先週末の16日(土)にエアコンを買いに行った。13年前に我が家を新築したときに取り付けたエアコン4台はいずれもまだ使えるのだが、さすがに古くなってきて樹脂が黄ばんできたし、自動クリーニング機能もないし、それになんといっても省エネでないため、とりあえずよく使うリビングのエアコンを買い換えることにした。
エアコンを買う家電量販店はどこでもよかったが、ヤマダ電機に行った。ヤマダ電機は「店員の質が悪い」などとネットでよく言われていて、確かに店員が少なすぎ、商品知識もあるようには思えない。だが、私が勤める会社の製品を導入してくれた大口顧客であるから、ヤマダ電機にはある意味恩があるのでヤマダ電機を利用せねばならない。
エアコン売り場に行ってみたら、ヤマダ電機の店員ではなく、富士通の販売代理店から販売の応援で来ていた人が接客応対をしていた。
家電量販店や大型酒店などは、店員不足を補うために応援の名目で週末に人を寄越すよう販売代理店に要求する。代理店は顧客の要求を無碍に断るわけにもいかず、応援派遣を派遣する。大きいものが小さいものを苛めるこの制度が好きではないし、富士通の関係者が応対していたら、富士通の製品を勧めてくるに決まっている。
実際、応援で来ているその店員は、富士通のエアコンを勧めてきた。14畳タイプで新製品の上から2番めのタイプだ。表示価格からさらに値下げして14万5000円だという。
この時期にエアコンを買い換えると型落ち製品が安く買えると産経新聞の生活面に書いてあったので来てみたのだが、型落ち商品は富士通のものしかなかった。応援店員によると、パナソニックや日立などは10月に新商品が出るので、型落ちを狙うならその時期じゃないとムリと言われた。新聞に騙された。
ただ、富士通は今がモデル入れ替え時期で、型落ち製品は前の一番いいモデルだったものが4割引きになっていた。しかし、性能的には勧められた新製品で上から2番めのタイプとあまり変わらず、さらに新しいほうが値段も2万円ほど安かったので、結局それにした。
13年前にリビング用のエアコンを買ったときは25万円ほどしたと思うのだが、以前よりも省エネの割に安くなったもんである。
ちなみに、寝室用の6畳タイプも一緒に買おうかと思ったのだが、それもよさそうなのが12万円前後したのでやめておいた。6畳用と14畳のエアコンの値段が大して変わらないとは。
精算の段になってやっとヤマダ電機の店員が出てきた。工事の日や家電リサイクル法の段取りをしている間に、ヤマダの店員が会員証を「ケイタイ de ポイント」というスマホの会員証に変えて欲しいと言ってきた。
スマホアプリの会員証にすると、来店時に店の入口にある機械でポイントがあたるスロットを実行できる。だが、あんなもんどうやっても10円分の10ポイントしか貰えないので、通常の会員証でできなくなってからやっていないし、スマホにアプリを入れて10円ずつ貰おうと思う気にもなれなかった。
別に普通の会員カードでよかったのだが、断るのも面倒だったので店員が勧めるように「ケイタイ de ポイント」に移行した。入力時に店番コードとPOSコードというのを入力させられた。恐らく、店の店員ごとにある番号で、「客をケイタイ会員に移行させた」という実績が店員の評価に繋がるのだろう。
ただ、あとあとよく考えてみたら、ヤマダ電機に買い物に来たとき、スマホを持っていなかったらポイントを付けられなくなってしまう。今までならば財布に会員カードが入っており、財布を忘れた状態で買い物することなどあり得ないから関係なかったが、スマホ必須になり、さらにレジでアプリを立ち上げてログインしてバーコード画面を見せないといけないため、面倒になった気がする。
それはともかくとして、クレジットカードでの精算をしている間に、今度はヤマダ電機の通販のキャンペーンみたいな紙を店員が持ってきて、「エアコンをお買い上げ頂いた方に、このなかの商品から3000円分までプレゼントとして差し上げているんです」と話を始めた。
米や大阪王将の餃子、家庭用洗剤の詰め合わせなどがあって、そのなかから選んだ金額を3000円分までヤマダ電機の会員のポイントを付け、そのポイントで買ったことにするので費用負担は一切ないという。
この話を聞いたとき、「これはアカンやつちゃうかな?」と直感的に感じた。
ヤマダ電機では店舗で日用品や薬まで取り扱っているが、それを通販でも販売している。ただ、食料品などをヤマダ電機の通販を利用して買う人などいるとは思えず、通販事業が振るっていないのではないか。そのため、売上を増やすために顧客にサービスとして話を持ちかけているのではないか。
そうでなければ、エアコン売り場などにキャンペーンとして張り出しておけばいいものの、精算の段階で話をしてくるのだから、内緒でやりたいことのように思えてならない。
ヤマダ電機がポイントをくれて、それで顧客が購入する。ヤマダ電機本体は損をするが、通販事業の売上は増やせる。形を変えた循環取引みたいに思えてならない。
とりあえず欲しいものはなかったのだが、水とパンケーキミックスだけ頼んだ。本当にその分のポイントを付与してくれて、そのポイントで買ったことになった。
家電量販店はAmazonなどのネット通販専門業者に押されて経営が厳しいのだという。実店舗を持つとその分の費用がかさむし、人件費も多く必要になる。Amazonは郊外の配送センターに人を投入するだけでよく、接客など無用、最低限のサポートだけ提供するだけで済む。
利用者もエアコンや洗濯機、冷蔵庫など、設置が必要なものは家電量販店の実店舗で買うが、テレビやHDDレコーダあたりは自分で設置ができるので、通販サイトで一番安いのを買うようになってきた。
現にかつては相当勢いのあったヤマダ電機も苦戦していて、今日になって郊外型店舗を全国で46店舗畳むというニュースが流れた。ヤマダ電機は全国に1000店舗以上展開しているらしいので、46店舗の閉鎖は大したことないかもしれないが、それでも実際は相当苦労しているのだと思う。
車で行ける範囲の実店舗がなくなると困るので、問題ない範囲でなんとか頑張って貰いたい。