20190214-1

昨年の出張で韓国に3週間滞在していたのだが、一緒に行っていた同僚が「いつも見ているエロ動画のサイトが見られない」と嘆いていた。
なんでわざわざ出先でエロ動画を見る必要があるのかと思うが、一部のエロ動画サイトが見られなくなったのは確からしい。エロ動画サイトにどんなところがあるのかよく知らないが、おそらく世界でもっとも有名であろうxvideos.comは知っているので、そこを試しに見てみたら表示はされた。

宿泊していたラブホ兼用のホテルが遮断しているのかと思っていたのだが、同僚が言うには初日は見られたのに次の日からアクセス不可になり、韓国語で警告画面のようなものが出てきたらしい。韓国政府と思われる文言もあったらしいので、国家レベルで特定のエロ動画サイトをシャットアウトしているようだった。

さまざまな理由で出張先でエロ動画を見たい人がいるだろうが、海外に行く場合はmp4などのファイルをパソコンに入れて持っていった方がいい。中国や韓国でエロ動画のストリーミング再生を期待するのは間違っている。

ちなみに、台湾ではその手のインターネット規制は一切ないようだ。台湾は中国や韓国同様にエロ本で乳首を晒すのはNGであるくらいエロに厳しいが、インターネットの規制はないので皆がエロ動画を見まくっている。だから台湾人の男は日本のAV女優にめちゃくちゃ詳しい。
「綜藝大熱門」というバラエティ番組の年越し特番を見ていたら、三上悠亜という元AKB48メンバーのAV女優が特別ゲストとして出演し、番組の出演者をめちゃくちゃ喜ばせていた。プライムタイムの放送で、再放送が朝から晩まで何度も行われている番組にAV女優が出て出演者がはしゃいでいていいのかと思うが、台湾のバラエティ番組には日本のAV女優がよく出る。毎回チヤホヤされているのだが、それだけ知られている存在なのだろう。

1時間8分40秒あたりから

台湾のAV事情は置いといて、話を韓国に戻そう。
韓国は日本や台湾と違って言論の自由がない国だ。だからインターネットの検閲も昔から行われていて、放送通信委員会が親日サイトに対して制裁を行うと宣言し、実際に削除や接続の遮断が実行されているようだ。そのほか、エロサイトやギャンブル、麻薬など犯罪に関するサイトも有害だとして同様の処置が取られている。

もともとネット規制があった韓国であるが、文在寅政権が締め付けを強化した。今月11日からエロサイトやギャンブルサイトへのアクセスをさらに強力に遮断するようになった。

【中央日報】韓国政府、アダルトサイトを11日から遮断…「独裁時代か」の声も (2019/02/12)

単純なインターネット遮断ではURLをIPアドレスに変換するDNSという仕組みをうまくいかないようにすることが多い。これは情報改竄による不正アクセスにも繋がる手法であるが、これを回避するためにDNS over HTTPSという技術が使われることが多い。DNSの通信を暗号化して保護する仕組みだ。
韓国で行われるようになったSNIフィールド遮断という手法では、DNS over HTTPSも無効化するものだ。要するに、抜け道を閉じて本気でネット遮断をするつもりらしい。
今のところギャンブルとエロのサイトが中心だが、将来的に韓国でほかのサイトもアクセスできないように完全遮断される恐れがある。GoogleやFacebookを遮断する中国となにが違うのか。

インターネットの性質を考えると、検閲や遮断はそぐわないのだが、国民をコントロールしたがるアホな国ではネット検閲に手を出してしまう。そんなことをやりだしたら終わりだ。

韓国政府は「ネット検閲ではなくインターネットサービス業者が行ったこと」としているが、要請したのは間違いなく、検閲にほかならない。欧州でも行われているなどと主張しているが、欧州では裁判所が違法だと判断したサイトについて要請があって遮断されており、事情が異なる。
また、エロサイトの遮断について「盗撮などの違法撮影動画が人権を侵害している」と理由を挙げているが、日本の有料動画サイトのDMMも遮断しているので理由になっていない。単にエロを排除したいだけだろう。

日本でも漫画などの著作権侵害を無視できないとして違法サイトの接続遮断が検討されているが、やむを得ない事情があるとはいえ、あまり好ましくないことだ。一度検閲やネット遮断に手を出してしまうと歯止めが効かなくなる恐れがある。

著作権違反のファイルのダウンロードを違法とすることはまだ問題が少ないが、それでも適用範囲が拡大されて問題になっている。もともと、著作権に反する映像や音楽のダウンロードは違法だったが、漫画を対象に加えるため静止画が含まれる方針が文化庁の審議会で了承され、それにはスクリーンショットも含まれると朝日新聞が報道して物議を醸している。
スクリーンショットも禁止になると、YouTubeやアマゾンプライムなど動画配信サービスの画面のスクリーンショットを撮ってアップロードされた画像を表示しても違法行為になる恐れがある。

こうやってどんどん拡大されていくから、インターネットの規制はよくないのだ。違法ダウンロードでも影響がかなりありそうなのに、もし検閲やアクセス遮断となるともっと影響が出る。

役立つ情報、エロ、グロ、犯罪、なんでも存在する玉石混淆であることがインターネットの本質だ。誰かが勝手に決めた基準で一部だけ取り除こうとしても抜け道はいくらでも見つけ出されるだろうし、ないよりデメリットが大きい。得るものより失うものの方が大きい。
ならばインターネットの検閲やら規制やら遮断などしない方がいい。分かっていない国だけやっておけばいい。日本がそれに追従する必要などない。