20171020-1

今週、仕事上のトラブルで大変な状況が続いている。土曜日の夜に「明日出勤してトラブルのあった製品を宅配で受け取って調査するように」と言われ、日曜日に休日出勤した。
昨日19日(木)は関東方面に出張して打ち合わせをした客が「翌朝に報告書を出せ」と急にゴネだして、さっさと打ち合わせを終わらせて直帰するはずが、会社に戻って調査と報告書作成をさせられるハメに。久々に会社の床で寝た。

なんでここまでしないといけないのかと不満しかないが、対応できる人間が私しかいないからこうなる。人手不足、人災不足が深刻で、そうかといって技術職の場合は新入社員を取ったり派遣を雇っても大して役に立たない。ある程度の仕事ができる人材を育てておかねばならなかったが、リーマンショック後の不景気で採用を減らし、景気回復後の売り手市場ではロクな入社志望者が来なくなった。完全のそのツケが回っている。

上司はアレコレ指示を出すだけだから楽でいいが、それで動かされる方はたまったもんじゃない。とても達成できないスケジュールに追われることになる。
会社は「お客さまのため」というが、結局は自社のためとカネのためである。大口の客を怒らせてヘソを曲げられるくらいなら、社員にプレッシャーをかけながら這いずり回させた方がいいのだろう。
それに、会社の利益を上げるには、社員をギリギリまで減らして固定費を下げるのが楽だ。そうやって社員が死ぬか死なないかギリギリの瀬戸際で仕事を回す経営者が、儲けを出すいい経営者とされている。

だから、日産や神戸製鋼の不正には同情するところがある。

日産は有資格者でないとできない検査工程を無資格者にやらせていた。無資格でもベテランなら問題ないだろうし、実際それが重大事故に繋がるとも思えないが法令違反なのは間違いない。世間にバレたあと、改善すると言ったのに平沢市の子会社の工場で続けていたことも法令の軽視であって問題ではあるが、現場では人手が足らずに止むに止まれぬ状態が続いていたのかも知れない。
しかし、そんなことは日産の経営陣はお構いなしなのだろう。人手が足りないのに、とにかく決められた分を作れと言われて現場がアタフタした結果ではないのか。
全台出荷停止措置を取らないと収まりがつかなくなるくらいになってから、社会的な世間体のために、ようやく対策を取ることになるに違いない。

神戸製鋼の安全性に関わる不正は日産のものに比べればもっと悪質だが、これも構造的な問題は日産と同じようなものかも知れない。上から降ってきたノルマがあり、それを達成するには検査NGにするわけにはいかなかった。そんなところではないか。

ただ、その影響は凄まじい。神戸製鋼の問題のアルミや銅製品はトヨタやボーイングなど乗りものを作る会社を始め、500社に出荷されているという。そこでリコールが発生した場合、費用負担は神戸製鋼になる。
タカタが欠陥エアバッグで倒産したように、神戸製鋼もこの不正が命取りになるかも知れない。現場の勝手な判断で行われたというより、上層部もなんとなく知っていたというフシがあり、日産同様に不正発覚後も不正を続けていたのだから、これはも救いようがない。
神戸製鋼は倒産するしかないだろう。

日本の製造業はお客様第一とか品質第一を掲げるところが多いが、実際はそうではない。お客様も品質も二の次になり、とにかく儲けることが使命になっている。儲かれば株主も儲かる。社員を死ぬほど働かせ、不正しないとやっていけないような現場を作り上げて放置する。

神戸製鋼の不正は、神戸製鋼だけの影響では済まなくなった。海外でも大きく取り上げられ、「日本の中国化」と揶揄されている。高くても品質がいいのが日本の製品だったのに、安くしようとして品質を落とすのであれば中国製で十分だろう。
こんなことが続けば、誰が日本製品を買うというのだろうか。

単純な儲け主義に走って現場を疲弊させる日本の製造業は、一時的にギリギリ回ってうまくいくかも知れないが、そのうち破綻して、悪事もバレて大損害を被ることになる。
カネ儲けのために毒まんじゅうを食べ、結局自分が死ぬわけだから、これほどバカなことはない。

いつから日本の製造業がこうなったのか知らないが、こんな状態が続けば、そのうち世界はおろか、日本からも見向きもされなくなるのではないか。
もうすでに、そうなりつつある。