昨年末、安倍首相が自身のFacebookやTwitterに年末年始に読む本として3冊購入したとアップしていた。その3冊は、百田尚樹の「日本国紀」、板垣涼介の直木賞候補作「信長の原理」、産経新聞紙上で連載されていた「全体主義と戦った男 河合栄治郎」だった。
これらについて韓国の新聞記者やリベラルな日本人が「3冊中2冊が右翼の本」として批判している。特に批判の対象となっているのが「日本国紀」だ。反日に忙しい連中は百田尚樹の本がとにかく気に入らないので、これに関わった人をとにかく叩きまくる。安倍首相も飛んで火に入る夏の虫として、格好のターゲットになった。
私も「日本国紀」を買って読んでいる途中だが、これのなにが悪いのかがよく分からない。
結局のところは保守思考の人が歴史を語ることを許せないだけだと思うのだが、それだといかにもアホみたいなので間違い探しでケチを付けているようだ。
批判の内容を見ると、「Wikipediaから転載している」というものや単なる間違いの指摘ばかりだ。その手の間違いはどんな本にもよくあって、改版するごとに修正されるのが普通だから「さもありなん」みたいな感じだが、アンチからすれば「百田が間違った歴史を吹聴している!!」と騒ぎまくらねば気が済まないのだろう。
「日本国紀」は学校で使う歴史の教科書ではなく、百田尚樹の私見を挟んで日本の歴史を語るという本であることをよく分かっていないのだろうか。
そんなリベラルにとって噴飯ものの「日本国紀」を安倍首相がSNSを使って宣伝したというのが許せないらしい。安倍首相が「買ってね」と宣伝したわけでもないのに、「これから読みます」とSNSにアップしただけで批判される面倒臭い時代になってしまった。
新しい歴史教科書をつくる会の教科書批判も似たようなものだが、特に民族主義的なことが書いてあるわけでもないのに批判ばかりが寄せられるのが理解できない。
そんなになにが気に入らないのかと思うが、リベラルな人たちにとっては日本の歴史そのものも嫌いなのだろう。「日本国紀」にもあるが、日本の歴史は日本の神話から切って切り離せない。歴史書である古事記がそうであるように、史実と神話がごっちゃになっている。神話は真実ではなかろうが、史実に基づいたであろう内容も散見されるし、なにより神話が日本の歴史、風土、風習などと深く結びついている以上、日本の神話は必ず学ばねばならない。
しかし、りベラルにとって神話とは皇室の偽りの歴史であり、そんなものを歴史教育にからめることは絶対に許せないのだろう。だから、神話に関する記述があるつくる会の教科書も「日本国紀」も許せないのではなかろうか。
日本人ならば、古事記や日本書紀といった記紀に記されている日本の神話は必ず知っておくべきだ。それを歴史で学ぶのが不適切というならば、国語の時間でもなんでもいい。学校で子供たちに学ばせるべきだろう。
神話に出てくる神々を知れば、家の近くの神社や初詣に行った神社にどの神様が祀られているかに興味が持てるだろう。私が住む滋賀には、イザナギとイザナミを祀る多賀大社がある。かつてはアマテラスを祀る伊勢神宮よりも「お多賀さん」への参拝の方が賑わっていたという。
神社のみならず、日本の山も神話と関わっていることが多い。また滋賀の話になるが、滋賀の伊吹山の山頂にはヤマトタケルの像が祀られている。ヤマトタケルはかの草薙剣を置いて素手で伊吹山の荒神を退治しに行って死にかける。
台湾の旅番組をYouTubeで見ていたら、山陰地方を旅していて、海岸に点在するウサギの銅像を触っていたのだが、海の方を見ているウサギに関してなんの説明もなかった。これでは視聴者はまったく意味が分からないだろう。海岸になぜかウサギのオブジェが置いてあるくらいにしか感じない。これはもちろん古事記にある因幡の白兎なのだが、それを知らないとただのウサギになってしまう。
今月からリブート版アニメ「どろろ」の放送が始まったが、第1話の冒頭で生まれてきた百鬼丸の体のパーツが12の鬼神に奪われて不具の身となってしまい、川に舟で流されてしまうシーンが出てくる。これは古事記にあるイザナギとイザナミの間に生まれた最初の子であるヒルコが不具で不浄の子であるとして葦の舟で川に流された逸話と同じである。
ついでにいうと、イザナギとイザナミは日本の国土を生み出す国産みをした神で、最初に大八島と呼ばれる8つの大きな島を産む。それが淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島、本州である。日本の神話にあり、古事記にも記述され、ずっと日本人が住んでいる対馬について「対馬は日本に奪われたニダ」と主張する国があるが、それがどれだけめちゃくちゃかは神話を知ればよく分かる。
このように、そこらへんにある神社や山、設置されたオブジェ、漫画のプロットなど、神話を知っているのと知らないのでは広がりも受け止め方もまったく異なってくる。だから日本人にとって日本の神話を知ることはいろんなことのプラスになる。
学校で神話を教えると天皇崇拝に繋がると、風が吹けば桶屋が儲かるみたいな主張をするヤツがいるがそんなことはない。単に人生を少しだけ豊かにできる。だから神話を大人になってから興味のある人だけが本を読んで学ぶのではなく、子供の頃から知っておくべきなのだ。
コメント
コメント一覧 (3)
まあ、ネットで調べればすぐに出てくる便利な世の中ですし、賢明な方は自分で調べるんじゃないですかね。学校では、そういう好奇心をくすぐるような教育のほうが大切だと思います。無理やり詰め込んだって身に付かないですよ。
奴等が騒げば騒ぐ程、本の宣伝になるのは恒例になってますね。
まあ確かに「学校で学べ」って言われるから反撥したくなるってことはあるんでしょうねぇ。
子供だと日本の神話とか自分で調べようとはなかなか思いませんから、図書室にマンガでわかる古事記みたいな本を入れるのがもっとも効果的かも知れませんね。図書室にわずかばかりある漫画は必ず読まれますしね。
>> sandaさん
「○○という説があるが、私は△△だと思う」と書いてあって「ほうほうなるほど」としか思いませんでした。
めちゃくちゃ右寄りというわけでもなかったんですが、百田尚樹が書く本だからという理由で批判され、騒がれるんでしょうね。まあ、社会を騒がすほどの騒ぎにはなってませんけどね。せいぜい見かけた人「どんなもんか読んでみようか」と宣伝している程度ですね。