なにやら韓国が日本のことでいろいろ焦っているらしい。
ひとつはノーベル賞のことだ。ノーベル生理学・医学賞とノーベル物理学賞を立て続けに日本人が取得し、日本人のノーベル賞受賞者はこれで24人になった。医学、物理、科学の自然科学系が23人、文学賞と平和賞の人文学系で3人である。
日本人がノーベル賞を取得するとお隣で「なぜ我が国はノーベル賞が取得できないのか」という声が上がり、「基礎科学を疎かにしてきたからだ」とマスコミなどが説教を垂れるパターンは毎年繰り返されている。
金大中がノーベル平和賞を受賞したが、あれはカネで金正日を釣って首脳会談を実現させただけだとのちに分かった。韓国が唯一獲得したノーベル平和賞には何の意味も価値もない。オバマ大統領が受賞した冗談を見ても分かるだろう。
韓国が自然科学の分野でノーベル賞を受賞できないことについて、「世界最強企業のサムスンがあるのに」と本気で言う韓国人がいる。スマホや液晶テレビを作ってるだけの企業からノーベル賞受賞者を輩出することはできないだろう。ノーベル賞はカネ儲けのために既存技術の応用だけをやっていても獲得できない。
サムスンは今でこそ研究開発費に幾らか資金を投入しているが、かつては研究開発を疎かにし、他社の技術者を引き抜いて技術をパクっているだけだった。サムスンの屋台骨を支えるNANDフラッシュは東芝から、液晶テレビはシャープから技術者を引き抜いて、研究をすっ飛ばして作るようになっただけだ。
韓国人が自然科学分野でノーベル賞を受賞するには数年、いや十数年かかるだろう。それまで、毎年日本と受賞数の比較をして、落胆しておけばいい。
韓国が日本に対して焦っているもうひとつの理由は、先ごろ大筋合意されたTPPについてである。
少し前、日本を含めた12か国が協議をしているさなかに韓国がTPPの協議に途中から割り込んでくるかも知れないというニュースがあったが、結局のところTPP参加を諦めていたらしい。
ところが今になって、TPP大筋合意というニュースを受け、TPPに日本が入っていることから焦燥感に駆られ、今や韓国国内で「TPP参加を検討しろ」の声が高くなっている。
韓国はこれまで、アメリカや中国などとFTAを結んでいるから大丈夫と高を括っていたが、いざTPP発足間近となるとその余裕が消え失せてしまった。このままでは日本にやられてしまうと危機感を抱いているらしい。
特に、韓国がFTAを結べていないメキシコなどの国への関税撤廃によって日本が韓国より著しく優位に立つと考えているようだ。
韓国国内でTPP要望論が高まることで政権批判まで起きている。「今までなにをやっていたのか」と。朴槿恵政権は「TPP不参加は李明博政権での決定事項だ」と言い訳していたが、ここへ来てTPP加盟への傾いているようだ。
GDPにおける外需依存が5割の韓国は、産業製品などの輸出に頼らざるを得ない。アメリカなどとのFTAによって国内の農業が大打撃を受けるわけだが、韓国は農業を捨ててFTAへとひた走った。
今度は多国間でのFTAともいえるTPPへの参加を目論むようだが、あとから入ってくることは容易ではない。不利な条件を飲まされる可能性が高く、これまで以上に国内の農業にダメージを与える。
また、韓国は自動車や家電など得意とする産業の分野が日本と重複しており、日本との熾烈な競争を迫られることをよしとしない現代自動車が猛反対している。
それでも、もはや韓国は完全にTPPに傾いている。朝鮮日報は「日本を恐れてはならない」という趣旨のコラムを掲載するなど、韓国の国民を鼓舞してTPP参加を訴えた。
【朝鮮日報】韓日FTAを阻む韓国人の「経済恐日症」 (10/4)
このコラムでは、「TPP参加によって実質的に対日FTAを結ぶことで、競争力が桁違いの日本に圧倒されるだけで益はない」とする国内の意見について、逆に「人口で韓国の2.5倍、面積で4倍もある日本の市場を開拓できるチャンスだ」としている。
果たしてそうなのか。
このコラムを書いた記者も分かっているはずだが、韓国企業の日本攻略は難しい。現代自動車は在日にしか売れなかったために日本から撤退を余儀なくされた。起亜自動車に至っては日本で1台も販売しないまま撤退した。韓国人が誇るサムスンは、スマホについてはドコモの戦略などがあって一時は日本でも席捲したが、あっという間に凋落した。スマホ以外、テレビはまったく売れなかったので得意のテレビ事業については撤退することになった。
日本企業と韓国企業の家電があった場合、普通の日本人は日本企業を選ぶ。かつては韓国のこともサムスンのこともよく分かっていなかった人が、ドコモの宣伝に乗せられてスマホを買ったが、今は日本人の多くが韓国のことを知ってしまった。そして誰も買わなくなった。
関税撤廃が逆に日本の市場開拓に繋がるチャンスと考えている朝鮮日報の記者は甘すぎるだろう。
日本は口先だけで不買を唱える韓国人や中国人と違い、不買運動などしなくても嫌っている国の商品を敬遠する。スマホやテレビ、自動車などの応用技術の製品しか作れないような国が日本の市場開拓など甘すぎるのである。できるとしたら低価格一本しかないが、韓国は中国のようにはできないだろう。
韓国がノーベル賞の受賞や日本市場の開拓を夢見ることは勝手だが、いずれの夢も実現が難しいこと、夢で終わることを覚悟しておいた方がいい。