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世界がコロナ禍に飲み込まれるなか、韓国が広く宣伝していたのがK-防疫だった。とにかくPCR検査をしまくって感染者の洗い出しを行い、感染者のプライバシーは無視してスマホのGPSデータを勝手に公開して立ち寄った場所をすべてオープンにしたり、隔離違反者に厳しい罰を与え、新規感染者数を抑え込むというのがK-防疫だ。
そのK-防疫とやらに今度はK-注射器が加わるらしい。

先日のエントリで書いたが、ファイザーのワクチンは元々1瓶で5回接種できるとなっていて、瓶にもそのような印字がある。ところが、アメリカのとある薬剤師が特殊な注射器を用いればギリギリ6回分取れると言い出したことがきっかけで、ファイザーが1瓶6回接種可能なことにしてしまった。ただし、6回分取るにはシリンジの先端部分に残る液まで押し出せるよう、注射器の押し込む部分のゴムの先端がシリンジの先端の形状に合わせて出っ張っているローデッド型と呼ばれる特殊な注射器が必要だ。
これまで、そんなケチくさい用途の注射器にあまり需要がなかったが、ファイザーのワクチンを余すところなく注射するために需要が出てきた。

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そのローデッド型の特殊注射器は世界の医療品メーカーで製造されているわけだが、特に多く作っていたのが韓国のプンリムファーマテックというメーカーで、月産1000万本だった。そのプンリムファーマテックに世界20か国から2億6000万本以上の注文来ているとされ、今月18日に文在寅大統領がプンリムファーマテックに視察に訪れ、同社を絶賛したのだという。
2億6000万本の受注のうち、8000万本が日本から来たということで、例によって韓国人が舞い上がってしまった。

朴映宣(パク・ヨンソン)というソウル市長選挙の与党系候補者はSNSに勝ち誇った書き込みを行った。プンリムファーマテックは革新的な中小企業であり、韓国は日本が持っていないK-注射器の保有国だと鼻高々だった。

先が尖っているゴムの注射器のなにが革新的技術なのか分からないが、世界中から注文が殺到しているのは多く作っている会社だからだろう。
先日のニュースにあったが、日本ではニプロが月産50万本であるがタイの工場で作っている。増産しようとしているが4~5か月はかかる見込みで、増産は9月からになるらしい。
ほかにも、テルモが新型コロナウイルスワクチン用のローデッド型の注射器の開発に着手したそうだ。

くだんの注射器はこれまでほとんど需要がなく、アメリカでベクトン・ディッキンソンというメーカーが米政府に供給した2億8600万本のうちローデッド型は4000万本で14%に過ぎなかった。新規開発したり生産設備の増強をしたところで、新型コロナが終息すれば無用の長物になってしまうわけだが、まあそれでもワクチン接種はあと何年か続くかも知れないのであってもいいのかも知れない。
ただ問題は、ファイザーのワクチン1瓶から6回取るには狂いなく0.3ミリリットルを注射器で抽出する必要があり、アメリカの研究機関の試算では4回に1回は失敗する。1瓶6回で計算して、あとで合わなくなることの方が問題に思えないこともない。

ともかく、ローデッド型の特殊注射器はこれまで需要が少なかっただけで、それほど特殊でもないのにK-注射器として政治家が鼻高々になり、「日本には売るな」とか「ぼったくり価格で売れ」と言ってしまうのは、一部の韓国人があまり現状を分かっていないからなのだろう。
厚生労働省は注射器のことでゴチャゴチャうるさいマスコミがいることもあって手配しているわけだが、プンリムファーマテックに土下座をして「どうか売ってください」と言っているわけでもない。だが、韓国では一般紙が日本が注射器の手配ミスでファイザーのワクチンを無駄にすると間違った報道が繰り返されていて、勘違いされているフシがある。

日本はワクチンについてファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどいろいろ手配して多めに確保したように、注射器もいろいろなところに多めに発注しているだけだ。多少余ってもそのくらいの金ならどうということはない。
それに対して韓国は、特殊注射器のメーカーがあったとしても、確保しているファイザーのワクチンはCOVAXというアフリカや中南米の貧しい発展途上国向けの仕組みを利用してぶん取った数万回分しかない。K-注射器で浮かれている場合ではなかろう。浮かれているせいでワクチン確保を怠ったK-防疫はどうなのか。

この韓国の勘違いはPCR検査のときと似ている。「日本にPCR検査キットを売ってやるな」という世論が韓国で大きくなったが、日本はPCR検査キットがないからPCR検査数が韓国より少なかったわけではなく、クラスター追跡と濃厚接触者への検査を中心にやっていただけである。
勘違いによる発言や恩着せがましい発言はそう簡単には止められないらしい。

こうやってすぐに調子に乗ってしまうのが韓国の悪いところなのだろう。K-POPや韓国の映画やドラマが他国でちょっと人気が出ると文化強国になったと自負するようになり、K-POPや韓流ドラマで文化的影響度で日本を蹴落としたと勘違いするのが出てくる。K-POPや韓流ドラマ、映画が束になってもポケモンひとつの売り上げにも勝てないのが現実で、「進撃の巨人」の最新作が市場調査で「アメリカでもっとも需要が高い番組」になったことも知らないらしい。ちなみにそれのベスト10にはほかに「僕のヒーローアカデミア」も入っていた。

ちょっと褒められるといい気になって、自画自賛をして、自分たちを過大評価してしまう。これが韓国の悪いところだろう。
日本も同じようにならないため、これを他山の石として戒める必要がある。