20150728-1

洋画を見るとき、日本語字幕と日本語吹替でそれぞれメリットとデメリットがある。
日本語字幕の場合、字幕に文字数制限があり、目安は1秒4文字とされている。もう少し多くても判読できるので、必ずしも1秒4文字ではなく少し多くなったりするが、そうなると読む方が疲れるので、基本的には1秒4文字の制限がある。となると、文字数制限に合わせて意訳が出てくるため、字幕のセリフだとニュアンスが違ったりする。
吹替の場合、字幕よりもセリフで伝えられる量が多くなるので、セリフのニュアンス的には英語に近くなるだろうが、役者の演技自体を見られなくなるし、効果音なども置き換えられている場合も多い。

DVDやBlu-rayは昔のビデオテープと違って英語音声日本語字幕と日本語吹替の両方が入っているから、どちらも見るのが正しい視聴方法なのかも知れない。

これを考えると日本語は文字にすると字数が多くなって制限のある翻訳にはいろいろ問題が出てくると思い知らされるが、英語字幕の場合はもっと厳しい文字数制限があって、1秒12~16文字程度が目安らしい。英語は文字の種類は少ないが、文章にすると文字数は多くなる。
英語は字幕にはやや不向きな言語なのかも知れない。だから、英語圏では外国映画は字幕ではなく吹替が多いのかも知れない。

テレビが地デジになってから、ドラマなどは完全に字幕がつくようになったが、字幕だけ読んでいるとかなり疲れる。慣れないと字幕ばかり読むハメになってしまう。
その点で比較すると、字幕にするのに優れているのは中国語なのかも知れない。

前に台湾のテレビ番組をよく見ていると書いた。台湾のテレビ番組は、生放送でない限り基本的に字幕がつく。昔からドラマでもバラエティでもそうだ。
戦後、台湾に蒋介石率いる国民党の連中、いわゆる外省人が流入し、台湾の国語が台湾華語(北京語)となった。元々台湾にあった閩南語系の台湾語や客家語しか話せない人たちは北京語を聞き取れなかったが、発音は違うが漢字表記にすると同じだったりするため、字幕をつけると北京語が理解できたりするらしい。そこで北京語普及のために字幕がつけられるようになったと聞く。

理由はともかく、台湾のテレビ番組すべてに字幕がついていると、中国語初心者は非常に助かる。中国語の声調は話すのも難しいが、聞き取るのも難しい。英語なんか屁みたいに思えるレベルだ。
だが、字幕があると、中国語の語彙さえある程度習得していれば意味が分かる。
漢字は表意文字であるため、知らない単語でも日本語と中国語で大体の意味が同じなら、大体分かる。

台湾のテレビ番組にすべて字幕がつけられるのは、中国語が字幕表記に適した言語だからだろう。表意文字は1文字で表すことができる意味が多い。だから、話す速度と読む速度が同じくらいである。世の中にこのような言語はほかにないのではないか。

日本語でも漢字を使うため、字幕の適性でいうと中国語と英語の真ん中くらいだろう。漢字を増やせば増やすほど、文字数節約で文章に持たせる意味を圧縮できる。
日本語で使われる漢字は、外国人が日本語を修得する上での高いハードルになっている。中国語は英語と文法が違うが、日本語はまったく異なる。日本語は主語も曖昧だし、ほかの言語にはない助詞の使い方が難しい。だが一番難しいのは漢字だ。中国語の漢字は読み方が1種類しかないが、日本の漢字は音読みと訓読みがあり、その読み方は何種類もあったりする。
漢字自体覚えるのが難しく、読み方も複雑すぎるので、外国人が日本語をマスターするのはかなりの困難を要する。

もし日本語に漢字がなければ、小学校、中学校で2000字を超える常用漢字を習う必要もなくなり、国語の勉強は簡単になるかも知れない。
しかし、日本語のすべてを平仮名と片仮名で表記すると、読むことが難しくなる。その上、見た目の文字数が増え、映画の字幕制限はもっと酷くなり、書籍や新聞はページ数が倍増することだろう。
いいことなど何もない。

国語で漢字を使っていたのに、漢字表記を廃止した国に韓国とベトナムがある。どちらも長らく中国の属国だった国だ。どちらの国の言語も語彙の7割程度が漢字語であるが、ベトナムは1954年に漢字を全廃、韓国では1980年代頃から漢字の使用頻度が下がり、今では韓国でもほぼ見られなくなった。
韓国語は日本語より発音の種類が多いため、漢字表記せずにハングルのみで記述しても同音異義語は少ないが、それでも漢字語が多い国語で漢字表記を廃止すると、元の言葉が何かが分からなくなってしまう。これはベトナム語でも同じだ。

ベトナムはフランス統治を経た戦後の社会主義国家成立により、国語の独自の文字で表記するように決められたが、韓国の漢字廃止はそれとは異なる。
軍事政権が終わって民主国家となり、国が豊かになるにつれて自信をつけていった韓国人は、かつて公文書をすべて漢文で書くほどシナの属国であったことを恥じ、中国文化色を少しでも落とすために漢字排斥に進んだ。
今では、漢字も読めない若い連中が「漢字は未開な文字」などと言い出す始末である。日本語についても「漢字を使う未開な言語」と考える輩がそこそこいる。

FとPをちゃんと区別できない発音で、地球の文明史上もっとも遅く発明されたハングルを用い、単語の成り立ちも分からなくなっている言語を使っておきながら、よその言語を悪く評価することが理解できないが、韓国人は他人を見下げて自分たちのアイデンティティを確立させるような連中だから仕方がない。

韓国人は自ら漢字を捨てて退化しておきながらほかを言語を論評するが、言語に優劣などないだろう。英語には英語の、中国語には中国語の、日本語には日本語の得手不得手がある。
英語は文字数が少なく、文法も割と単純で身につけやすい国際言語だ。中国語は文字の種類は圧倒的に多いが文字数はほかの言語より圧倒的に少なく済むが、外来語は苦手だ。日本語は習得が困難であるが、発音の種類が少なく簡単で、外来語も柔軟に取り入れることができる。
韓国語のことはよく知らないが、いいところがあり、悪いところもあるのだろう。

韓国人の自尊心など知りたくもないが、自分たちの地位を相対的に上げるため、「韓国語は中国語や日本語より優れている」とか、「ハングルは世界一優れた文字」などと主張するのが本当に鬱陶しい。優劣のつけられないことにまで優劣をつけて何の意味があるのか。
ただ単に韓国人が自画自賛したいために貶められる中国語や日本語は堪ったもんじゃない。