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中国の中国中央電視台(CCTV)が世界消費者権利デーである3月15日に放送する「3.15晩会」は中国に進出している外国企業にとってもっとも注目し、もっとも恐れるテレビ番組である。
この番組でやり玉に挙げられると、中国国民から袋叩きに遭うことが決まっている。過去にアップルやマクドナルド、フォルクスワーゲン、ニコンなどが消費者の権利を侵害する企業であると指摘され、謝罪や補償に追い込まれた。

今年はTHAAD配備による摩擦から韓国企業が叩かれるのではないかと噂されていて、ロッテや現代自動車が警戒していたが、蓋を開けてみれば日本叩きだった。
番組では「東京は放射能汚染地域」と紹介し、中国が2011年の福島第一原発事故後から輸入を禁止している10都県が産地の食料品が産地偽装され中国で販売されているとした。

中国が禁輸措置を取る10都県は、福島、栃木、群馬、茨城、千葉、宮城、新潟、長野、埼玉、東京である。
台湾や韓国でも同様の禁輸措置が取られているが、これらの国に「日本産の食品がアブナイ」などと言われたくない。中国や韓国、台湾にはなにが安全で危険かも判断できないアホみたいなのが多い。日本のサヨクでも「東日本の食品は援助として不要」などと主張していたのがいるが、知能が低下すると正常な判断ができなくなるのだ。

中国公営放送の日本の関東甲信越広域が放射能汚染地域という間違った認識も問題だが、今年の「3.15晩会」は間違った情報がかなり多かった。特に産地と販売業者の所在地を混同しており、この点では中国でも指摘が多かった。

例えば、味の素のアジシオ。アジシオの「主な原料の産地」は「海水(日本)」とメチャクチャ曖昧な表現なのだが、中身の製造は岡山県となっている。ところが番組では産地が東京とされていた。販売者として味の素本社の所在地がパッケージに書かれてあるのだが、どうもこれを見て東京産だとしたらしい。日本人なら塩の産地で瀬戸内海の県を思い浮かべても、東京で塩を作っているとは誰も思わないだろう。
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また、番組でしつこくやり玉に挙げられていたのが無印良品の食品だ。「はと麦&レモングラス」というペットボトル飲料と卵ボーロが東京産とされたが、これも販売者である良品計画の所在地の東京と誤認されていた。
これについて、中国のネットユーザーが無印良品の店舗でパッケージに上張りされているシールを剥がしてチェックを行い、「金平糖も産地偽装だ」などと騒いでいたが、これも単に販売者の所在地が書かれてあるだけだった。
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これらについて、無印良品ブランドを展開する良品計画は自社のホームページでCCTVの間違いであると説明していた。

【良品計画】中国における報道に関する見解について

ほかにも、イオンで販売されているレンジでチンするコメが「北海道産」となっているのも関わらず新潟産だと叩かれていた。しかし、これは製造者であるサトウ食品の所在地で、コメのブランドは「きらら397」という北海道のコメであり、産地偽装でもなんでもなかった。

漢字が分からなくなった韓国人ならともかく、販売者や製造者の所在地がパッケージに書かれてあるだけだと中国人なら分かりそうなもんだが、どうしてこうなるのだろうか。

「3.15晩会」で指摘された産地偽装でかなりの間違いがあった。
この番組ではほかにカルビーの「フルグラ」がやり玉に挙げられていた。牛乳をかけて食べるシルアルである「フルグラ」は中国でも人気で、2015年頃から中国人が買い占めを行うようになり、一時は日本国内で品薄になるほどになった。「フルグラ」は栃木県の清原工場で製造されており、禁輸地域に当たる。
しかし、カルビーは「フルグラ」を中国に輸出しておらず、中国の輸入業者が勝手に日本から輸入し、製造工場を適当にほかの県に変えて販売していただけなのだ。
カルビーは2015年に「フルグラ」や「じゃがポックル」について中国国内で販売していないにも関わらず、模倣品が多く出回っていると注意喚起しているくらいだ。

【カルビー】弊社商品の模倣品に関するご注意

「3.15晩会」の誤報により、無印良品は株価を大きく下げたが、中国に「フルグラ」を輸出していないカルビーも大幅に株価を下げた。めちゃくちゃ迷惑な話である。

さすがに誤報だらけの内容に別の国営メディアからも苦言を呈された今年の「3.15晩会」であるが、今のところ訂正もなにもない。中国の国営放送は無謬の存在であり、間違いなどあり得ないのだ。間違いを犯し、中国国民の権利を侵害するのは日本など外国企業なのだ。

「フルグラ」を撤去する店舗が多くあるが、それでも「中国の食品よりよっぽど安全だ」として日本産の食品を買い控えようという動きはあまり見られない。
放射能のことをちゃんと分かっていなくても、中国の食品が汚染だらけだという認識はあるらしい。中国人もバカばかりではないということか。