20180107-1

3D映画が公開されるようになり、中国人が映画をネットで違法視聴せずに映画館で見るようになったため、映画界における中国市場の重要性が増した。これまでは中国は人口は多いものの誰も新作映画をマトモに見ようとしないので、市場規模問しては大きくなかった。外交映画の公開数の制限や当局からの許可が必要だったりといろいろ制限は多いが、公開されればクソ映画でも儲かる。
ハリウッドは中国人を劇場に行かせるため、3D映画で中国人が喜びそうなシーンを加えるようにした。中国人の俳優が出演するのはもちろん、中国人が大活躍するシーンを大幅に増やした。
露骨な中国よいしょのシーンは中国版のみの特別シーンとした。

それ以外に、中国人から怒りを買うシーンや設定は入れないようにした。世界の感染症の多くが中国で発生するという現実があり、ゾンビ映画の「ワールド・ウォーZ」(2013年)の原作は中国がゾンビウィルスの発生源であったが、中国人に気を遣って設定が変更された。
中国人や中国政府を怒らせるとカネが稼げなくなる。配給会社のパラマウントはそう判断した。

「アイアンマン3」(2013年)では中国人役者が登場するシーンが追加された中国版が公開されたが、あまりにも中国に迎合していることを見透かされ、逆に中国人から不興を買うハメになった。
中国人は単純であるが、ハリウッドが考えるほどバカではないらしい。

2013年は中国迎合のハリウッド映画が多く作られた年だった。「ゼロ・グラビティ」もそのひとつ。船外活動中に宇宙空間に投げ出されたアメリカ人宇宙飛行士がなんとか地球に帰還するという話であるが、中国を過度に意識していることがよく分かる。
主人公が宇宙に投げ出される原因になったのが、ロシアによる人工衛星の破壊だった。それがスペースデブリとなってアメリカのスペースシャトルを襲うのだが、ミサイルで人工衛星を破壊する実験を行って宇宙空間にゴミを散乱させ、世界中からバッシングされたのは中国であるはずなのだが。アメリカやロシアが人工衛星の破壊実験をやめて長らく経つ。
その後主人公は中国が誇る宇宙ステーションの「天宮1号」に到着し、宇宙船「神舟」に乗り込む。「天宮1号」ごと地球に落下し、主人公は大気圏で崩壊する「天宮1号」から「神舟」で脱出する。

ロシアのクソ迷惑な行為と、それからアメリカ人を救った中国の素晴らしい宇宙技術。中国人のプライドをくすぐり、中国人が泣いて喜びそうな映画が「ゼロ・グラビティ」である。

映画のなかで「天宮1号」は主人公を救うために地球に落下してバラバラにぶっ壊れて消滅してしまうが、その「天宮1号」は現実には2016年3月に制御不能となり、2年かけて徐々に高度を下げて地球上に墜落しようとしている。今年3月、北緯43度から南緯43度という広範囲の場所に中国の宇宙ステーションが落下する可能性があるのだ。

2011年に打ち上げられた「天宮1号」は、本来なら映画が公開された2013年に役目を終え、制御させて海に落下させるはずだったのだが、「天宮2号」の打ち上げが成功するか分からないなか、「天宮1号」はそのまま地球の周回軌道に置かれることになった。「天宮1号」が制御不能になった数か月後に「天宮2号」の打ち上げに成功したものの、「天宮1号」はどうすることもできない。中国の身勝手な判断で、「天宮1号」は宇宙空間最大のスペースデブリとなった。それが、地表に落下するのである。これはもう人災としか言いようがない。

専門家は「天宮1号」は大気圏突入時に燃え尽きてしまうとしているが、一部の専門家は「エンジンが燃え尽きてなくなることなどない」としている。「天宮1号」は重さ8.5トンで、大部分が燃えたとしても数百キロの塊が空から降ってくる恐れがある。「君の名は」の隕石ほどの威力はないが、数百キロの鉄の塊が上空350キロから人口密集地に落下したら大変なことになるのは誰でも分かる。
そのうえ、ロケット燃料が残っていた場合、それに含まれるヒドラジンという物質は強毒性で、人体の粘膜を腐食させ、肝臓に深刻な中同症状を及ぼすという。

地表の7割くらいは海であり、3割の陸地のうち人が住んでいる場所に限るともっと少なくなる。北緯43度から南緯43度に限るとどのくらいの割合になるか分からないが、「天宮1号」が人の居住区域に落ちてくる可能性はゼロではない。落下地点は予測不能で、北海道の北部を除く日本のほとんどが落下範囲に含まれる。
落下地点が判明するのは落下の6時間前らしいが、もしどこか地表に落ちるとなると大変な騒ぎになるだろう。日本に落下するとして、ミサイルで迎撃などはできるのだろうか。

阿蘇山の火砕流が130キロ先の愛媛の原発に届く可能性があるから原発稼働禁止と判断した裁判官がいる。九州全土だけでなく四国まで火砕流で焼き尽くすような阿蘇山の大噴火によって原発事故が起こることより、「天宮1号」の燃えカス数百キロが鉄の塊となって原発に墜落する可能性の方がよほど高そうだ。中国の宇宙ステーションが降ってくる可能性があるから原発再稼働禁止とは判断されないのだろうか。

大気汚染やら毒入り食品やらで世界中に迷惑をかけまくる中国であるが、宇宙のことでも世界に迷惑をかけまくっている。映画とは真逆で、宇宙飛行士を救うどころか、地上の人間に災害をもたらそうとしている。
「天宮1号」が北京に落下して、中国が文字通り天誅を受ければいいと思う。