20200214-1

21年ぶり2度目―― 槇原敬之が覚醒剤所持の疑いで逮捕されたニュースでこう書いてあるのを見て笑ってしまった。プロ野球チームのリーグ優勝を伝えるかのような言い回しである。

覚醒剤を断ち切って芸能界でまた活躍しているのかと思いきや、槇原敬之がまた覚醒剤で逮捕されてしまった。今のところ所持容疑であるが、どうせやっているのであろう。彼のキャリアはこれで本当に終わったのは間違いない。仏の顔も三度までと言うが、次はもうないだろう。

私は高校生から洋楽にかぶれていたせいで、J-POPをほとんど聴いていなかったが、それでも槇原敬之の曲はよく知っていた。あの顔で甘く切ないラブソングを作って歌うのだから大変な才能であろう。
一度目に逮捕されたときの状況がよくなかった。覚醒剤でラリった状態で曲を作っていたのかという思いより、何のラブソングなのかという疑念が湧いたからだ。

槇原敬之が逮捕されたとき、同居していた彼の友人とされる人物も捕まった。奥村秀一という人物であるが、新宿二丁目界隈では桃山金太郎という源氏名で知られるゲイバー勤務のゲイだった。槇原敬之もゲイで、ガチムチ系の男が好みらしい。
アーティストがゲイでもノンケでも何でもいいのだが、当時週刊誌だかで見た桃山金太郎の写真がかつて吉本にいたタカダ・コーポレーションというコンビのおやきくんに似た感じで、ゾワッとくるような格好と化粧だったか。
それを見て以来、槇原が「もう恋なんてしない」と歌ってもゴリゴリのゲイの顔しか思い浮かばないようになってしまった。誰目線で作った恋愛ソングなのかとしか思えなくなった。

覚醒剤で有罪判決を受けた槇原敬之は、執行猶予期間中に大阪府高槻市にある実家にいたらしい。彼の実家は高槻駅前商店街にある電器屋で、JR高槻駅で大学に通学していた知り合いの女性が駅前にあるミスドでよく槇原を見かけると話をしていた。彼女が言うには槇原は「ただのオッサン」で、覚醒剤で捕まったうえにゴリゴリのゲイであることも知られてしまったので再起不能かと思っていた。

ところが芸能界は覚醒剤には優しいので、才能のある槇原敬之はすぐに芸能界に復帰。2003年にはSMAPに「世界に一つだけの花」を提供して大ヒット。313万枚の売上はオリコンのシングルランキング歴代3位で、平成でもっとも売れたシングルだという。
「世界に一つだけの花」は執行猶予中に彼が出会った仏教による影響が強いという。Wikipediaを見ると釈迦が生まれたときに言った言葉である「天上天下唯我独尊」から「ナンバーワンではなくオンリーワン」という主題を思いついたとあるが、何か解釈を間違っているような気がする。

それはともかく、仏教が彼を救うことはなかった。槇原敬之は"親友"である桃山金太郎こと奥村秀一を個人事務所の社長に据えてしまう。それがすべての間違いだった。
その奥村は2018年に覚醒剤で逮捕。同時期に槇原も覚醒剤や危険ドラッグに手を出すようになっており、奥村の逮捕時から槇原は警察にマークされていて、2年前の容疑で今回の逮捕と相成った。
奥村の逮捕で捜査が身辺に及ぶことを警戒した槇原はシャブ抜きをしたり、使用頻度を減らしていたようだが、2年も経つとだんだんと気が緩んでくるため、覚醒剤使用も視野に入れた警察に逮捕されたようだ。

覚醒剤は薬物依存症のなかでも特にやめるのが難しいと言われている。脳がバカになってしまうため、打ったときに得られる興奮作用で得られるなどが忘れられなくなるという。
基本的に薬物依存に対抗するには、薬物に近づかないことが重要だし、薬物をやっていたときのことを思い出すものを遠ざけないといけない。そういう意味では、槇原敬之が奥村秀一を個人事務所の社長にしたのは間違いだった。好きだったのかも知れないが、彼を見るたびに覚醒剤のことが脳裏をよぎることになる。
奥村が先に手を出したのか、ふたりでやり始めたのか知らないが、すべてが間違いだった。

槇原敬之は田代まさしのように何度も覚醒剤に手を出してしまうかも知れない。ヒット曲を連発した彼には金は唸るほどあるだろうし、これからも著作権関連の収入で十分裕福な暮らしができるだろう。仕事も稼ぎもなかった田代まさしでああなのだから、金がある槇原敬之は売人の餌食になるだけではないか。金のあるヤク中を売人が見逃すはずがない。

槇原敬之にとって不幸だったのは、好きになった桃山金太郎というゲイによって覚醒剤を知ってしまったことだろう。「芸は身を助く」の言葉通り、彼の才能は彼を裕福にはしたが、ゲイは身を助けなかった。よくない人間と巡り合わせてしまった。
前科者になってもその人間関係を断てなかったのがすべての運の尽き。次もまたやるだろうから、そんな危なっかしいヤツは今度こそ芸能界には戻ってこられない。
残りの余生はあり余る金でまた覚醒剤を買い、体をボロボロにしつつ刑務所で時間を過ごすことになるのだろう。