Yahoo!ニュースの国際ニュースを見ていたら、周星馳(チャウ・シンチー)の映画「ミラクル7号」(2008年)で一躍有名となった中国の若手女優が、中国の伝統的衣装である漢服を着て日本旅行をしたというがあった。
新浪微博で確かめてみると、確かに徐嬌(シュー・チャオ)という女優がそんな投稿をしていた。
【新浪微博】徐嬌
リツイートのなかに「帯着漢服去旅行」というタグがある。「漢服を着て旅行に行こう」という趣旨のタグで、海外旅行で漢服の宣伝をしようという意図があったらしい。
中国人は常日頃から、日本人は着物をよく着ていて、街中で着物を着ていても誰も変に思わないが、中国で漢服を着ていたら変な人だと注目されると思いがちなのだ。
その考えに反して、漢服をもっとメジャーにしていこうという活動らしい。
投稿されていたのはこんな写真だ。
徐嬌という女優は、アニメ好きで、普段からコスプレをするオタク気質なところがあるようだ。フォロワーは161万人もいるが、中国の芸能人では中クラスである。
これらの写真の最初の投稿には、Facebook風の「いいね」が3万ついていて、コメントが5000も寄せられている。
そのコメントのなかには、伏見稲荷での写真を見て、「漢服を着て神社に行けば日本人の反感を買うのではないのか」などと書かれていた。
だが実際は、日本人にチヤホヤされて、一緒に写真を撮ってくれと何度も頼まれたらしい。
この件について中国共産党の機関紙である人民日報のニュースサイト・人民網が記事で取り上げていた。
「このような心配を日本でする必要はない。日本は文化の多様性に寛容で、他人がどんな服を着ていても誰も気にしない」と解説していた。
実際、日本人が知っている中国の服は、漢民族の漢服ではなく、女真族(満州族)のチャイナドレスだけで、なんとなく中華風の服であることは理解しても、それが中国の伝統衣装であると知っている人などほとんどいない。
知っていたとしても、誰も気にしないという指摘は当たっている。それに、中国人だからという理由で日本に観光に来ている中国人を襲う日本人はまずいない。ましてや、こんな可愛い女の子であれば注目は集めても、誰が絡むというのか。
日本人は文化的に狭量で、外国人を受け入れないと外国人から思われがちだが、実際はそんなことはない。
無礼な外国人を毛嫌いするだけで、外国人はウェルカム、その外国人がどれだけ変でも誰も気にしない。
街中でめちゃくちゃ変な格好をしているヤツがいても、皆がしれっとしている。めちゃくちゃ目立つ民族衣装を着ていても、ジロジロ見られるかも知れないが、冷やかされたり、差別的な対応をされることもないだろう。
テレビ東京系の「YOUは何しに日本へ?」という番組で、デンマークから来たコスプレ好きのアニメオタクが話していた内容が印象的だった。
「ナルト」のコスプレをして東京の街に繰り出し、工事現場の人から「似合ってるね」などと声をかけられていた。デンマーク人のひとりがコスプレをした外人が街を歩いていても誰も気にしない日本について「すごくいい」と言っていた。
彼らがデンマークで「ナルト」のコスプレをしてバーに行ったとき、バーにいた客だか店員だかに、「今度その格好で来たらぶっ殺す」と脅されて、怖くてデンマークではアニメのコスプレで出歩けないと語っていた。
こなた日本では、秋葉原や池袋に行けばコスプレをしているヤツが珍しくないほどうじゃうじゃいて、もはや日常風景のようになっている。
誰がどんな格好をしていても、大して気にならないし、気にしてもいちいち他人の格好について口出しなどしないのだ。
そんな日本人を知ってか知らずか、八路軍(中国共産党軍)のコスプレをして日本の街を闊歩する中国人が出てきた。
こちらは、日本人を挑発する度胸試しのつもりらしいが、八路軍の軍服を知っている日本人など皆無だろうし、知っていたところで例のごとく何も起こらない。変な格好をしている中国人がほっつき歩いていたと思われるだけ。
ナチスの将校のコスプレをするヤツがいるくらいなのだから、八路軍なんて屁みたいなもんだろう。
何にでも寛容すぎるのはよくないが、さらっと受け流すくらいの方が器が大きくていい。
日本人は常にこうあるべきなのだ。