20170427-1

今朝、通勤途中の駅で民進党の地方議員が辻立ちしてアジ演説をぶっていた。
民進党の政治家はトップから下っ端まで、自民党や維新の党の政治家への文句か、恨み辛み妬み嫉みしか言うことができない。だからその民進党議員も安倍首相がいかに悪いヤツかを延々と説明していた。
安倍首相が森友学園に便宜を図ったのは間違いないから辞職するしかないとか、安倍首相が共謀罪を新設することで戦前の治安維持法のように国民を監視しようとしていると説明していた。
朝からこういう文句を聞かされてウンザリさせられる。

その議員は特に「共謀罪がー」とずっと唸っていた。共謀罪によって私たちの生活が毎日監視され、トンカチを買ったり、キノコ狩りをすることで犯罪者として逮捕されると宣っていた。どこかで聞いたような共謀罪の案件である。
警察は今にも女を殺しそうなストーカーですら監視しないのに、トンカチを買った人間やキノコ狩りに出かけた人間をマークして、そのうち捕まえることなどあるのだろうか。
この手の非建設的で大袈裟な議論はいい加減にやめて欲しい。

テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案をめぐって、衆議院の法務委員会で参考人質疑が行われた。
民進党の参考人として出席した小林よしのりは、「モノを言う市民が萎縮してしまう」と反対意見を述べた。彼によると、共謀罪のことなど関係ないと思っている国民でも、なにかの拍子にモノ言う市民になる。あらゆる人々が監視対象となり、なにも言えなくなってしまうそうだ。

自意識過剰な小林よしのりは、いつも自分が特別な大物であると思っているので、自分ほどの人間なら監視されるのではないかと危惧すると意見を述べていた。
彼によると、共謀罪によって言論の自由の幅が狭まり、北朝鮮のような国になってしまうという。

世界120か国が締結している国際組織犯罪防止条約は、共謀罪等の創設を求めている。条約に締結している国はアメリカやイギリス、ドイツ、フランスも含まれ、それぞれ連邦法や刑法等によって共謀罪、団体の結成の罪、凶徒の結社罪を定めている。

国境なき記者団が今日発表した「報道の自由度ランキング」によると、日本は180か国のうち72位で、G7のなかで最下位だという。報道の自由はすなわち言論の自由であるが、アメリカは43位、イギリスは40位、ドイツは16位、フランスは39位だった。いずれも共謀罪があるのに、日本より圧倒的に上である。
これで日本にテロ等準備罪が新設されればもっと下がるのだろうか。そういうわけではあるまい。

福島第一原発の事故後、小林よしのりは国内の原発を即刻廃止せよと訴えた。そのうえで、福島第一原発の現状を危惧し、特に3号機に危険が迫っていると「ゴーマニズム宣言」で訴えていた。
3号機の状況について、天井から馬の尻尾の毛で吊るされた「ダモクレスの剣」に例え、危機はすぐそこに迫っており、遠からず再度過酷事故が起きるとしていた。
しかし、6年経っても新たに事故が起きていない。

先日のエントリでも書いたが、危機を煽る人は自分の希望的観測を述べる。
テロ等準備罪が気に入らない人は、これによって言論の自由が著しく制限され、キノコ狩りをしただけで逮捕されると煽動する。そうなったら自分たちが活躍する時代の到来だから、そうなればいいと思っているのだろう。
小林よしのりも、福島第一原発3号機がまたぞろ大爆発し、深刻な放射能漏れを起こせばいいと思っているのだろう。そうすれば、反原発の意見を確実にすることができる。
朝鮮半島有事もそれと同じで、朝鮮半島がメチャクチャになればいいと思っている。

なにかの危機は、訴える人の願望やら希望的観測が多分に含まれている。もうなにが真実なのかが分からない。真実があるのかも不明だ。一部の人が危惧することは往々にして起こらないのは間違いないが。
起こる起こらないの話ではなく、起こったときにどうなるかが問題なのであるが、その議論がキノコ狩りで逮捕されるなどというものばかり。これほどバカバカしく感じるものはないだろう。
そんなことを訴えているから、傍からはどうでもよく思えてしまうのである。