安倍晋三首相が米議会上下両院合同会議で演説を行った。45分間にわたり原稿を読みながら英語でスピーチした。
いかにも日本訛りの発音で、しかもめちゃくちゃゆっくり読んでいたので、アメリカのネイティブな人たちにとってはまどろっこしく感じたかも知れないが、日本の総理大臣が一生懸命に英語でスピーチしようとした努力は伝わっただろう。
実際、安倍首相の演説中、14回もスタンディングオベーションがあった。まあ、サービス込みであろうが、それでもよくやったと思う。
アメリカの上下両院合同会議で日本の総理大臣が演説を行ったのは、これが初めてだという。
今回の安倍首相の訪米は、これまでのオバマ政権ではあり得なかったような好待遇であった。安倍首相は国賓級の扱いを受け、オバマは終始ニコニコしていた。これまでア安倍サンがオバマのことをバラクと呼んでも、オバマは「プライムミニスター・アベ」と呼んでいたくせに、今回は親しげに「シンゾー」と呼ぶようになった。
韓国のようにアメリカと中国を天秤にかけるようなことをせず、イギリスのように中国主導のAIIBに飛びついたりしない日本がどれだけ役に立つかようやく分かったのだろう。
日本としてはアメリカの子分感が強まった感じがしないでもないが、アメリカと協力して中国の海洋侵出を牽制せねばならないのだから、安倍サンが日米安保の強化を手土産にしてオバマに歓迎されてもよかろう。
ところで、安倍首相の米議会での演説であるが、アメリカではそこそこ評判がよかった。70年前の戦争について、アメリカ議会でアジアのことについて触れ、「痛切な反省」(deep remorse)に言及したのはよかったなどと米議員やケネディ大使が感想を述べていた。
それに対し、中国や韓国は大いに反撥した。特に韓国では新聞やテレビなどのメディアが大きく取り上げ、安倍首相を袋叩きにした。
「アジア諸国に対してお詫びしないとはなにごとか」ということである。韓国は「慰安婦問題を取り上げなかった」とブチ切れていた。
「痛切な反省」はあったが、村山談話にある「心からのお詫び」(heartfelt apology)がないことに不満らしい。
いつものことだし、こういうことを言うのは中国、韓国、北朝鮮だけである。
日本の政治家が、アメリカの議会で演説することに対し、なぜ先の大戦でのアジア諸国の被害について触れないといけないのか理解できないが、それでも安倍首相は大サービスで先のバンドン会議での演説で用いた「深い反省」(deep remorse)と同じ言葉を持ち出したのに、それでも気に入らない。
それに、従軍慰安婦とかいう売春婦のことについて謝罪する理由などないのに、韓国はいろいろブチ切れ状態だ。
韓国外交部の報道官の声明では、「周辺国との真の和解と協力が成し遂げられる転換点になったのに、そういう認識も真の謝罪もなかったことは残念だ」とあった。
仮に韓国に対して謝罪するとして、どういう理由でアメリカ議会の場を借りて行わねばならないのか。それに、どれだけ謝っても許されない、100回でも何回でも謝れと韓国外交部の高官が言っていた。何を言ったところで、転換点になるわけがない。
逆に、安倍首相はこれまで中韓に反省の弁ばかり述べさせられてきた日本の外交を変えようとしている。この米議会での演説と、数か月後に控える戦後70年の安倍談話がまさにその転換点になろうとしているのだ。
このようなきっかけを作り、変えていくことは必要だ。
日本のように、周辺国からこれほどまでにとやかく文句ばかり言われる国がほかにあるだろうか。米議会での演説阻止を試みられ、議会の周りでは中国人や韓国人がデモを行って邪魔をする。演説したらしたで、中韓政府が文句を垂れる。
これ以外にも、日本の安全保障に文句を付けられ、憲法改正や立法にも文句を付けられ、学校の教科書にも文句を付けられる。
中国や韓国は日本に文句しか言わない。その上、まったく関係のない他国にまで赴いて日本を貶めようと画策する。
多くの日本人は中韓に文句を言われすぎて嫌気が差した。これ以上ガマンならんのだ。
そんな状態を、安倍首相が変えなければならないのである。2015年こそ、日本の転換点となるべきだろう。