20180521-1

日本で大卒就職率、高卒就職率ともに98%を超えたと韓国でニュースになっていた。いちいち日本と比較せねばならない韓国では、自国の大卒就職率が67%であるとし、日本に圧倒的に負けていると白旗を上げていた。
韓国では昔から都合のいいときに日本を利用しようという意味で"用日"が掲げられているが、不景気にともなう就職難が続く韓国では政府が学生に対して日本での就職を支援しているという。韓国に就職先がないなら日本に行けばいいじゃないかという考えだが、本当に都合のいい連中だ。

韓国では就職率が67%だというが、学生が心の底から就職したいと思っているのが安定した公務員か、高給が望める財閥系企業だ。韓国にある十大財閥の本体に就職できるのは1%にも満たず、文字通り狭き門になっている。一流大学で、TOEICも高得点で、箔付けのためにボランティアも数多くこなした学生が好まれるという。エリート中のエリートだけが財閥系の一流企業に入れる。

それ以外は負け組とみなされているのだから、韓国は厳しい。日本は就職希望ベスト20の会社でなかったとしても、それなりに給料が貰え、安定している会社が多いが、韓国は財閥系企業以外はほぼカスとみなされ、実際そうなのだから仕方がない。

ひと握りの勝ち組が厳しい競争に勝ち抜いて一流企業に就職したとしても、その先はさらに厳しい競争が待ち受けている。日本でも出世競争はあるだろうが、出世しなくても会社に残っている人は山ほどいる。韓国の一流企業は40歳くらいまでに管理職になれなければ子会社に左遷されるかクビになる。だから、韓国の一流企業の社員は本当に厳しい。
競争に勝ち抜いたエリートだけあって、自信あり気な立ち居振る舞いであるが、自分の担当業務の失敗は自分の出世に関わる。だから下請けやら製品の購入先に厳しく当たる。後輩社員にエラそうにしているのが多い。

韓国人は自分をエラく見せるのが好きなので、海外の企業から買っている製品でトラブルがあると、その企業の韓国国内の社員ではなく、本国の営業やら技術をすぐに呼びつけようとする。自分の力で外国から担当を呼びつけたということを示したいのかも知れない。
そんなしょーもないことのために、私のようにいちいち韓国に行かされる方にとったら堪ったもんじゃない。

子供時代時代から勉強で競争し、一流企業に入ってからも社内で競争し、敗れれば落伍するのみ。破れた者は子会社でほそぼそと仕事をするか、クビにされてチキン屋でも開いてボッタクリをするしかない。

それを思うと日本は幸せだ。それなりにいい企業がたくさんあり、今では完全な売り手市場で入社先を選び放題だ。企業はなんとか学生に会社説明会に来てもらい、面接して貰うよう努力し、採用した新入社員が辞めないように気を遣う。ブラック企業もずいぶん減ってきた。

日本より劣る韓国の労働環境を見ると、日本がずいぶんマシに思える。下を見れば自分が相対的によく思えるものだ。
リーマンショック以降、徐々に日本の景気は回復し、特にアベノミクスはそれなりの効果があったように見える。円安で景気がよくなり、就職率はうなぎのぼりで回復し、観光業も大成功。
日本ではアベノミクスを悪く言う人が多いが、韓国人は口を揃えて景気回復という成果を出しているアベノミクスを羨ましいといい、安倍首相の経済政策だけは評価している。

韓国のこれは、隣の芝が青く見えるというやつなのだろうか。日本にいれば自分の庭の芝が青いのかどうか分からなくなってくるが、韓国や台湾に行ってよその企業や社会を見てみると、日本はそれよりもかなり恵まれていると思うほかない。
日本の現状について、上と比較するか下と比較するかの違いなのかも知れないが、たまには下を向いてみて、自分たちの置かれた状況を見るのも悪くない。