。国務院組織法が改正され、国務院(中国政府)が中国共産党の従属機関であることが法的に示された。普通の国は、政党に所属する、もしくは政党に無所属であっても国会議員が集まって政府を構成するわけだが、中国は一番上に中国共産党があり、その下に政府がある。政府のトップが里強首相で、中国共産党のトップが習近平国家主席だ。つまり、習近平が務める国家主席が中国のトップであると法律で明確にされたわけだ。

この改正で、中国人民銀行(中央銀行)の総裁が国務院のメンバーになったため、中国の中央銀行は共産党の下の中国政府のさらに下という位置づけになった。
習近平は国内政治はもちろん、外交、安全保障、経済、金融、すべての分野を指導する立場となり、独裁国家の基盤固めがさらに進んだ。
かつて、鄧小平が毛沢東の独裁政治を反省し、絶対的指導者の独裁国家とならないよう国務院組織法などが作られたはずなのに、自身の毛沢東化を進める習近平がそれをなかったことにしてしまった。

ついでに中国は、全人代の前に保守国家秘密法を改正している。5月1日から施行される法律で、早い話が国家機密を守るために中国人のみならず外国人も厳しく監視し、中国人の公務員であっても辞めたあともずっと機密保持の対象になるからななどというものだ。

【安全保障貿易情報センター】中華人民共和国保守国家秘密法の改正について (2024/02/28)

産経新聞の記者だった福島香織が習近平独裁体制を強化するもので、中国では市場調査すら不可能になるのではないかと解説していた。中国の法律は曖昧なものが多く、恣意的運用が可能だ。この法律でも「工作機密」なるものの定義が不明だ。日本語でいうと「業務機密」ということだが、国家機密ほどの重要機密ではないものの、公開することで当局の仕事に影響を与えたり損害をもたらす情報ということになっている。
こんな規定だったとしたら、「損害が出た」と言われればどんなものでも漏洩してはならない業務上の機密になってしまう。

反スパイ法でも同じだが、基本的に中国国内で人民や外国人を取り締まる法律は恣意的運用されるため、逮捕理由が分からない。普通の法治国家ではあり得ないが、反スパイ法違反では裁判も非公開となるため、外部からは裁かれている人がなんの罪で捕まり、なにで有罪になったのか分からない。

これが激ヤバなのは誰にでも分かると思う。中国で普通に仕事をしていただけの日本人が捕まり、反スパイ法違反で有罪になり、10年以上刑務所に入れられるというケースが増えてきた。
今後はそれがより一層厳しくなると予想される。

これがあるから中国でなんか仕事をするもんじゃない。仕事で中国の半導体工場や液晶モニタ工場に行ったが、そういう仕事だと私のような末端の人間でもどうなるか分からない。
普段、半導体工場などのクリーンルームに入る場合、作業服を着て工場に出入りするが、中国では会社から作業服の着用が禁止されていた。中国では作業服を着ているような工場の工員に見える外国人は違法労働者と見なされやすく、それが日本人であっても警察に連行されて取り調べを受けることがよくある。
そうなるとめちゃくちゃ面倒なことになり、スマホにある写真やメモ帳にある日本語のメモの説明を全部させられたりする。中国語が話せないとより最悪なことになるのは容易に想像できるだろう。何日も出られず、留置場で数日過ごすなんてことになる。

中国から外国企業やその従業員が多く引き上げているというニュースがあるが、当然だろう。これまでは大したことなかったが、ここ数年は中国で仕事をするリスクがかなり高まった。違法行為など一切していないのに、リスクを負いながら仕事なんか誰だってしたくない。

昨年、小島瑠璃子が中国の芸能界デビューを見据えて中国の大学に留学すると発表して、「正気か」と耳を疑ってしまった。日本でそれなりに売れているのだから、中国で芸能活動なんかする必要がないのに、わざわざ制限だらけの中国に行くなんて、正気とは思えない。
普通のサラリーマンなら中国赴任なんぞ嫌がるが、自分から行くなんてどうかしている。

2年前のエントリで、「乘風破浪」という中国の人気オーディション番組で、私が好きな台湾人歌手の王心凌が優勝した際、番組の最終回で総合順位が発表される前日に、中国のSNSに「只有一個中国」(中国はひとつだけ)という投稿をした。それまで政治発言とは縁遠かったのに、優勝発表直前に、台湾本島が中国の国という文字の点としてデザインされた標語を投稿したのだ。

ひとつの中国への不安 (2022/08/07)

明らかに優勝のための踏み絵である。総合優勝したおかげで、王心凌は中国で大ブレイクし、それ以来中国で頻繁にコンサートを開催している。それまで、CD発売に台湾でサイン会と握手会をしていた芸能人だったのに、雲の上の存在になってしまった。

今年開催の「乘風破浪」のシーズン5に、前田敦子が出場すると週刊文春が報じていた。AKB48のメンバーとして、中国で少しだけ知られている前田敦子にオファーがあったらしい。
「乘風破浪」のオーディションなんて出来レースであるので、招待された前田敦子は最後の方まで残るかも知れない。そして、王心凌と同じように政治発言させられるに違いない。

それを危惧していたら、今度は週刊ポストが「中国進出が経ち消えになった」と報じていた。文春報道が中国でも出回り、AKB48時代に靖国神社の桜フェスティバルでライブをしていたことや、自衛隊の広報誌に登場していたことが問題視され、番組に抗議が多く寄せられた結果、出演がキャンセルになったという。

一般人でも芸能人でも、仕事であっても観光であっても、もはや中国は渡航先にそぐわない国になった。いつ捕まるか分からないし、なにをやれと言われるか分からない。
なんの自由もなく、ありとあらゆることが秘密である国が中国で、外国人にとっては滞在するのが危険な国でしかない。
君子危うきに近寄らずというだろう。少しでも知恵があれば、できるだけ中国の滞在は避けた方がいい。

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