昔、桜玉吉という漫画家が「しあわせのかたち」という漫画のなかでアシスタントのチョリソのぶという男が職場のファミコンで主人公の名前を「ああああ」にしてドラクエを始め、自分のレベルをあっという間に追い抜いていったと描いていた。
漫画家のアシスタントがファミコンばかりやっていることよりも、主人公の名前を「ああああ」にしていることに驚いた。普通、REGの主人公は自分の名前かカッコイイ名前にするもんだ。「ああああ」では感情移入できないではないか。
名前は、人の名前にせよ、モノの名前にせよ、非常に重要なものである。ネーミングひとつで人の印象や商品の印象が変わってくる。男性用靴下の名前を「通勤快足」に変えただけで、売上が10倍以上になったというのは有名な話だ。
関西で活躍している芸人の月亭八光は、長女に心愛(ここあ)、次女に愛雛(あいす)という、いわゆるキラキラネームを付けた。ココアとかアイスとかマロンとか、食いモンの名前は女が犬に付ける名前である。
そんなさっぶい名前は、私から見ればドラクエの主人公の「ああああ」と大して変わらないが、本人たちは大マジメに考えたものなのだろう。キムタクの長女も心美(ここみ)とかいう名前だが、訓読みの途中で止めるDQN読みの名前を付けられた子供は本当に可哀相だ。
ただまあ、親がある程度の思い入れがある名前なので、本人たちの前では言いにくい。ただ、他人には人の子供に思い入れがないから、他人事として「アホちゃうか」と思ってしまう。それに、子供にアホっぽい名前を付ける親は、子供に対して本当に思い入れがあるのかと思ってしまう。
普通、大切なものにはちゃんとした名前を付けようとする。そうでないと、ふざけているか、どうでもいいと思って付けたんじゃないかと考えてしまう。どうでもいいから「ああああ」やそれに似たという名前を付ける。
先週の26日(金)に名前に関する衝撃的なニュースがあった。小沢一郎が率いる生活の党に参院議員の山本太郎が加わり、政党名が「生活の党と山本太郎となかまたち」という名前になったというニュースだ。
誰が見てもふざけているとしか思えない政党名だ。「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」みたいではないか。憲政史上もっとも醜悪な政党名だろう。
生活の党は先の総選挙で惨敗し、衆参両院で4議員しかいない政党になってしまった。「比例代表の得票率2%以上」がムリだったので、来年1月1日までに5議員という政党要件を満たさないと政党交付金が貰えない。国会議員が5人いれば4億円、4人のままなら0円である。
小沢一郎は無所属の亀井静香を生活の党に加えようとしていたが断られてしまい、大どんでん返しで山本太郎が入党することになった。4億ゲットの代わりに、ぽっとでのカス議員である山本太郎に大きく譲歩し、政党名が「生活の党と山本太郎となかまたち」になってしまった。
小沢一郎はこれまで新党を作ってはぶっ壊すということを繰り返してきた。自分の政党には何の思い入れもないから、名前になど執着していないのだろう。カネのためなら山本太郎に足元を見られてもいい。名前なんてどうでもいい。
小沢一郎は完全に終わってしまった。こんなふざけた名前の政党名でやっていくということは、もうどうでもいいということだ。プライドの欠片もない。ハッキリ言って、山本太郎の名を冠する政党は、「ああああ党」より恥ずかしく、ふざけた政党名である。
ちなみに、小沢一郎から秋波を送られていた亀井静香は週刊新潮のインタビューに対し、「なんで俺が人数合わせで加わらなきゃなんないの。俺はそんな男じゃない」と騙っていた。
亀井静香は女みたいな名前だが、実に男らしい。政治家の矜恃はこうあるべきではないか。