20170710-1

Amazonのプライムビデオで無料で見られる米ドラマ「メンタリスト」をシーズン6まで全部見てしまったので、今は法廷ドラマの「グッド・ワイフ」を見ている。
「メンタリスト」はこれまでに見たドラマのなかで群を抜いて一番面白かった。「ウォーキング・デッド」よりも面白い。「グッド・ワイフ」あたりはそれに比べると退屈なところもあるが、まあ少しは見られるドラマだ。
私はアメリカの法廷ドラマが好きだからである。

アメリカの法廷もののドラマや映画が面白いのは、陪審員制度を利用した駆け引きがあるからだ。陪審員に誰を選任し、誰を忌避するかの駆け引きから始まり、法律の素人である陪審員に対していかに印象操作をするかが重要になってくる。

「グッド・ワイフ」では弁護士事務所側が真犯人に繋がる証拠を探し出すなど、名探偵のようなことをする展開が散見されるが、それ以外に陪審員との駆け引きも多く出てくる。
弁護側に同調する陪審員を探し出し、徹底的にアピールしたりする。アメリカの裁判は陪審の評決が全員一致でないと延々と議論を繰り返す必要があり、それでも決まらないと陪審評決不成立となって審理無効になる。
また、証人の信用を落とす方法も常套手段として取られる。弁護側に不利な証言をする証人を徹底的に調べ、容疑者と利益相反関係にあったとか、過去に犯罪を犯したとかを陪審員にアピールする。陪審員の信用を失った人物の証言は信用されにくくなり、弁護側に有利になる。

人の信用というのは非常に重要だ。オオカミ少年の話と同じで、信用がない人の話は誰も信じない。だから安倍首相は野党やマスコミがあることないこと言いまくることを「印象操作だ」として嫌う。他人から印象を悪くされると、自分でそれを元に戻すことは難しい。信用は落ちやすいが、上がりにくい。

現在、国会は会期が終わって閉会となっているが、加計学園の獣医学部新設問題で閉会中審査が行われている。
そのなかで、前川喜平・前文部科学事務次官に対し、出会い系バーに出入りしていたことを前川が貧困調査と説明したことに対して維新の議員がただしていた。それに対し、前川は「調査という言葉遣いは適切ではなかった」と答弁した。

調査が不適切ならば、なにをしに行ったのか、出会った女の子に5千円を小遣いとして渡していたのはなんなのか知りたいもんだが、それについては言及がなかった。
維新からの追求に返す刀で前川は、「個人的な行動がどうして全国紙で報道されるのか。読売新聞に出たことを問題にすべきだ」と反撃した。

これらに関しては、多くの人の想像通りなのだろう。
前川喜平はスケベ心で出会い系バーに週3回の頻度で出入りし、お気に入りの女の子に小遣いを渡していた。
前川喜平のその弱みを握っていた官邸側が、前川の信用を落とすために「出会い系バーに出入りしているエロ官僚だった」という情報を読売新聞に流し、読売新聞が官邸の意向のままに報道した。
これ以外になにがあるのか。

官邸側はスケベ心丸出しの前川をアピールすることで信用を落とそうとしたが、図らずも違う角度で前川は信用を落とした。
別に出会い系バーに出入りしていようがいまいが、気にするのは前川の家族くらいで、前川は恥を忍んで認めればよかった。ところが、いらぬプライドが邪魔をして「貧困調査のため」などとウソをつくから信用を失った。このようなことでウソをつくヤツは、ほかのことでも平気でウソをつくにきまっている。
前川は信用ガタ落ちの証人となってしまった。そもそも、こいつは文科省の天下り斡旋で処分された事務次官だし、自分が事務次官時代に今回の加計学園の問題には一切触れなかった。
アメリカの法定ドラマなら、そこを厳しく突かれてボロボロになるタイプである。多分、掘り返せばもっとボロが出てくるに違いない。

ただまあ、前川に対するのが首相官邸や文部科学省だというのがこの対決のショボいところだ。安倍内閣の支持率は最新調査で3割に急落し、不支持率も5割近くまでになった。加計学園の問題や、大臣、自民党議員らの言動で一気に支持率を下げ、大きく信用を損ねてしまった。文部科学省などはなから信用されていない。

森友学園の籠池泰典みたいな信用度ゼロの男は論外として、信用できないもの同士の対決ではどちらが勝つか分からない。
とはいっても、裁判ではないから勝者も敗者もなく、結局なにかよく分からないまま終わってしまうに違いない。

先にも述べたが、一度落とした信用を取り戻すのは至難の業だ。松居一代見ても分かるだろう。一度でもキチガイみたいだと思われて信用を失ったら、そのあとなにを訴えても誰も賛同してくれなくなる。
安倍首相は東京五輪後までを目指した今後の政権運営のためにも、信用を取り戻さねばならない。どうすれば信用を取り戻せるだろうか。
大臣の首をすげ替えたところでどれだけ効果があるか分からない。
北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込み、北朝鮮をボコボコにするとか、拉致被害者を北朝鮮から取り戻すくらいしないと急な回復は難しそうだ。
そのうちみんな忘れるから、徐々に支持率も回復していくのかも知れないが、それを上回るペースでさらに信用を下げるようなことが起こるかもしれない。

安倍一強などといわれ、盤石だと思われた安倍政権もいうほど安定はしていなかった。
ほかに総理大臣として期待できる議員などいないのだから、せいぜい頑張って貰うしかない。