先っちょマンブログ

20160117-1

台湾の総統選は事前の予想通り、民進党の蔡英文主席が勝利し、同時に行われた立法院(国会)の選挙でも民進党が大躍進。与党だった国民党は総統選でも敗れ、立法院でも多くの議席を失い、歴史的大敗となった。

国民党の歴史的大敗の原因はもちろん馬英九政権にある。支持率が9%にまで下落し、「馬英9」と呼ばれた台湾総統は、台湾総統として初めて中国共産党のトップの習近平と会談するほど中国寄りの姿勢を見せたわけだが、中国に擦り寄ったところでいいことはなにもなかった。
初当選したときも2回目のときも、中国との経済的な繋がりを重視した台湾人の支持を集めたが、台湾経済が上昇することもなく支持を失った。
馬英九が2014年に強引に進めようとした中国との自由貿易協定では猛反撥が起こり、学生らがひまわり学生運動を起こし、大規模な反対集会や立法院の占拠を行ったことは記憶に新しい。

台湾人のホンネとしては、「大陸との経済的な結びつきによって利益を得たいが、中国人に見られることはまっぴらごめん」というのが大勢を占める。中国との商売はしたいが、自分たちは道端やディズニーランドの順番待ちで子供にウンコをさせる人間ではないと思うのは当然だろう。
しかし、台湾独立を訴える人は案外少ない。やはり中国との経済的な関係がある以上、そこでゴチャゴチャ揉めても損が大きい。台湾人は理想論者は少なく、現実主義者が多いのだ。
実際、国民党から分裂し、「台湾独立反対」を訴える親民党の宋楚瑜主席が予想を覆し100万票以上集めた。「国民党がダメなら民進党」という人が意外に多いのだ。

それはともかく、台湾が民進党政権に変わったことにより、日本と台湾の関係はさらにいいものになりそうだ。蔡英文主席は昨年に安倍首相と密かに会談していたとされており、安倍首相とインドのモディ首相のような仲になるかも知れない。安倍首相は民主党政権の親中首相連中と異なり、台湾を重視しているからだ。

台湾での民進党大勝、国民党大敗の結果はこれからの数年を見据えると大変いいニュースだった。
その台湾総統選が台湾で盛り上がり、いい結果が出た一方、総統選前日から当日にかけて中国と台湾の関係にまつわる非常に悪いニュースがあった。

先週12日(火)のエントリで、中国の黄安というタレントが自身のSNSで次々と「香港独立派」や「台湾独立派」と認定したタレントを糾弾し、そのターゲットにされたタレントが中国でテレビ出演が取りやめになったり、中国での芸能活動が禁止されていると紹介した。
そのなかで、韓国のTWICEというガールズグループの台湾人メンバー・周子瑜が韓国のテレビ番組で台湾の国旗とされる青天白日旗を持つなどしたことが黄安の目に止まり、「台湾独立派」として糾弾されていることを危惧したのだが、それが現実となってしまった。

"中国人"タレントの末路 (1/12)
【産経ニュース】韓国アイドルグループ「TWICE」の台湾出身ツウィに“台湾の旗を振った”と批判殺到 中国での活動休止にビデオで謝罪 総統選への影響も (1/16)

黄安が糾弾したこと受け、北京のテレビ局がTWICEが出演していた中国の春節の歌番組においてTWICEの出演をカットする動きを見せていた。それに焦ったTWICEの所属事務所であるJYPエンターテインメントが、周子瑜に謝罪をさせる動画をYouTubeなどの動画サイトにアップした。ちなみに、中国ではYouTubeを見られないが、この事務所はいったいなにを考えているのか。

この動画で周子瑜は、テレビ番組で青天白日旗を持ったことを謝罪したうえで、「中国はひとつです。私は中国人です」と発言した。



どう考えても事務所に言わされている。たかだか16歳の女の子が「私は中国人です」と言わされて台湾人としてのアイデンティティを否定させられたのだ。さらには所属事務所からひとりだけ中国での活動禁止を言い渡され、グループ内でひとりだけ干されることになってしまった。
すでに台湾では政治問題化しており、総裁選で候補者がそれぞれこれに言及していた。

