週末の3連休、13日(金)に発売された「ボーダーランズ3」というPS4のゲームをずっとやっていた。一人称視点で銃を撃って敵を倒すFPSと、ゲームの登場人物になってストーリーを進めて成長するRPGをかけ合わせたゲームで、日本での人気はそこそこだが海外では絶大な人気を誇る。
ネットで注文して発売日の13日に届くようにし、宅配業者に時間指定して嫁さんに必ず受け取るようにお願いしていた。発売日に買ったゲームはその日のうちにやりたい。
普段なら仕事を定時速攻で切り上げて急いで帰宅するところが、13日は部署に配属された新人の歓迎会があった。その新人のメンターを私がやっていたこともあって、出席しないわけにはいかないので渋々参加し、夜遅くに帰宅してそこから時間があればずっとやっていた。
アホみたいにずっとゲームをやりながら、「千葉の停電地域の人はこういうこともできないんだろうな」とボンヤリ思っていた。台風被害で住宅が損壊したらゲームする暇などなかろうが、家は無事なのに電気だけ来ないせいで困っている家が未だに6万戸もある。
これまで台風の物的な被害といえば川沿いの家の床上浸水とか、農作物が全部パーになったというものばかりで、鉄塔2基とたくさんの電柱が倒れて大規模停電になり、復旧に数週間レベルといった時間を要するというのはなかった。突如現れて、文字通り風のように去っていった台風15号で誰がそんなことになると予想できただろう。
災害時の備えをしていなかった家でいろいろ困りごとが起きたのは自業自得のように思えるが、停電がここまで長引くと備えもへったくれもないから気の毒に思える。
以前我が家の冷蔵庫が壊れて冷えなくなってしまっただけでかなり困った。実家であるだけの保冷剤を凍らせて持って帰り、発泡スチロールの箱で冷蔵が必要なものを冷やしていたが限度がある。週末に食べるはずだったふるさと納税のカニが悪くなってしまうため、平日の夜に鍋をする羽目になってしまった。
冷凍食品は全部パー。食べられるものだけむりやり食べた。
4月の話だったが、冷蔵庫だけでそれである。停電だとオール電化の家では調理もままならず、カセットコンロを使うにしてもいろいろ不便だ。何より暑いだろう。地下水を汲み上げて飲用水にしている地域、水をポンプで送っている山の手の家、マンションあたりだと水も出なくなる。
電気も水もないとなるとどれだけ生活が大変になるかはニュースを見なくても用意に想像がつく。
千葉がこんなことになった原因として挙げられているのが電柱の倒壊だ。鉄塔が倒れて送電ができなくなっても、そこを通らないように迂回して送電できたはずだが、迂回ルートの電柱が倒れていたらそれができなくなる。
電線の地中化が行われていれば、台風でここまでの停電被害はでなかったかも知れない。
電線を地中化すると、地震での被害が半分くらいになるらしい。阪神大震災では地上にある電線網の10%が損傷したが、地中化されている部分は5%に満たなかったという。地中化されている場合、問題のある箇所の見分けがつきにくく、電線が地上にあるより復旧が遅れることが多いそうだが、少なくとも台風のせいで電柱が倒れて送電できなくなるということはないので今回の大規模停電被害は起きなかった可能性が高い。
電線の地中化は景観もよくなるためいいことばかりに思えるが、問題は費用である。災害の度に地中化が求められるが、日本では1キロメートルあたり4億円程度の費用がかかるといわれている。東京都が進めているがその費用は数兆円にのぼるわけで、日本全国やるとなるととんでもない費用になる。
日本でやっているのは電線や通信線を通す管を埋める方式だが、欧米で行われている電線や通信線を直接埋める方式だと工費は安上がりで済む。しかし、地震で断線した場合などに断線箇所が分からずに停電が長期化する問題がある。日本では地中に管を通しつつ、ところどころ中に入れるスペースを確保するのが一般的で、トラブル対応がしやすくなる反面、どうしても工費が高くつく。地震が多い日本では、どう考えてもメンテナンスしやすい高い方でやるしかない。
また、電線を地中化すると、新たに光ケーブルを引くなどとなった場合が用意ではない。住宅への引き込みも問題だ。費用負担は必要だし、電話線や光ケーブルを新たに引く必要が出てくる度に家の前を掘り返す必要がある。
