20180719-1

テレビのニュース番組を見て、嫁さんが「このオバサン最近見なくなったね」と言ったオバサンが小池百合子だった。
政界渡り鳥と揶揄された女政治家が自民党の総裁選で石破茂に付いて安倍首相に冷遇され、都民ファーストの会をぶち上げて都知事になり、その勢いで希望の党で手下を国政に送り込もうとしたものの失敗。
小池百合子が注目されなくなったのは、その希望の党の失敗と、築地市場の移転に関するゴタゴタによって都民のみならず国民から見限られたためだろう。並み以下の政治家であることがすぐに露見してしまい、急速に有権者の興味が薄れて、今も現役の都知事ながら「あの人は今」状態になってしまった。

その間に出てきた小池百合子の目立ったニュースは、「カイロ大学を主席で卒業」という経歴がウソではないかという文藝春秋による学歴詐称のニュースだけだった。
小池百合子は世界一難しいとされるアラビア語を話せることになっているが、アラビア語ネイティブのフィフィなどによると卒論を書いて大学を出られるようなレベルには到底到達しておらず、卒業証書なる文書もあやしさ満点だそうだ。
小池百合子がカイロ大学を出ていようがいまいが今さらどうでもいい。築地市場の豊洲移転のマッチポンプと相次ぐ先送り、不透明な決着を見ればどれだけ程度の低い政治家であるかはすぐに分かる。政治家は学歴で判断するものじゃないし、政治家が元々ウソつきなのは百も承知だ。

小池百合子は東京五輪の予算の適正化も公約に掲げていたが、結局中途半端に終わった。一部協議を横浜市に押し付けようとして断られるなど、豊洲と同じグダグタ感が漂うだけだった。

小池百合子の東京都知事としての実績があるのか知らないが、東京都議会が成立させた受動喫煙防止条例はよかった。小池百合子の方針がふんだんに反映されているという。
国会で成立された受動喫煙防止法はハッキリいってザルみたいなもんだ。大手飲食チェーンが禁煙になるくらいの影響しかないだろう。タバコ関連企業や団体の手先となっている議員の頑張りで、腑抜けみたいな法案になった。客席面積100平方メートル以下、資本金5000万円以下の既存店は喫煙可のままだ。この条件では全国の半数の飲食店が現状と同様に喫煙可のままにできる。
一方、東京都の条例では従業員を雇っている飲食店が全面禁煙となるため、家族でほそぼそとやっている飲食店以外は軒並み禁煙となる。喫煙可にできるのは全体の15%程度しかないと見られ、かなり効果的だ。

私は喫煙者ではないが、学生の時分に喫煙していたので、タバコを吸いたくてしょうがない喫煙者の気持ちはある程度分かるが、わざわざ飯の席で吸う必要などない。
たまにファミレスで飯を食べながらタバコを吸っているヤツがいるが、飯を食っている間もタバコをガマンできないくらいのヘビースモーカーがいることが信じられない。居酒屋で酒を飲んでいるときにタバコを吸いたくなるのはまだ分かるが、ガマンすればいいだけに思える。
食事が終わってから外で吸う、飲み会で中座して外で吸う。2階にある店など、外で吸えない場合もあるだろうが、基本的にそれでいい。飲食店は全面禁煙にすべきだ。

健康増進とか受動喫煙防止という理由がつけられているが、簡単にいうと嫌煙法、嫌煙条例である。飲食店で居合わせた隣の客が吸っていたタバコの副流煙で直ちに健康被害が出るわけないし、それが週に何回かあっても何の影響もないだろう。単にタバコを吸わない人間にとって、タバコがめちゃくちゃ不快だから飲食店での禁煙は進めるべきなのである。
喫煙者がある程度理解しているといっても、タバコの匂いがどれだけ酷いか気が付いていない。ヘビースモーカーはタバコを吸っていなくてもカラダからタバコの匂いがするが、不快このうえない。しかし、本人はタバコ臭いことをあまり分かっていない。

それに、他人が吐き出すタバコの煙を吸うことは、他人が吐いたゲロを口にするのと大して変わらないということを喫煙者は理解すべきだ。煙は粒子であり、その粒子を喫煙者がいったん肺に取り込み、吐き出したものを他人が吸うわけだから、いったん胃に取り込んだ食べものをゲロとして吐き出し、それを他人が食べるのとシステムは同じなのである。
それをイメージすれば、喫煙者の煙がどれだけ不快か想像つくだろう。どこかの知らないオッサンが肺に取り込んだ粒子を吸わされることほど不潔なことはない。

日本は禁煙に関しては後進国だ。韓国や台湾でも飲食店では一切禁煙なのに、日本だけ子供が出入りするようなファミレスでも喫煙可だったりする。喫煙席と禁煙席に分かれていても、なんの間仕切りもなく、なんの意味もなさない店も多い。
韓国出張のときに居酒屋で飲んでいると、隣のオッサンふたりが急に立ち上がって店から出ていくので食い逃げなのかと思ったら、ドアが開けっぴろげに店の前でタバコを吸って立ち話をし、タバコの吸い殻を道路に投げ捨てて席に戻ってきた。店内禁煙だから、とりあえず外に出て吸っていたわけだ。
それがいいかどうかは分からないが、少なくとも日本でやっていることよりも意味がある。

国会で成立した受動喫煙防止法は、飲食店全面禁煙には程遠い内容だ。結局、居酒屋で誰かのタバコの煙を吸わされることになるに違いない。
それに対して東京都はもっと踏み込んだ禁煙条例にしたのだから、小池百合子が主導したのであれば、その点だけは褒めていいと思う。

国も小池都政に倣って受動喫煙防止法をもっと厳しくすべきだ。こんなことを言う日が来るとは思わなかったが、いいことはいいと受け入れるべきなのである。