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台湾でここ数日、侃々諤々の議論を起こしているニュースがある。
台湾には台北の地下鉄などで使える悠遊卡(ヨーヨーカ)と呼ばれるSuicaやICOCAのような交通ICカードがあるのだが、8月26日にチャリティカードが発売されることが決まった。そのチャリティカードにプリントされているのが、なんと日本の現役AV女優の波多野結衣(はたのゆい)である。

波多野結衣はAV女優として知られているが、今年1月に公開された「沙西米」(サシミ)に出演し、女体盛りを披露するなど、台湾に活躍の場(?)を広げており、台湾では第二の蒼井そらのようになっているが、台湾の著名女優である林志玲(リン・チーリン)と似ているとして、台湾では「AV界の林志玲」とも呼ばれている。

その現役AV女優が交通ICカードにプリントされ、チャリティとして2枚セットで500元(2000円弱)で1万5000セット限定で販売されることになったのだ。

2枚セットのうち、1枚は天使版、もう1枚は悪魔版として写真がプリントされているのだが、発表直後に天使版の方が2014年にリリースされた波多野結衣のAVのパッケージと同じではないかと指摘する声が上がった。
すわ台北市が出資する悠遊卡の管理会社が肖像権の侵害かと話題になったが、実際は権利的には問題なかった。悪魔版は撮りおろし、天使版は波多野の事務所から提供されたものだったのだ。
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天使版(左)と悪魔版(右)
だが、「日本のAVと同じパッケージの悠遊卡はどうなのか」という議論が巻き起こり、明日9月1日に発売予定だったが、中止になってしまった。ただ、天使版の写真をほかのものに変えて販売はするらしい。

現役AV女優が交通ICカードのデザインに起用されるのはどうかと思うわけだが、当然のごとく台湾でもそのことが問題視されている。「品性を疑う」という声が出てるのも当然だろう。
波多野も波多野で、台湾の混乱について「私がAV女優であるせいで善意あるチャリティに協力できないのでしょうか。大好きな台湾に恩返しできないのでしょうか」などと発言し、これまた台湾で議論を巻き起こしている。

正直、個人的には笑える話だと思う。日本のAV女優をICカードのデザインに起用する台湾の交通公社がスゴイし、波多野結衣というAV女優が台湾でここまで知られているのもスゴイ。
このニュースは連日取り上げられていて、台湾のホテルにチェックインしたとき、ロビーに置いてあった台湾の新聞を見ていたら、騒動から6日経ってもまだ記事にされていたし、テレビのニュースでもまだやっていた。台北市長が「いくらなんでも騒ぎ過ぎだ」と苦言を呈したこともニュースになっていた。
このニュースのおかげで、私のように波多野結衣を知らなかった台湾人も彼女のことを知ることになるだろう。これまでエロい男性にしか知られていなかったが、今回の騒動で一気に知名度が高まった。

そもそもの話だが、台湾で日本のAVは違法である。台湾は日本と比べものにならないくらいエロに厳しく、台湾のエロ本を買っても乳首は出ていない。水着や手ブラばかりだから、日本の漫画雑誌のグラビアと同じくらいのエロさしかない。
テレビ放送などではケツの割れ目も禁止だから、台湾の「テルマエ・ロマエ」は阿部寛らのケツにぼかしが入っていて、公衆浴場のシーンではぼかしだらけだった。
「クレヨンしんちゃん」は台湾でも人気だが、台湾での放送はしんちゃんが「ぞうさん」と言ってチンチンを出すシーンでは、アクション仮面の顔でチンチンが隠されていた。

それほどエロが厳しい台湾であるが、違法ダウンロードや違法コピー品のAV販売で波多野結衣が知られている。
台湾には違法コピーDVDを販売している店がちょこちょこあって、4枚100元(400円弱)程度で販売されている。台北市内の有名な観光地である龍山寺に行ったとき、近くの警察署の前で違法AVが販売されていたのには笑ってしまった。

台湾ではエロが禁止であるが有名無実化しているのと、日本のAVが異常なほど人気があるため、今回のようなバカバカしい騒動が起きるのだろう。
正直、日本は世界一のエロ大国であるが、AV女優が台湾ほど人気を博しているわけでもなく、知られてもいない。ましてや、現役のAV女優が公的なものに起用されるなんてありえない。せいぜい、AV女優がテレビのエロ番組にちょろっと出るくらいだ。

ドスケベで、アホみたいな騒動が起こるのが台湾である。


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