20190118-1

死んだ私の父親はサービス業の仕事をしていて、大阪府内になる店舗の支店長で部下が200人いた。
超大手企業なのだが、200人も部下がいるとなかには変なのもいて、出社してこなくなった部下の寮の部屋を訪れると部屋中アムウェイの商品で溢れかえっていたという。マルチ商法で首が回らなくなってトンズラしたらしい。

父親がなにげなく口にしていたのだが、勤め先ではひげを生やすことが禁止されていて、いつも部下に指導していたらしい。ひげは不潔感を与えるという理由らしいが、それ以外の理由として「ひげを伸ばすやつはアカやからな」と言っていた。共産党員の全員がひげを生やしているとは思えないが、昔はそういう認識が多かったようだ。

今でもサービス業に従事している人に対して服務規程のようなものでひげを禁止している企業が結構あるという。キチンと整えられたひげはいいのかも知れないが、無精ひげのようにしていると不潔っぽく見えるので当然かも知れない。たまにイチローみたいなひげを生やしているのがいるが、あれはイチローがやるからカッコイイのであって、イチローでもスポーツマンでもないヤツがやってもカッコよくもなんともない。
ひげなんぞ剃ってサッパリしている方がいい。それに、個人的な意見になるが、ひげを生やしている人はひとクセあるような変なのが多い。仕事でどうでもいいことでいちいち突っかかってくるのが、ひげ社員のイメージだ。経験則でそう思うようになってしまった。

大阪市では、橋下徹が大阪市長だった時代に交通局が「身だしなみ基準」を制定し、橋下の意見に合わせて職員に対してひげ禁止を申し渡した。
それに対し、ひげが理由で人事評価を下げられた職員2名が「憲法13条に違反する」として大阪市に慰謝料として450万円の賠償を求めた訴訟を起こした。ひげで憲法を持ち出すとか頭がオカシイのかと思うわけだが、大阪地裁はもっとオカシイようで、訴えを認めて大阪市に44万円の支払いを命じた。

大阪市の吉村市長はこれを不服とし、控訴する方針を明らかにした。吉村市長は「ルールを守っていない職員が評価されるのはおかしい」と言っていたが、そのとおりである。
ひげの職員が大阪市交通局で仕事を始めてからあとでひげ禁止のルールができたわけだが、それでも規則を守らないことを当然とするのは間違っている。規則が社会規範に照らして異常すぎるものなら話は別だが、そうではあるまい。訴えた職員2名は運転士だったらしいが、規則も守れないヤツが電車の運転をしていいとは思えない。

訴えを起こした運転士は記者会見で「ひげは個性の表現で、そると自分ではなくなる」と語っていた。アホ丸出しである。タトゥーを個性だと主張する大阪市のチンピラ職員となにが違うのか。ひげでしか出せない個性なんぞ個性ではないし、そもそもなぜ個性を出さないといけないのかが理解できない。
単に「おれがひげを生やしたいから生やす。雇用主に文句を言われる筋合いなどない」というのが本音だろう。

公務員やそれに準ずる職業の連中にはどうしてこういう主張が認められるのだろうか。
学校の教師でも自分の信条を理由にして国歌斉唱の際に起立しなかったり、国旗の掲揚をしなかったりするのがいる。
それが義務であることが嫌なら辞めたらいいのに、それだけは死んでもやらない。

今回、大阪市を訴えた連中は、大阪市営地下鉄が民営化されたために今では大手を振ってひげを生やしているようだが、昔の恨みを晴らすために市を訴えた。「オレを認めろー」というわけだが、50代にもなってこれほどの自己顕示欲の塊であることが恐ろしい。

「オレの個性を認めろ」という子供みたいな大人が増えた。てめえの個性なんか知るかってのが周囲が感じるところだが、そういううるさいヤツも認め、評価せねばならない時代になってきている。
なぜそいつは一切変わらず、周囲が変わらねばならないのだろうか。どうにも納得できない。