20161125-1

何年か前にネット上で小学校3年の漢字書き取りテストが理不尽すぎるとして話題になっていた。
「新□の車」と書いてあり、□の部分には「がた」とルビが振ってある。その問題に対して、ある子供が回答欄に「潟」と書いたらバツにされ、教師が答えとして「型」と書いていた。

「新」という字に「しん」というルビが振ってあるのならそうだが、「新潟の車」という意味で回答で「潟」と書いてなにが間違いなのか。
「潟」という漢字は小学校3年までに習わないからバツなのだろうが、むしろ「新型」とせずに「新潟」と書いた子供を褒めていいくらいだ。オトナだと思いつかないし、私だったら「潟」というバランスの取りにくい字をちゃんと書けるかどうかも分からない。

数日前には、「3.9+5.1=9.0」を間違いで減点とする小学校の算数が話題になっていた。
3.9+5.1を筆算しろという問題で、9.0と結果を書いたら5点のうち1点を減点されたという。教師の採点によると、9.0の0の部分を斜線で消して、答えを9とせねばならないという。

【ねとらぼ】「3.9+5.1=9.0」は減点対象 小学校算数の奇習に茂木健一郎が苦言“子どもたちへの虐待である” (11/22)

理科でいう有効数字の観点からいうと、この問題は有効数字2桁の数の足し算なので答えはむしろ「9.0」とすべきであるが、小学校の算数では9.0と9は異なるので、9とせねばならないらしい。
そうしないと、「8+1」の答えを「9」とすべきところ、「9.0」にした方がいいのか子供が分からなくなるからだという。
中学の理科と小学校の算数が異なるのは分かるが、気色が悪い。

「9.00」などと小数点以下の0を余計に書かないようにするためらしいが、9.00でも間違いではない。かといってふざけたクソガキに「9.00000」などと回答させないためにも、算数でも有効数字を教えたらいい。有効数字というよりも常識か。

大昔、中学の理科の定期テストを受け、オームの法則で電流だか抵抗値だかを求める問題で教師が意図した有効数字で答えを書かなかったために関係する回答を全部バツされたことがあった。バツは酷すぎると教師に抗議したが聞いてもらえず殺意を覚えたが、村上というクソジジイの教師のおかげで有効数字だけは社会人になってからも気にするようになった。
客先に提出するレポートで、計測結果などの数値を取り扱うことも多い。そういうものでは算数の計算ではなく、理科的な数値の取り扱いが重要になる。

この「9.0」の問題はまあいいのだが、小学校の算数ではもっと酷いものがある。「9.0」の話を紹介をしていた「ねとらぼ」に、小学校の算数で「9÷0」が出題され、答えが「0」だったというのがあった。

【ねとらぼ】「9÷0=0」? ある小学校で出された問題に「ちょっと待て」 (2012/11/27)

小学校でゼロ除算という代数で習うような問題を取り扱っている。一般的に「0で割ってはいけない」と習い、0で割ったときの数値は未定義で答えはないわけであるが、答えが「0」では明らかに間違いだ。
「0÷9」という問題にすべきところを誤植したのかも知れないが、なんとも思わずマルを付けている教師が恐ろしく思える。

これ以外にも「ねとらぼ」の記事に掛け算の順序が違うとして減点されている回答も紹介されていた。

【ねとらぼ】「7×6」はマルで「6×7」だとバツ!? かけ算の順序教育が話題に (2012/12/14)

「6つある長椅子に7人が座ると何人座れるか」という問いに対し、「6×7」がバツで、「7×6」がマルらしい。6つの椅子に7人だから6×7。しかし、教師が求める答えは「7人が6つの椅子に座る」で7×6。なるほど、分からん。
小学校の算数では人数を求めるとき、何人が何個で何人という決まりがあるらしいが、なんというバカバカしい決まりだろうか。しかも、その決まり通りに採点し、平然とバツをつける教師の心の闇を感じる。
「6×7」が間違いで、「7×6」が正解である理屈を教師は子供に説明できるのだろうか。できるわけがない。しかし、「先生が言うことが正しい」、「先生の言うことを聞け」を押し通したのでは子供が勉強嫌いになるのも頷ける。

ネットで理不尽なテストについて調べると、いろんな例が山ほど出てくる。大体は笑えるものだが、紹介した回答のように笑えないものもある。
日本人は欧米人に比べると柔軟な考え方ができないなどと揶揄されるが、こういうテストを見れば納得できる。理屈が通らないことを子供に押し付けているのだから当然だ。それでも日本がそれなりにやっていけているのを考えると、ある意味奇跡のように思えてしまう。