20200226-1

今日は高血圧治療の通院で総合病院の循環器科に行くため休みをとった。
医師に「どうですか?」と質問され、「変わりないです」と答えて血圧の測定結果を見せて2分くらいで終わる診察なのでわざわざ行くのが面倒なのだが、降圧剤を受け取るには診察が必要なので仕方がない。
待合所にいる人の数はいつもと同じくらいで内科に特に多いということもなかったが、消毒用ジェルがたくさん設置されていたので、病院を出るときに手を念入りに消毒しておいた。

その後、嫁さんと昼飯を食ってイオンシネマに映画を見に行った。平日の昼ということもあるが、イオンがいつもの平日より若干人が少ないような気がした。新型肺炎の影響なのだろう。

外に出歩けばそれだけ知らない人と出会う確率も高くなり、新型コロナウイルスをうつされる可能性も高くなるのは間違いなかろうが、何パーセントが何パーセントになるのかという話だ。家に閉じこもっていれば0%かも知れないが、引きこもりでもない限りそうできる人などいまい。
イオンに行って閉鎖空間である映画館で映画を見るなんて正気の沙汰じゃないと思う人もいるかも知れないが、私も嫁もそれほど気にはしない。むしろ、映画館が空いていてよかった。エアロゾルが感染経路になるとか言われているが、基本的に空気感染はしないし、むやみやたらとそこらへんを触らなければ特に問題もなかろう。

今日見た映画は「1917 命をかけた伝令」だった。第1次大戦の戦地フランスで、イギリス軍の最前線の隊に作戦中止の伝令をふたりの兵士が持っていくというストーリーだ。
正直なところ、ストーリーはあってないようなものだが、とにかく映像がすごい。アカデミー賞の撮影賞と視覚効果賞を獲得しただけある。最初から最後までワンカット(正確に言うとツーカットになると思うが)で撮影されていて、どうやって撮影したのか驚くような映像が多い。カメラがぐるっと回っても撮影クルーが一切映らず、主人公らが大きな水たまりを避けて歩くシーンではカメラが水の上をスムーズに移動していた。

ワンカット撮影でいうと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」という映画があったが、「はぁ?」というような内容だった。ワンカットで撮影する意味あんのかと思ったが、「1917 命をかけた伝令」はワンカット撮影が映画に妙なリアリティと緊張感を与える。映画の途中で爆弾が爆発するシーンがあるのだが、そこまでの緊張感と突然の大音量でのけぞるほどビックリして、口にしていたコーヒーを吹き出しそうになった。

2018年のPS4のゲーム「ゴッド・オブ・ウォー」も最初から最後までずっとワンカットでカメラがパンしたりズームしたりするすごい映像だったが、あれはゲームだからできることであって、実際の映像でやるのは本当にすごいと思う。
ストーリーはどうということはないが、映像は見る価値が十分ある。家で見るよりかは劇場で見た方がいいかも知れない。

この「1917 命をかけた伝令」は、先週までイオンシネマの一番大きなスクリーンで上映されていたのだが、今週から小さいスクリーンになってしまった。
ネットで座席を取るとき「なんでやねん」と思ったが、代わりに一番大きいスクリーンに入っていたのが「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」という邦画だった。
前から思っていたのだが、イオンシネマのようなファミリー向けシネコンはクソみたいな映画を一番大きいスクリーンで上映し、上映回数も多くする。見てもいないのに批判するのは問題あるかも知れないが、落としたスマホからいろいろ知られて殺人事件に巻き込まれるとかいうアホみたいな映画を誰が見るのか。

そう不満を漏らしたら、嫁さんが「高校生とか大学生は見るんじゃないの?」と言う。私が高校生でも「1917 命をかけた伝令」の方を見たいと思う。しょーもない邦画なんか金をもらっても見る気が起きない。
「じゃあ、大学生のカップルがいたとして、デートで映画見に行くのにスマホを落とした映画選ぶか?」と訊くと、嫁さんは「戦争映画よりそっち選ぶ人が多いんじゃないかな?」と言う。
スマホを落とす映画が一番大きいスクリーンで、一番回数が多く上映されるのだから、本当に戦争よりスマホの映画を選ぶ人が多いのかも知れない。
日本のその現状にゲンナリする。

日本映画が落ちぶれて久しいが、それはスマホを落とした映画を見たいと思うような観客が多いため、国際映画賞に出しても絶対に賞を取れないような映画が量産されるのだろう。
つまり、日本映画の程度が低くなったというよりも、観客のレベルに合わせてしょーもない映画が多く作られるようになったということではないのか。クソみたいな邦画でもそこそこ見に行く人がいるから、そんなクソみたいな邦画が量産される悪循環である。

洋画にもゴミ同然の映画がたくさんあるが、少なくとも良作や面白いと思える映画がたくさんある。最近の日本の実写映画でいい作品や面白い作品と呼べるものがどれほどあっただろうか。韓国映画が世界で評価され、日本の映画がされないのは日本の観客が甘やかしているからである。
映画館をあとにしながらつくづくそう思うのであった。