これほどの人権侵害を許していいのだろうか。問題は中国にあるわけだが、それと同じくらい問題なのがTWICEが所属する韓国の芸能事務所JYPエンターテインメントである。
JYPは韓国の三大芸能事務所のひとつらしいが、そのような大手事務所がこうも簡単に中国に屈服し、なんの罪もない16歳の女の子を酷く傷つけ、ひいては台湾人も侮辱したのである。
周子瑜は事務所の指示で台湾の国旗を持ち、テレビ局の演出で自己紹介の名前に台湾の旗を入れられた。それなのに謝罪をさせ、挙げ句の果ては「ひとつの中国」、「私は中国人」と言わせた。親日問題で叩かれた楊丞琳が謝罪会見の場で「私は中国人です」と言わされたのと同じだ。

所属タレントにこんなことをさせる芸能事務所が許されていいわけがないが、韓国ではこれが許されるのであろう。自分たちが中国で商売するための足枷は取り除いて当然で、ひとりの女の子の人権やプライドなど知ったことではないというわけだ。

台湾の総統選の裏で、考えられないような酷いことが起こっていた。これは「海外の芸能人や芸能事務所の話」で済むような内容ではない。中国の政治的な言論弾圧に手を貸すような韓国の芸能事務所を許してはならない。
幸いにも日本の芸能界は中国と縁遠いため、このようなことは起こらないだろうが、これと近いことはよくある。政治家や財界人はたびたび中国に与するような発言をする。とても許されないような発言をするヤツもいる。

中国市場という毒まんじゅう食った韓国の芸能事務所は正義や正常な感覚を失ってしまった。
日本人はこうであってはならない。

20160115-1

うちの母親が昨年、シルクロードを巡る中国旅行に行ったとき、一緒に行っていた知り合いからモロッコ旅行に誘われ、今年2月に行くと言っていた。モロッコの風景の美しさを吹きこまれたらしい。
母には「モロッコみたいな北アフリカのイスラム教国はやめとけ」と言っていたのだが、どうしようか悩んでいた。パリでイスラム国による同時多発テロが起きて、ようやく旅行を取りやめる決心がついたようだ。まだ予約もしていなかったから金銭的負担はなかった。

ここへきて、トルコのイスタンブールで観光客を狙ったテロが起こり、インドネシアのジャカルタでも爆弾テロが起きた。どちらも無関係の観光客や市民が死亡し、テロリストはいずれもイスラム国に関係しているヤツらしい。
こういうのを見れば、母はモロッコ旅行をやめたのは正解だった。海外旅行に行きたいのならイスラム教徒とのトラブルが起きていないような国へ行くべきである。ウイグル問題を抱える中国に行ったのはどうかと思うが、中国に旅行に行くというと絶対に私が反対するので、母は私の嫁さんにしか伝えていなかったので止めようがなかった。

海外旅行に行ってテロに巻き込まれる可能性は、搭乗する飛行機が墜落する可能性よりやや高いくらいかも知れないが、テロの不安を抱えながら観光したところで面白くもなんともない。イスラム教国より遥かに安全な国があるのだから、あえてイスラム教国に行く必要などない。

「イスラム教徒の大部分は安全」などと言うヤツがいるが、テロを起こすような原理主義者がほかの宗教より圧倒的に多い。キリスト教や仏教にはカルト集団みたいなのがいたとしても数は少ないし、誰か他人をぶっ殺そうとするのはもっと少ない。同じイスラム教徒だろうが異教徒だろうが、他人を殺しまくるのはイスラム教徒だけだ。

これで世界でイスラム教徒によるテロが起きると、それらがすべてイスラム国主導であったとしてもイスラム教徒を排除したくなる気持ちは理解できる。ドナルド・トランプが「イスラム教徒は入国禁止にする」と息巻いていたが、そういう意見が出るのも仕方がない。具体的にどうやってイスラム教徒を入国させないのか方法が疑問ではあるが、災ばかりもたらすイスラム教徒を歓迎する国などなくて当然ではないか。

