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今日の産経新聞朝刊の外信コラム「台湾有情」で台湾のシェアサイクル事情について書かれていた。

【産経ニュース】乗り合い自転車文化、日本でも… (7/13)

シンガポールの企業が台湾で「oBike」というシェアサイクル事業を始めたという内容で、乗り捨て可能なシェアサイクルサービスだ。
コラムにあるが、台湾には既に「YouBike」というシェアサイクルサービスが9年も前から存在する。既に十分に市民権を得ているサービスであるが、「oBike」はそれに風穴を開けるものらしい。

先月台湾に行ったとき、初めて「YouBike」を利用してみた。空港で電話番号付きのSIMを購入してSIMフリーのスマートフォンを持っていれば、簡単に利用することができる。
台湾でよく使われている交通系ICカードのヨーヨーカを使って自転車を借りる。本人確認とヨーヨーカとサービスを結びつけるため、電話番号を登録したらSMSに認証番号が来る。

「YouBike」の利用の仕方は台北ナビなどで紹介されているので、それを見ながら自転車が多く止めてあるサイクルポートのターミナルで設定すればすぐ使えるようになった。
台北で泊まったホテルは駅から歩いて15分くらいのところにあり、駅前で買ったものをそのまま持ち歩くのもイヤだが、かといって歩いてホテルに戻るのも面倒くさい。そんなときにシェアサイクルを借りた。
地下鉄の駅周辺には必ずサイクルポートがあるので、そこで借りて、さっとホテルに戻って荷物だけ置いてきた。ついでに迪化街(ティーホワチエ)という問屋街で乾物なんぞを買いに行き、それもホテルに置きに帰った。
多分1時間のレンタルで、料金は15元(56円)だった。非常に安い。

「YouBike」は非常に便利だが、サイクルポートで借りるのはいいとして、サイクルポートに返さないといけないのが問題だ。例えば、駅からホテルまで歩きたくないから自転車を借りようと思っても、ホテルの近くにサイクルポートがなければ意味がない。ホテルから離れたポートに返しに行くくらいなら、最初から借りないという場面が多く出てくる。

その反面、「oBike」は乗り捨て可能なので返すときの問題はおきない。ただ、自分が借りたいときに専用アプリで自転車のGPSを頼りに探すわけだが、近くにあるとも限らない。返すときはいいが、逆に借りるのがちょっと邪魔くさくなるかも知れない。
この乗り捨てシェアサイクルは中国ではもっと進んでいて、「Mobike」というサービスで知られている。

便利だとは思うが、「oBike」にしても「Mobike」にしても、マナー問題が常に付きまとっている。道を塞ぐなどあり得ない状態で乗り捨てられたり、ほかの人が借りられないよう隠した状態で返したことにして、自分だけで専有してしまうこともあるようだ。自転車が壊されることも多いという。

「YouBike」の場合、台湾の自転車メーカーのジャイアントと行政が共同でやっている事業で、自転車の点検は常に行われている。何度か借りたのだが、サイクルポートで自転車の点検をしている人をよく見かけた。
乗り捨てシェアサイクルの場合、点検が行われにくいだろうし、安全面でいろいろ問題がありそうだ。借りようとしたらパンクしていたとか、誰かがブレーキに細工しないとも限らない。

台湾の「YouBike」は成功しており、市民や観光客の足としてよく利用されている。日本でもシェアサイクルの社会実験が大都市行われているが、いろいろ問題があるらしい。
日本では30分のレンタルに150円もかかる。中国や台湾が20円くらいであることを考えるとべらぼうに高い。自転車の点検やポート管理などの人件費が高いのだろうか。
また、自転車の乗り捨てにも問題があり、必ずマナー問題が浮上すると思われる。
そのため、中国の「Mobike」が今月から福岡などでサービスを開始するようだが、乗り捨てではなくコンビニに併設されたサイクルポートに返却する形になるという。

日本は放置自転車に厳しい。昔から放置自転車が社会問題化されており、シェアサイクルのサービスで放置自転車だらけになったら業者の責任になることは間違いない。だから足踏みするのだ。
中国では行政の協力があったことでシェアサイクルサービスが数多く展開されるようになり、利用者が増えたが放置自転車も増えて大変なことになっているという。今では行政側がシェアサイクル事業に協力しなくなったようだ。

日本は中国とはマナーのよさが違うからそうはならないと思う人がいるかも知れないが、日本では自転車の窃盗が多い。自転車を盗むことにあまり抵抗を覚えないヤツが結構いる。自転車に関してその程度のマナーしかなく、そのくせ国民が自転車をよく利用する国ではシェアサイクルがうまくいくとは思えない。

観光客からするとシェアサイクルは非常に便利だ。だが、中国のように事前登録や保証金が必須で外国人が利用できないシステムなら意味がないし、それらを解決しても乗り捨てのシェアサイクルだとマナー問題が必ず浮上するはずだ。現在のポートに返すタイプを割高な料金で続けても、誰も使わないだろう。

コラムにあるように、2020年の東京五輪に向けて外国人観光客の利便性を考えてシェアサイクル事業を展開するのもいいかも知れないが、たぶんうまくいかない。
ポート返却式で料金も30分50円くらいまで下げられればいいかも知れないが、今から都市部のどこにサイクルポートを準備するのかなどの問題も山積である。

台湾の「YouBike」と同じくらいのレベルのサービスができればやるといいが、それが無理なら最初から手を出さない方がいいだろう。
日本ならなんでもできるなどと思わない方がいい。寧ろ日本でできないことの方が多いのではないか。