20170522-1

1998年、中国の国家体育総局が麻雀(麻将)の国際標準ルールを初めて制定した。
2002年、そのルールを元にして日本で「世界麻雀選手権」が開催された。世界数か国から選手が参加し、個人戦では日本の女子プロである初音舞、団体戦では日本の選抜チームが優勝した。

ところが、2005年に中国で世界麻雀組織という麻雀団体が設立され、「世界麻雀選手権」を主催するようになると、2002年の大会はなかったことにされた。団体主催で2007年に開催された大会が「世界麻雀選手権」の第1回大会とされてしまった。

このことについて、7年前にこのブログで書いた。第1回の優勝者が日本人と日本の団体であることから、2002年の第1回大会は正式開催前のプレ大会とされたからだ。
この件をアメリカ人雀士のライアン・モリスが近代麻雀の連載コラムで批判し、挿絵には「中国人が優勝するまで第1回大会は続く」と書かれた。

これが中国人のやり方 (2010/11/28)

「世界麻雀選手権」は2012年の第3回大会を最後に開催されていない。第2回、第3回ともに中国人が優勝し、中国人に有利なルールになっているなどと言われているが、実際は定かではない。ただ、世界大会として定着しなかったのは間違いない。

「世界麻雀選手権」の代わりに麻雀の世界大会として認知されているのが欧州麻雀協会が主催する「オープン欧州麻雀選手権」だ。中国式の麻雀で行われるメインのこの大会のほか、日本式のリーチ麻雀が行われる「欧州リーチ麻雀選手権」がある。

麻雀は中国が発祥であるが、日本のリーチ麻雀はアメリカを経由して戦後に普及した麻雀だ。各個人の捨て牌があり、リーチをかけることができ、フリテンがある。符と飜で点数が決まる。七対子や緑一色はアメリカで生まれた手役だといわれている。
一方、中国の麻将(中国麻雀)は複雑な符計算はなく、単純に点だけを加算する。点棒のやりとりもなく、リーチもフリテンもない。
台湾で行われている麻将は大陸のものとは異なり、面子が1個多く、手牌は13枚ではなく16枚になる。台湾の麻雀ゲームを見ると「めちゃくちゃ多牌してる」と思ってしまうが、手元には16枚あって正しいのだ。

麻将(中国麻雀)をやっている日本人はあまりいない。なぜなら、麻雀をやったことがある人は分かると思うが、中国のルールよりも日本のリーチ麻雀の方が圧倒的に面白いからだ。麻将をやるメリットがあまりない。
それでも物好きが麻将にも手を出すので、国際標準ルールの麻雀世界大会で日本人は強い。
「オープン欧州麻雀選手権」は過去5回開催され、第1回、第3回、第5回の個人戦の優勝は日本人だった。第1回に関しては1位から3位を日本人が独占した。
第2回大会から開催されている団体戦では、第4回を除く3つの大会で日本の団体が優勝している。

「世界麻雀選手権」は中国の団体が半ば強引に中国人を優勝させ、麻雀発祥国である中国のメンツを保った。だが、欧州で行われている麻雀大会では中国人が奮わない。2014年の第5回大会では、中国は個人戦で最高30位、団体戦で最高37位だった。

日本や欧州各国にまったく歯が立たず、中国人が悔しい思いをしているらしい。
麻雀発祥の国である中国が本気を出せば簡単に優勝できると思っている中国人が多いようだが、考え方が甘い。
中国では麻将はジジイやババアが公園で小銭を賭けてやるもんだが、日本はかつてほどではないにせよ、また麻雀ブームが起きつつあり、若年層にもやる人が多い。漫画やアニメも多いし、雀荘は山ほどある。
ルールがまったく違う中国式にもうまく対応し、世界大会で中国人を蹴散らしているのは、日本と中国で麻雀のベースの実力に大きな差があるからだろう。
今月26日と28位置に開催される「欧州麻雀選手権」の第6回大会では、欧州麻雀協会に影響力がない中国は実力で頑張るしかない。

ちなみに、中国の麻雀牌はゲタ牌と呼ばれ、日本の麻雀牌に比べてふた回りくらい大きい。日本の麻雀漫画ではイカサマが多く登場するが、中国のゲタ牌は難しい。中国の麻雀牌が大きくなったのは、あまりにもイカサマやズルをする人が多すぎて、イカサマをしにくくしたためだといわれている。

いかさまは中国の得意分野だ。
大会で勝てないことにムカついて、欧州麻雀協会をまるごと買収し、ルール改定などで中国人が勝てるズルをしないことを祈るばかりだ。