総合的に見て、景観がよくなり、災害時に倒れてしまう電柱がなくなるという観点から電線の地中化はメリットが大きいとは思うが、費用やメンテナンスの難しさというデメリットもかなり大きいと思う。
千葉の停電がきっかけで小池百合子・東京都知事が「無電柱化の加速を」と訴えていた。東京都のように金のある地域はいいが、地方では簡単に進められるような話ではない。地中化のメリットばかり語られているが、デメリットの意見があまりないのが気になる。本当に電線を地中化しても災害時に早く復旧できるのだろうか。コストに見合ったメリットなのだろうか。
日本人はこうした方がいいということにすぐに飛びついてしまうが、少なくとも既存の住宅地の電線地中化は不要に思える。
こういうことは費用対効果で考える必要がある。
コメント
コメント一覧 (6)
個人的には地中化に拘らずとも樹脂製パイプの中に線を通して道路傍に
張り巡らせる方法でいいんじゃないかと思うんです。
今の電線より景観はマシですし メンテのチェックはパイプを横から
開くような構造とすることで簡単にする。
とにかくいろいろな可能性を探ってほしいです。
2009年(平成21年)4月に、当時内閣総理大臣(第1次安倍内閣)を辞職後の安倍晋三らを発起人として、自由民主党と公明党の国会議員117名からなり、「美しい国:電柱の林を並木道に!議員連盟」が発足した[1]。問題となったのは縦割り行政で、総務省・環境省・経済産業省・財務省・警察庁が担当したが[2]、法律制定活動は、同年8月30日の第45回衆議院議員総選挙で当時の民主党が与党となり、自民党と公明党が下野したことで一時停止した[3]。
法制化への動きは、2012年(平成24年)12月16日の第46回衆議院議員総選挙で両党が与党に復帰し、安倍晋三が首相に返り咲いたこと(第2次安倍内閣)で再始動し、「電柱の林を並木道に!議員連盟」は2013年(平成25年)10月22日に「無電柱化議員連盟」に名称変更した[4]。2014年(平成26年)1月の総会で「無電柱化の促進に関する決議」が採択され[5]、同年2月6日に自民党の政務調査会にITS推進・道路調査会の下部組織として「無電柱化小委員会」が設置された[6]。
その後、法案は第192回国会において、2016年(平成28年)12月6日に衆議院で、同月9日に参議院でそれぞれ全会一致可決し、成立した。
小池個人の政策ではなく安倍自民の政権奪還公約の一つです。海外にばらまく金を回すだけで十分可能です。
無電柱化の工事って道路を掘り返して埋めているのが多いですが、道路に側溝のようなものを設け、そこにパイプを入れるとかにしないとメンテナンス性がめちゃくちゃ悪いですよね。
それを考えると、新しく整備し直す街とか、これから作る新興住宅地じゃないと無理なような気がするんですが、実際どうなんでしょう。
10年くらい前に光ケーブルを家に引き込んだとき、k-opti.comの調査員が「あそこの電話専用の電柱を介して引き込めるよう申請します」と言って工事していましたが、これが「あそこを掘り返します」とかなるんでしょうか。
とにかく、効率のいい方法を見つけ出して貰いたいものです。
>> まるさん
国が後押ししていることは知っていますが、積極的にやっているのって東京都くらいですよね?お金があるからできると思っているんですが、私が住む滋賀みたいな田舎くんだりでは国道1号線沿いでもちょっとだけとか、まったく進んでいません。結局、地方への財政負担が大きすぎるのが原因で、田舎では多分死ぬまで無電柱化は実現されないんじゃないでしょうか。
普段から少し風吹くと京葉線が止まり相互乗り入れしている武蔵野線も止まるので通勤時には苦労してました。
千葉県の海沿い京葉線辺りは埋立地なので電線の地中化は無理ですね。
都会など人が集まるところは景観の観点からも地中化が好ましいでしょうね。道も広いところが多いですし。
>> sandaさん
ニュースを見てると、停電が長期化する原因の多くは倒木なんでしょうね。放置された林で倒木があって、東電の作業員がチェーンソーで不慣れな伐採作業をしているからですが、そんな地方で電線地中化って現実味があまりありません。だったらじゃまになりそうな木を予め切っておく方がよほど災害対策になりますが、日本の法律だと道路にはみ出した木を勝手に切れないらしいので無理みたいですね。