20170519-1

「アメとムチ」という言葉があるが、人の行動に影響を与えやすいのは圧倒的にアメの方だ。上の立場から子供や後輩の躾や指導を行うとして、厳しく接するよりも褒めたりする方を増やしたほうが効果的だ。厳しくしても人のモチベーションは上がらない。
だから、殆どをムチにしてたまにアメを出すよりも、多くをアメにしてたまにムチを出す方がいい。

それをよく分かっているのが中国で、自分たちのアメに群がってくるヤツらをたまにムチを用いて厳しく躾ける。
中国で自動車や化粧品の販売から、小売業、芸能人の進出などうまく商売をやりつつ、中国人観光客を呼び込んで儲けていた韓国が、THAAD配備問題で限韓令という厳しいムチを受けた。
中国人の団体旅行客が激減し、韓国の旅行業界が悲鳴を上げた。自動車は売れなくなり、THAAD配備にゴルフ場の土地を提供したロッテは小売のロッテマートの多くが業務停止に追い込まれるなどした。韓流芸能人は中国のテレビに出られなくなり、収録済みの番組は韓国人のぼかしがかけられた。韓国の芸能人のコンサートは禁止になり、韓国ドラマの放送も禁止になった。

中国のムチの厳しさを味わった韓国であるが、韓国の大統領が文在寅(ムン・ジェイン)に交代したことで再びアメを出すことにしたようだ。もうじき、中国の旅行会社に出していた団体旅行客の韓国旅行禁止令を解除するそうだ。
そうしてアメを与えることで、追加のアメを貰うために韓国がTHAAD配備見直しなどの行動に出ることを期待している。水道の蛇口を締めたり緩めたりするのと同じで、韓国に与えるアメの量を絶妙に調整している。

中国のアメとムチは多くの国に通用するが、それらは韓国のように中国よりも明らかに下の国だからだ。アメリカや日本にはアメとムチが通用しないことは理解している。
日本に対して舐めきっていた時分に、教科書問題や尖閣諸島の国有化をきっかけにムチを出したことがあった。日系商店や日本企業の工場を燃やし、日本車をひっくり返し、日本企業の不買運動を展開し、日本人が歩いていたらラーメンの汁をぶっかけた。
だが、日本は簡単に折れなかった。自動車が売れなくなってもじっとガマンしていたし、メチャクチャにされ、火まで放たれた商店や工場は元に戻された。
日本人はかなり我慢強いうえに、レアアースのように日本への締め付けがブーメランのように自分たちに跳ね返ってきて学習したようだ。日本にアメを与えないが、ムチもあまり出さなくなった。

韓国はアメとムチを使う中国に見下されていることを理解すべきだ。中国の動向で一喜一憂しているが、中国の手のひらで転がされているだけである。
まあ、韓国はGDPの7割以上を貿易に頼る外需国家だ。中国への依存度は3割に満たない内需国の日本とは比べものにならないのだから、常に中国の顔色をうかがっているのも仕方がないことかも知れない。

そんな韓国もアメとムチを使おうとする素振りを見せるが、日本に対して経済的な打撃を与えられないことは分かっているようだ。民間で日本製品の不買運動を展開しても続かないし、なによりなんの効果もない。
せめてもの仕返しのために、慰安婦像を韓国国内のみならず、世界中に建てまくってありもしない慰安婦問題を訴えたがるのだろう。

しかしながら、仮に慰安婦問題というものがあったとして、日本と韓国の二国間で言えば完全に、かつ不可逆に解決した。韓国の文政権が送り込んできた特使が日韓合意についてまた「韓国国民の感情として受け入れられない」と訴えたようだが、安倍首相には取り付く島もない。合意は破棄せず、新たにカネと謝罪を引き出したいようだが、安倍首相が恥を忍んで結んだ日韓合意に、さらに恥を上塗りするはずがない。

韓国がアメリカのように大きな国なら日本に対してムチを発動できるだろうが、振れるムチもない。せいぜい、必死になって騒ぎ立てるだけ。誰が相手にするのだろうか。

それに対し、日本は韓国に対してムチを出せるはずだ。これまで散々アメを与えてきてやった。日本がムチを与えないことで調子に乗っている韓国に、そろそろムチを与える時期ではないのか。
日本人は我慢強いが、韓国に対してはそろそろ我慢の限界を超える頃である。