映画やテレビを見ると、よく「一度裏切ったヤツは何度でも裏切る」とかいうセリフを耳にする。マフィアのような裏家業から、アメリカ軍まで職種は様々。
一度、会社や個人を裏切ったヤツが、次も裏切らないとは限らない。むしろ、セリフのとおり、一度裏切ったのだから、次もそうだと考えるのが自然だろう。
昨年、最高裁によって死刑が確定した兼岩幸男という男は、殺人容疑で逮捕されたとき、「焼肉屋さかい」の開発部部長という肩書きだった。
その少し前は、回転寿司チェーンなどを手がける「アトム」で、同じ部長職でどうようの店舗開発の仕事をしていた。
兼岩は、「アトム」社内で信頼していた上司が失脚したと同時に左遷されそうになり、会社の出店情報などを持って「焼肉屋さかい」へと転職し、部長として迎え入れられた。
外食産業では、ライバル会社の出店情報を集め、経営戦略に活かす。「アトム」の出店計画および「アトム」が集めた情報は、「焼肉屋さかい」にとっては喉から手が出るほど欲しい情報だった。
だが、情報を持ち逃げするような社員は、また裏切るものである。
兼岩は、「焼肉屋さかい」で集めた出店計画を、コンビニ運営会社に横流ししていた。さらには、下請けから集めたリベートやキックバックを資金に、愛人をコンビニ店のオーナーにするなどしていた。
ところが、別の愛人問題などのごたごたがあって、兼岩が愛人から嫉妬を買うことになる。
そして、結婚しないと、「焼肉屋さかい」に情報の横流しをしていることや、愛人を囲っていることをばらし、兼岩の妻にも不倫を全部バラすと脅された。
そして、兼岩はその愛人を殺害し、バラバラにして河原や川に遺棄する。
愛人殺害の容疑で兼岩は逮捕されるが、その取り調べの段階で、もう1件の殺害事件も自供した。「アトム」に勤める前に会社を経営していた頃、同棲中の女とは別の社員の女を殺害していたのだ。
2件の殺人により、兼岩は死刑判決を受けた。
この事件は、兼岩幸男という男も最低であるが、「焼肉屋さかい」という企業も最悪である。
結局、出店情報を持ち逃げしてきたライバル会社の部長を引き抜いたが、同じように裏切られ、果ては自社の社員が殺人事件で逮捕され、死刑判決を受けたのである。これぞ自業自得、因果応報というものだろう。
「焼肉屋さかい」は、この事実を隠したいがために、いろんなところへ根回しして、兼岩が自社の社員であることを伏せさせたと言われてる。自社の社員が殺人事件で逮捕されることも不名誉であるが、情報を持ち逃げした社員を引き抜くという、モラルにもコンプライアンスにも欠ける会社であることを知られたくなかったからである。
だが、そうは問屋が卸さない。ネット上には今もその、消えない不名誉な情報が残っている。こうして私がブログに書くことで、また知られることになる。
私が唐突に「焼肉屋さかい」の話を書いたのは、裏切り者のことが最近気になって仕方がないからだ。
その裏切り者とは、橋下徹・大阪市長率いる日本維新の会に願えった自民党とみんなの党、民主党の国会議員のことである。
国会議員5人以上という政党要件を満たすため、7人の国会議員が橋下の政党に呼び込まれた。次の選挙で当選確率ゼロか、もしくはそれに近いような議員たちである。
比例で当選したヤツも4人いるわけだが、政党に投票した有権者としては、政党を移るとはとんでもない話である。
そうでなかったとしても、次の選挙で橋下の威光を使って当選しようなどという裏切り行為が許されるのであろうか。
日本維新の会は、ここへ来て勢いが失速している。
小泉チルドレン、小沢ガールズなど、鳴り物入りで国会議員になった1年生議員が軒並みクソだったことを皆が思い出した。素人以外の何者でもない橋下ベイビーズたちが役に立つわけがない。橋下の手先として国会で働くだけ。
しかも、それの指導役である先輩国会議員たちは、どれも元の政党を裏切った裏切り者である。次またいつ出て行くか分からないし、そもそもそんなヤツに一体どんな指導ができるのか。
裏切り者は信用してはならないし、そんなヤツを重用する会社や団体も信じてはならない。