20171208-1

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏がストックホルムのスウェーデン・アカデミーで受賞記念講演を行った。そこでイシグロ氏は5歳のときに家族とともに渡英して、英国籍を取得した自分の生い立ちを語り、自身のアイデンティティにおける日本との深い関わりを披露したという。

【産経ニュース】文学で分断の壁打破を ノーベル文学賞のカズオ・イシグロさんが記念講演 (12/8)

彼の作品を見ても分かるように、彼の源流には日本がある。イシグロフィーバーに湧く日本を見た韓国人が「日本風の名前をしたイギリス人で、イギリスで育ったから日本は無関係なのに」と、"日本の猿ども"を小バカにしていたが、彼の発言を見ても分かるように、彼と日本の関わりは深く、日本が彼に注目するのは当然である。
カズオ・イシグロという人は国籍でいえば英国人であるが、それと同時に日本人でもあるのだ。

祖国である日本に対するイシグロ氏の思いを知ると、なにか熱いものを感じる。5歳の頃からずっとイギリスにいるならば完全なイギリス人になっていそうなものだが、彼のアイデンティティの源泉はイギリスだけでなく日本にもあると彼自身が話していた。また、彼は「私の頭の中に残る日本が消えてしまわぬよう、小説という形で再構築した」とも記者会見で語っていた。望郷の念にも近い。

公演での彼の発言は日本と日本人に対するメッセージであり、非常に重要だと思うのだが、一部のメディアではあまり重要だと思われていないらしい。

【朝日新聞】カズオ・イシグロさんが記念講演 文学の力を訴え (12/8)

朝日新聞では、イシグロ氏の日本に対する発言は記事にする内容ではないと判断されるらしい。

それはさておき、自分の祖国への思いというのは、その国にいるよりも、よその国にいる方がより強く感じるのだろう。テレビ東京の「世界!ニッポン行きたい人応援団」という番組で、ブラジル移民二世を日本に招待するというのをやっていたが、彼らの日本への熱い思いが随所に伝わってきて、なかなかよかった。同じくテレビ東京の「YOUは何しに日本へ?」では、ハワイ移民の子孫が自分のルーツを探すために吸収を訪れ、祖母の生家があったあたりを見つけて涙していた。
私が同じような立場でも、同じ気持ちになったに違いない。

こういうのを見ると、難民が信用できなくなる。理由はどうあれ、難民は祖国を捨ててほかの国に移住しようとしている連中だ。断腸の思いで祖国を捨ててきたのかも知れないが、それでも祖国を捨てるという行為が信じられない。なんにしても、祖国をホイホイ捨てられるヤツなど信用できるわけがない。

シリアやバングラディシュのような最底辺の地獄のような国に生まれれば、よその国が天国のように思えるに違いない。シリアからイギリスに移り住めば、シリアのことなどすぐに忘れてしまうだろう。
日本は世界的に見れば恵まれた国であり、いいところが多い国で、望郷の念を抱くに値する国である。
しかしながら、日本にずっと住んでいると、その日本のよさが分かりにくくなってしまう。何もかもが不満に思えてしまう。

だから、日本人はもっと海外に行って日本のよさを相対的に知るべきだと思う。中国、韓国、台湾、タイあたりのアジアの国に行けば、日本より悪いところが目立ち、相対的に日本のよさを知ることになる。下を見て評価を見直すということがあってもいい。欧米などに行っても、それぞれ良し悪しがあり、日本のよさを改めて見直せる。日本の悪いところにも気づくだろうが、それは次への改善につながる。

日本人はもっと海外に行って、日本を見つめ直すべきだ。海外に滞在せずとも、旅行に何回か行くだけでも十分に効果があると思う。井の中の蛙であってはいけない。
ある国がいいか悪いかなど絶対的な評価などできるわけがなく、相対的な評価、比較でしか決められない。その基準を自分の目と経験で決めることは非常に重要であると思う。