20190111-1

YouTubeで台湾のバラエティ番組を見ていると、最近になってAKB48 Team TPのメンバーがちょこちょこ出演しているのを見かけるようになった。
AKB48 Team TPとは、前身のTPE48から名前を変えて発足したアイドルグループだ。秋元康が総合プロデューサーで、AKB48などを統括するAKSという芸能プロダクションが台湾の芸能事務所とライセンス契約を結んで運営している。
元々あったTPE48は6年かけてようやく発足させたグループなのに、現地合弁会社の芸能事務所がスタッフや所属メンバーへの給料を支払わず、スタッフが手弁当でやりくりしていたことが明らかになって大きなニュースになった。AKSはライセンスを解消し、TPE48をなかったことにして新たに発足させたのがAKB48 Team TPだ。

苦し紛れのネーミングが笑えない。
AKSは上海で発足させたSNH48と契約トラブルで乗っ取られて手放したことがあり、昨年別にAKB48 Team SHというグループを立ち上げた。
AKSという会社はグループ運営を現地に丸投げし、問題を起こしたらさっさと切って別グループを立ち上げるのが得意らしい。実に無責任な芸能プロダクションだ。

ジャカルタのJKT48はそこそこ成功したものの、現在は人気にやや翳りが出てきて先行きが怪しくなった。
バンコクのBNK48は昨年に奇跡的に成功してタイで社会現象化したのだが、その成功をアピールしようと昨年の紅白歌合戦にちゃっかりBNK48のメンバーを呼んでタイで大ヒットした「恋するフォーチュンクッキー」を歌わせていた。

AKB48のことは詳しく知らないが、AKSという会社の海外展開を見る限り、この会社はとにかく胡散臭い。問題が出たら"ないない"して、しれっと新しくやり直す。
AKB48 Team TPではAKB48本体から移籍した阿部マリアという漫画みたいな名前の日本人メンバーが現地で人気らしいが、まあAKB48 Team TPはうまくいかないだろう。台湾で細々と活動しているアイドルグループとなんら変わらず、人気が出そうな要素がない。握手券商法も台湾には合わないだろう。

AKB48 Team TPはどうでもいいとして、今週、AKSが絡んでいる新潟のNGT48でグループ全体を揺るがすような大事件が起きた。
山口真帆という総選挙70位のメンバーが昨年12月8日(土)に自宅マンションに帰宅したところ、玄関先にファンを名乗る男ふたりが押しかけてきた。押し倒されそうになった山口がマンション廊下で大声を出したところ、男に口を塞がれるなどしたという。男らは駆けつけた警察に現行犯で逮捕された。

それだけならイタいファンがアイドル宅に押しかけただけの事件であるが、ことの真相はもっと深い。
山口真帆本人が今月9日(水)になってAKBグループのメンバーがやっているライブ配信サービス「SHOWROOM」で大きなトラブルに見舞われたことを明らかにし、後でTwitterでファンに襲われたこと、グループ内のメンバーが自身の個人情報を男に提供していたこと、1か月経っても運営側が何もしてくれないことを訴えた。そこでようやく事件が明るみに出た。

押し入った男と情報を漏らしたメンバーが悪いのだが、10日(木)のNGT48の3周年記念公演で何故か山口真帆が「世間を騒がせてしまい申し訳ありません」と謝罪した。
被害者が謝罪させられるというメチャクチャさである。そんな対応が批判され、NGT48の運営母体であるAKSはしぶしぶ事実関係を認め、謝罪文を公式サイトで発表した。それによると、メンバーのうちの1名が道で出会った男に山口真帆の自宅までは知らないものの、帰宅時間が推測できるような情報を提供していたという。

山口真帆宅に押し入ろうとした男たちは不起訴処分にされている。マンションに侵入し、嫌がる女性を押し倒そうとして口を塞いだとなると住居侵入や暴行の罪に問えそうなものだが、警察が下した判断は不起訴。これは公判が維持できないと判断されたというより、被害者からの申し立てがあったからだろう。
あくまでも推測になるが、NGT48のなかに山口真帆の元へ男をけしかけたメンバーがいた。これが事件化するととんでもないスキャンダルに発展するので、NGT48の運営が山口真帆に圧力をかけて訴えを取り下げさせた。誰が見てもそのようにしか見えない。
NGT48の運営は山口には1か月以内に解決すると約束していたが、何の進展もないことに業を煮やした山口がネットで全部ぶちまけてしまった。

また山口はTwitterでマンションの自室の前に住む別のメンバーの部屋から男が出てきて自分を押さえつけたとも書いていた。
それが事実なら、ファンの暴走などではなく、メンバーによる襲撃以外にほかならない。

にも関わらず、男に他のメンバーを襲わせるメンバーはお咎めなしで、グループの内情を暴露したメンバーには公衆の面前で謝罪させるわけである。それがアイドルグループNGT48で、芸能プロダクションAKSだ。
これほどブラックな団体、企業があるだろうか。韓国の芸能プロのようにメンバーに枕営業もさせているのではないか。

NGT48を運営するAKSは、所属するアイドルグループのメンバーを守るのではなく、グループを守ることしか考えていないらしい。グループメンバーが襲撃事件に関与していたとなると下手をすればグループの解散に結びつく。それだけは絶対に避けたいので、事件化しないよう手をうち、被害メンバーをいいくるめてなかったことにしようとした。

上海のSNH48や台北のTPE48がなかったことにされるのは笑い話で済むかも知れないが、NGT48のメンバー襲撃事件は笑えない。隠蔽を平気で行い、被害者に自分が悪かったと言わせる芸能プロダクションなど日本にあっていいわけがない。

AKB48を始めとするAKS関連の芸能ゴシップは、ジャニーズと同様にテレビ局の情報番組やスポーツ紙、一部週刊誌で扱えないタブーだった。だから、ワイドショーやスポーツ紙の記者が集めたゴシップが芸能界と腐れ縁のない週刊文春に持ち込まれて記事にされる。
ところが今回はさすがに酷いとして、情報番組で取り上げられ、AKSが批判される事態になっている。AKBグループ自体に勢いがなくなってきている証拠であるが、これを機に徹底的にAKSを叩きのめすべきだろう。
芸能プロダクションなどヤクザの巣窟みたいなものだが、本当にヤクザ顔負けであってはならない。今回の件でも、運営に対して文句を言えるのはグループを卒業した元メンバーと、卒業が決まっている指原莉乃だけ。余計なことを言わせないよう箝口令を敷いているのだろうが、それが逆に運営の闇を感じさせる。

そんな運営に支配されているアイドルグループをファンは心から応援できるものなのだろうか。AKSはどつき回して女に言うことを聞かせるポン引きのようではないか。
酷い運営にこそお灸を据えなければならない。