とにもかくにも、「君子危うきに近寄らず」である。このご時世、イスラム教徒が大勢いるようなところには近づかない方がいい。日本でも2019年のサミットや2020年の東京五輪でのテロが警戒されるが、今のところがイスラム教徒のテロリストを警戒するようなレベルでもなさそうだ。だから、国内旅行がもっとも安心できるに違いない。

そう思っていたのだが、今朝になって軽井沢でスキーバスが道路から斜面に転落し、運転手と乗客の14人が死亡、27人怪我という大事故が起こった。長距離バス、特にスキーバスはどれだけ規制を強くしても毎年重大事故を起こしている感じがする。
イスタンブールのテロでも死者10人なのに、テロでもない事故で14人も死んでしまった。安全だと思っていた国内旅行も危ないではないか。

そんなことを言い出したら、旅行はおろか通勤でも事故に巻き込まれる恐れがあり、どこにも外出できなくなる。
しかし、どこにも出かけないのがもっとも安全なのは間違いないと思う今日このごろであった。

20160114-1

昨年、仕事で台湾に行ったとき、タクシーに乗ったら後部座席から見える運転席のヘッドレストに次のようなステッカーが貼ってあった。
20160114-2
「乗客請繋安全帯」は「乗客にシートベルトの着用をお願いしています」という意味だ。台湾は2012年2月から乗用車の後部座席でシートベルトの着用が義務付けられ、違反したら罰金を払わねばならない。
そのお願いの下に小さめの字で書いてある文章は、「たとえシートベルトをしなくても、運転手を殴らないでください」という意味である。
多くの日本人にはなんのことか分からないが、台湾人ならほぼ分かる内容になっている。

後部座席でのシートベルト着用が始まってすぐの2012年2月3日、台湾でMakiyoという芸名で活動している日本国籍のタレント・川島茉樹代(日本と台湾のハーフ)がタクシー運転手への暴行事件を起こした。運転手にシートベルト着用を求められたことに腹を立て、同乗していた友寄隆輝という半グレのチンピラに運転手をボコボコにするようMakiyoが命令した事件だった。
運転手はクモ膜下出血を起こし、肋骨を折るなど一時は意識不明の重体となった。Makiyoらはその運転手を放置し、別のタクシーを拾ってホテルに帰ったという。

東日本大震災に対して台湾から多くの支援があり、日本と台湾の友好関係が深まっているなかで日本人が台湾で起こしたこの事件によって、対日感情が悪化し、馬英九まで出てきて真相解明を指示するなど大騒ぎになった。
結局、ふたりの日本人は執行猶予付きの有罪判決を受けた。Wikipediaには事件の顛末を記した中国語の記事がある。

【Wikipedia】茉樹代等毆打計程車司機事件

このMakiyoという女は事件後の記者会見で「支払いのときに運転手に胸を触られた」と虚偽の発言をし、友寄隆輝とかいうチンピラは「運転手の態度が悪かった」「背中を蹴っただけ」と言い訳するなど、こいつらは極めて悪質である。
私が乗ったタクシーの運転手は、この事件になぞらえて作られたジョークステッカーを貼っていたわけだが、日本人として恥ずかしい気分になった。

ちなみに、くだんのタクシーにはほかに湘瑩(王書喬)、ㄚ子という台湾人タレント2名が乗っていた。Makiyoを含めたこいつら3人が今はどうしているのかと昨年2015年に新聞記事になるなど、「あの人は今」状態になっている。いずれも細々と芸能活動を続けており、特にMakiyoは台湾や中国で知られていたため、今でもそれなりに仕事があるらしい。

そのMakiyoであるが、最近少しだけ注目を集めた。先日のエントリで書いた台湾独立派の芸能人を自身のSNSで吊し上げ、中国での芸能のキャリアを終わらせようとしている「台湾独立派バスターズ」を気取る黄安がターゲットにしているらしいと中国でネットニュースになっていたからだ。
黄安は吊し上げのターゲットとして、「日本人の血を引く台湾の女性タレントで泥酔事件を起こしたヤツ」を挙げており、どう考えてもMakiyoしかいないのだ。

