昨日、5年ぶりに開催された「M-1グランプリ」を見て軽い衝撃を受けた。トレンディエンジェルが優勝したからである。
10年間実施され、島田紳助の芸能界引退とともに消えた「M-1グランプリ」が復活するということで、嫁さんと楽しみに見ていたのだが、敗者復活枠でトレンディエンジェルが勝ち上がり、予選9組のうち2位でファイナル3組に残り、そこから審査員9人の評価で優勝が決まった。
敗者復活戦のネット投票で、2位のとろサーモンに大差をつけるブッチギリの1位だったことで嫌な予感はしていた。その嫌な予感どおり、勢いだけの漫才であれよあれよという間に勝ち上がった感じがしてならない。
私も嫁さんも、トレンディエンジェルのネタは「漫才ではない」と思うような"漫才原理主義者"で、トレンディエンジェルが敗者復活から勝ち上がったことも不満だったが、本戦でネタを披露して2位につけたのもどうかしていると思った。
そして、「トレンディエンジェルの優勝だけはない」と思っていたのに優勝してしまった。
ジャルジャルが出てきたときも、「ジャルジャルなんて漫才ちゃうやろ」「コイツら嫌い」と言いながら見ていたのだが、意外と面白かった。最後はジャルジャルか銀シャリで「優勝はジャルジャルかな?」などと夫婦で言い合っていた。
嫁さんは横須賀で生まれ育ったが、滋賀に嫁いで関西のお笑いに馴染みすぎ、漫才番組は欠かさずに見て、ときには劇場まで足を運ぶようになった。私も昔からお笑い好きで、M-1にはそれなりの思い入れがあったが、正直この結果にはガッカリである。
インターネットを見ていると、私と同様にトレンディエンジェルの優勝を不満に思っている人が結構いた。その人たちは、私と大体同じ意見で「あれは漫才ではない。勢いだけ」という論評が多かった。
それでも、Yahoo!の意識調査を見ると、どの組が面白かったかという質問で34%の得票を得てトレンディエンジェルがダントツのトップになっている。
【Yahoo!意識調査】「M-1グランプリ2015」 あなたが一番面白いと思ったのは?
テレビを見ながら、トレンディエンジェルに投票した審査員に「アホか」と思ったが、これが国民の多くの見方、一般的な見方であるのかと愕然とさせられた。
お笑いの好みは人によってまったく違うが、ここまで理解できないのも珍しい。私も嫁さんのなかでは、見る前も見たあとも銀シャリ、スーパーマラドーナ、和牛の評価が高かった。ジャルジャルも意外と面白かったし、よく稽古できていると思ったが、決勝ファイナルで同じようなネタはややくどかったかも知れない。
自分が常に多数派に所属するとは思わないが、それでも少数派の方に属すると多数派の方を「なんでやねん」と思ってしまうことがある。
例えば、毎日新聞が週末の5~6日に行った世論調査で、51%の人が選択的夫婦別姓に賛成したのだという。それだけ見ると「はぁ?」と思うが、その上で夫婦で同じ姓を選ぶとした人は73%で、夫婦別々の姓にするとした人は13%だったという。
これをよくよく考えてみると、「自分は配偶者と同じ姓にするけど、よその家で別々の姓にしたいヤツは勝手にしろや」という人が国民の半分くらいということか。
そう言われると理屈は理解するが、個人的には日本に夫婦別姓の制度が導入されるのは好ましくないと思う。
このように、自分の意見が多数派なのか少数派なのかは気になることは気になる。だからといって意見を変えるわけではないし、多数派が正しく、少数派が間違っているということもない。
しかしながら、この多数派、少数派でいうと、なんとなく少数派に属している方がカッコイイ感じがしないでもない。中二病だと特に強くそう感じるかもしれない。
そういう思いが強くなっていったのがサヨクなんじゃないかと思ったりする。日本を悪い国と考える圧倒的少数派。多数派に「アホボケカス」と言い、政権批判をして、デモで騒いで「オレたちカッコイイー」ってな感じ。
それを思うと、変わった人としか見られない少数派よりも多数派の方でいいじゃないかと思わずに入られない。
だが、多数派でもトレンディエンジェルだけはダメだ。それだけは受け入れられない。この結果には、まったく共感できないのだ。
これと同じ気分を味わっているのが、そこらへんで迷惑デモをやっているサヨクの連中なのだろうか。