20170416-1

12日(水)に放送された「徹子の部屋」の特番に福原愛と江宏傑(ジャン・ホンジェ)夫妻が出演していた。番組の触れ込みでは「夫婦揃ってのトーク番組出演は初めて」とあったが、実は11日(火)、12日(水)に台湾のトーク番組「小燕有約」に出演していた。
「小燕有約」は張小燕というオバサンとQ醤(Qちゃん)という柴犬がホストを務めるトーク番組で、張小燕は以前に別の番組で別のテレビ局で似たようなトーク番組を持っていて、テレビ局を変えた形だ。月曜から金曜の夜11時から放送されている。Qちゃんは前の番組にも出ていて、番組ホストなのにセットのどこかで寝ているだけの柴犬だ。張小燕が飼っている犬かと思っていたがそうではなく、謎すぎる犬である。福原愛も江宏傑もQちゃんにまったく触れず、まるで存在していないかのようだ。

福原愛夫妻は2日続けての1時間番組出演で、合計2時間も福原愛と江宏傑がどうやって知り合ったかとか、結婚生活はどうかとか、台湾での生活はどうかと延々と話していた。普通のゲストは1回だけの出演だから、特別扱いだ。
福原愛が中国語を話しているのは日本ではあまり見られないから貴重である。




YouTubeで公式が配信している動画に付けられたコメントを見ると、中国人とみられるユーザーがゴチャゴチャ文句を言っていた。
ひとつは「江宏傑は愛ちゃんにふさわしくない」というもの。実家がそこそこ裕福で、銀行勤務の卓球選手なのだから、よく分からない成金みたいなヤツと結婚するよりよほどいいように思える。男前で優しそうだし、彼は福原愛にふさわしく思えるが、そうでないと言うヤツは単に嫉妬しているだけなのだろう。

もうひとつの文句、文句というより嘆きが「愛ちゃんが東北弁を捨てた」というものだ。福原愛が中国の超級リーグに参戦していたとき、中国北東部にある遼寧省のチームに所属していた。そのせいで、彼女は中国語の東北訛りがついてしまった。元々アニメ声優みたいな声だが、それと東北弁が相まって、「可愛らしい」と中国人からすごく好評だった。福原愛がイーピンみたいな丸い顔をしているのも中国人の好みであるようだが。
そうだったのに、台湾人と結婚し、台湾のテレビに出演したら東北弁ではなく中国人がいう台湾弁になっていた。台湾で話される中国語は普通話と呼ばれる標準的な中国語で、巻き舌が過ぎる北京語よりも標準的でキレイだと言われる。

福原愛がリオ五輪で中国メディアからインタビューを受けたときは東北弁だったことを考えると、彼女は中国向けには東北弁で、台湾向けには訛らずに中国語を話すようだ。
男の影響で東北弁を捨て台湾弁になったという文句が多かった。
気に入らない気持ちは分かる。それだけ福原愛が中国人に愛されているということだろう。

卓球強国である中国では他国の選手も注目される。プロリーグに所属していた福原愛は当然だが、石川佳純あたりもそこそこ人気がある。石川佳純は4月度の卓球世界ランキングで4位だし、注目されて当然だ。

そんななか、中国で俄然注目を集めている日本人卓球選手が平野美宇である。アジア選手権で中国の並みいる強豪を次々破って優勝を果たした。
準々決勝で世界ランク1位の丁寧(27)を、準決勝で同2位の朱雨玲(22)を、決勝で同5位の陳夢(23)を破っての優勝は中国国内に衝撃を与えた。リオ五輪で代表でなかった日本の17歳、世界ランク11位が世界ランク5位までに入っている中国人選手3人全員を倒した。

動画を見たが、絶対女王である丁寧をフルセットの末にギリギリで倒したし、決勝ではストレート勝ちだった。大会は中国で行われていたので、完全アウェーだった。試合の合間合間に「加油!」(がんばれ)と会場全体で中国選手を応援するなか、平野は攻撃的なスタイルを緩めず、サーブでも攻めまくりだった。

中国のビリビリ動画(ニコニコ動画のパクリサイト)を見ていると、平野が勝ったあとにガッツポーズしている様子を「可愛い」とコメントしている中国人が多く、ビリビリ動画を見ているような中国人は卓球に興味がないか、余裕があるからなのだろう。
一方で中国のSNSである微博で報じられたニュースには何千というコメントが付いていて、多くが中国卓球界の将来を危惧するものだった。

中国は韓国と違ってスポーツに関してあまりヘンな愛国を出してこないので、日本人に負けたことを責めるより、日本人の若い選手が成長し、中国人選手を脅かす事態になっていることについて、「もっとちゃんと選手を育てろ」という声が多かった。
心配しなくても卓球の世界で中国が世界ナンバーワンであることは変わりないと思うが、それでもぼさっとしてはいられないということだろう。

大会前に平野が「アジア選手権で優勝したい」と口にしていたことについて鼻で笑う中国人が多かった。準々決勝で敗れた卓球女王の丁寧は中国のメディアから「彼女が優勝したいと言っているがどう思うか」と問われ、「優勝できるわけない」と言わせたいことに感づいて「なにを期待しているか知らないけど、答えない」と言っていた。
リオ五輪のこともあり、日本人選手との対戦で楽勝だと思う中国人は少なくなるだろう。日本は卓球で実力をつけてきた。決して侮れる相手ではないと中国人に思わせるまでになった。立派である。

東京五輪では卓球で日本が金メダルを取るという大番狂わせがあるかも知れない。
今から楽しみになってきた。