今さらこんな三流タレント、しかも台湾人ではなく日本人のタレントを吊し上げしてどうするつもりなのか知らないが、義憤に駆られた黄安にとってはターゲットはなんでもいいのだろう。

Makiyoが台湾独立を支持したのかどうかは知らないが、どちらかというと日本人のハーフだからやり玉に挙げられている感じがする。
こうなってくると、日本人の血を引く台湾のタレントや、親日の台湾タレントが吊るし上げられるのではなかと思わずにはいられない。台湾には「日系」をウリにする日本と台湾のハーフの芸能人が多いし、哈日族(ハーリーズー)と呼ばれる親日台湾人のタレントも多い。

親日芸能人の代表が、国民的アイドルの羅志祥と楊丞琳だろう。ともに日本語が結構喋れて、通訳なしで日本のメディアのインタビューを受けたりしている。
羅志祥は日本語学校に通ったわけでもなく、大好きな志村けんの番組を台湾で見ているうちに自然に日本語を覚えたなどと言っていた。
楊丞琳はバラエティ番組のクイズコーナーで日中戦争の期間を答えられず、答えを聞いて「たった8年?」と言ったことが中国で問題視され、中国での芸能活動を4年も干され、涙ながらの謝罪をしてようやく許された過去を持つ。普段から「前世は日本人だった」などと言っていたことも問題視されていた。
13年前も前だからこの程度で済んだが、今だったら永久追放モノかも知れない。今になって蒸し返されないかという問題も抱えている。

羅志祥は、尖閣諸島の国有化で中国が荒れていたとき、日本でイベント活動をする予定だったがキャンセルし、中国の尖閣熱が落ち着いた頃に開催するということがあった。中国に目をつけられて、大陸での仕事に影響することを懸念した所属事務所の決定であった。
台湾のちゃんとした芸能事務所は常に中国に気を遣っている。既に中国のご意向には逆らえなくなっているのだ。

台湾の親日家芸能人が中国人に難癖つけられないよう気をつけているなか、なんにも気にしてない度を越した親日のグラビアアイドルがいる。辜莞允(愛称NONO)というタレントは、普段からInstagramやFacebookで日本好きを公言し、日本の小説、アニメを読み、日本のドラマや映画を見てファンにお勧めしている。特に東野圭吾と小栗旬が好きらしい。日本の犬ということで、柴犬も飼いはじめた。
彼女は百田尚樹の「永遠の0」も「涙腺崩壊するから必ず読んで」と勧めていた。日本人の私でも涙腺は崩壊しなかったが、とにかく感動したらしい。
「永遠の0」のような"右翼認定書"をお勧めしたことがチクリ屋の黄安にバレたら大変なことになりそうだが、台湾でしか活動していないから関係がないのかも知れない。
20160114-3
黄安がここへ来てやたらめったら「台湾独立派」の台湾人を叩きまくるのは、16日に控える台湾の総統選で民進党の蔡英文候補の勝利が確実視されていて、それを気に食わない中国政府の意向を汲んでのことなのだろう。これまでの国民党から民進党の台湾に変わり、大陸と距離を置かれ、台湾への影響力が衰えるほか、台湾がアメリカや日本と近くなることが死んでも許せない。
そうなると、ますます台湾独立の意見が進むことを懸念し、中国が誰かれ構わず台湾の芸能人を台湾独立派に認定してくるだろうし、親日家も漢奸(売国奴)扱いして大陸の仕事から干すに違いない。
となると、台湾の芸能人の間で親日機運が沈み込んでしまいかねない。

日本を紹介する台湾の旅行番組や、プライベートで日本に旅行に来ている芸能人のSNSを見るのが楽しみなのだが、それが徐々に減っていくなんてことがなければいいのだが。

このページのトップヘ