先週から筧千佐子という67歳の婆さんがニュースを賑わしている。75歳の夫を青酸化合物で毒殺した容疑で逮捕されただけでなく、これまでに4人と結婚していずれも死別しているほか、内縁関係の夫ふたりも死んでいる。最低でも7人が殺されたかも知れないという、アヤシサ満点の婆さんである。
毒を使って旦那を殺し、遺産を得ているのだから、文字通りの毒婦である。
このババアは、逮捕される前からマスコミに張られていた。マスコミにまで情報が行ってるヤツというのは、間違いなく犯人で、そのうち逮捕される。
逮捕前に筧は、テレビカメラの前で「自分は何もやっていない」などと身の潔白をベラベラと喋っていた。
テレビの前で話したところで、何かが変わるわけでもなく、変なところでボロが出るかも知れない。私だったら何を訊かれても無視するが、逮捕前の容疑者の何人かはテレビカメラの前で喋りたがる。言い訳をしないと落ち着いていられないのだろう。
結婚相手を殺害し、多額の遺産を得ていた筧千佐子は、株や土地転がしもしていたようだが、もっともハマっていたのは先物取引らしい。先物取引はFXと同じバクチみたいなもんで、素人が手を出すと幾らでも大損することができる。
筧は先物で大損していたが、それを取り戻そうとしたのか、先物の魅力に取り憑かれていたのか、人を殺して遺産を自分のモノにして先物につぎ込んでいたらしい。
それでも、10個ある銀行口座に残高は殆どなく、知人に1000万円ほどの借金もあった。
この婆さんは、素人がやるバクチの基本をまったく分かっていない。私は競馬やパチンコなどをまったくやらないが、大学生の頃は麻雀を死ぬほどやっていた。
麻雀などバクチを扱った書籍もいろいろ読んだが、バクチの心構えとして、ふたつ重要なことがある。
ひとつは、バクチは絶対に自分のカネで打つこと。バクチは人のカネで打つもんじゃないし、そうまでしてバクチを打つヤツは必ず深みに嵌まって出られなくなる。
人は分相応の生き方をせねばならないのだ。自分が持っているカネの範囲でバクチをやる分には構わない。それを超えて打ってはいけないのである。
そしてもうひとつが、引き際を知るということである。麻雀でよくあるのが、負けてるからといって熱くなり、倍プッシュといってレートを倍にして打とうとするヤツがいる。
これは絶対にやってはいけない。
倍プッシュをせずとも、めちゃくちゃ負けてる日は、おとなしく負けたまま諦めて帰るか、人のをしばらく見ておくなどした方がいい。
負けてるときは負けが続くというオカルト的な考えもあるのだが、時間を空けて、一旦冷静になることが大切なのだ。
人間、引き際が大切なのである。
このふたつの鉄則を守らないと、おかしなことになってしまう。借金を重ね、しまいには悪いことに手を出してしまうという悪循環に陥る。
筧千佐子はこの掟を守らなかった。そういうヤツは必ず身を滅ぼす。カネのために人を殺すようになり、しかもそれが段々適当になり足が付いてしまう。67歳にして、人生が終わったようなものだ。
先物取引で少し失敗したところで、やめておけばよかった。自分が持っているカネだけで先物でも違うバクチでもやっておけばよかった。
バカなヤツである。