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ここ最近、私が住む滋賀県の県知事選が少しだけ注目されるようになってきた。今まで、滋賀のようなクソ田舎の知事なんて誰がなっても一緒だし、滋賀県民以外だけでなく、滋賀県民自体も県知事選になんぞ興味がないということが多かったが、新幹線新駅凍結と脱ダムを訴えた嘉田由紀子の当選は意外性があったので注目された。
その嘉田県政の2期目の選挙も注目された。

26日に告示され、7月13日に投開票が行われる今度の県知事選も、全国紙の政治面で比較的大きく取り上げられている。これも、嘉田知事のおかげで、彼女のあとを誰が継ぐかに注目されているからだろう。

嘉田知事がよかったのは、新幹線の新駅を栗東に造るというキチガイじみた計画を取りやめたことだ。栗東市の新幹線新駅は、当時の自民党系会派・湖翔クラブが強引に進めてきたことだ。JR琵琶湖線の草津駅から、JR草津線という単線のローカル線にも新駅を造り、そこで接続する新幹線の駅であったが、造る前から「誰がそんな駅を使うのか」ともっぱらの評判だった。20分~30分に1本しか出ていない草津線に乗り換えるくらいなら、JRで京都まで20分なり30分なりかけて行けば済む話で、京都駅なら「こだま」しか止まらない新駅と違って「のぞみ」も「ひかり」も止まる。
明らかに誰も使わない、ただの税金の無駄遣いで駅を造り、今後何十年も無駄に維持費をかけることを考えれば、やめて当然だった。県民が、新幹線新駅ストップ1本で訴えてくる嘉田由紀子を選んだのも当然だった。

だが、そのあとがよくなかった。一番のミスが小沢一郎に担ぎ上げられて日本未来の党を作り、その党首になってしまったことだ。自民党が大勝した先の衆院選で、61議席から9議席に減らすという大惨敗を喫し、新党も解散。脱原発を無責任に訴えたのみならず、選挙のために新党を作ったことでも有権者に呆れられた。

前の東京都知事選でもそうだったが、脱原発なんて選挙の争点にはなり得ないのだ。原発がある県ならともかく、よその県には関係がない。
にも関わらず、今度の滋賀県知事選で、なぜか原発の話がちらほら出てくる。

嘉田の後釜として、民主党の代議士を辞め、立候補してきたのが三日月大造である。こいつは、前の衆院選の小選挙区で敗れたが、比例で復活当選した人物で、代議士を辞めても、次点だった同じ滋賀県選出で小選挙区で落ちた川端達夫が復活するだけ。何か腹の立つ話である。

滋賀県や各市町村のネット掲示板などを見ていると、三日月はすこぶる評判が悪い。こいつは、衆院選当選4回の中堅で、JR西日本の労働組合出身という強みを活かして国土交通副大臣や国土交通大臣政務官を務めた。
選挙戦で「地元のために」とか言いながら、地元に何ら利益誘導することのなかった議員で、自分が少しでものし上がろうと必死だった。
産経新聞に出資母体のJR西労組から1億円を超える献金を受け、その一部が記載漏れだったばかりでなく、国交省の政務三役というポストに就いていながら、JR西の労働組合から多額の献金を受けていたことを記事にされていた。
地元のためになることをせず、JR西日本の労働組合から多額の献金を貰い、国交省の重要ポストで恐らくJRのためにだけ何か頑張ったのだろう。
また、地元に帰ってこず、会合も開かない。選挙のときだけ、地元のイベントに顔を出す。
そんなヤツだから、評判が悪い。

そんな候補だが、原発に関しては原子力規制委員会の新基準を満たした原発は再稼働すべきだという立場だった。労働組合のサヨク分子は知らないが、JRは基本的に原発再稼働派なんだだろう。
ところが、嘉田知事の後任を名乗り出たとき、嘉田知事の政策を維持するために再稼働反対に舵を切った。
しかし、県知事選では連合の支援を受ける。連合に傘下する企業の労働組合は、原発再稼働派も多いし、何より関西電力が入っている。だから、選挙戦で表だって反原発を唱えられなくなってしまった。
恐らく、当選してから反原発を出してくるのだろう。

だが、よくよく考えてみると、滋賀県の県知事選で原発再稼働が話題になること自体がおかしい。原発は滋賀にはないのだし、何より原発は国政の話であって、福井の隣にある県の県政でごちゃごちゃ文句を付ける内容でもないのだ。
それを思うと、共産党の候補の坪田五久男になると、ポスターを見たら「国政に物言う知事を」というスローガンで、「憲法改悪」「消費税増税」「原発再稼働」「TPP」にNOを突きつけるとある。完全に狂っている。県知事は国政に口を挟むのではなく、県政を第一に考えるべきであろう。

ハッキリ言って、ブレブレの三日月大造、共産党の坪田五久男は話にならない。
消去法で、自民・公明推薦の候補である小鑓隆史しか残らないのが現状だ。

毎度毎度、選挙では消去法による候補者選びばかりになってしまう。今度の滋賀県知事選でもそうなりそうな気がするが、選挙戦初日に応援弁士として滋賀に来た石破茂が演説で「選挙に初めて出る新人で知名度がないのが悩みだ」と漏らしていた。だから、自民党に勢いのある今でも、誰が県知事になるか分からない。
そもそも滋賀県は、民主党政権時代に、衆院、参院すべての選挙区で民主党の候補が勝ち、民主党以外の議員がいなくなってしまうような県である。リベラルというより、県民がアホなせいか、流されやすいのだ。
今度の県知事選、一体どのようになるのだろうか。