少し前から裏庭にハチがよく飛んでいた。アシナガバチだろう。
ハチくらい気にしないのだが、裏庭にハチが飛んでいると、うちの犬がそれを咥えようとして飛びかかるからハチを追い払う必要がある。
ハチの方が素早いので、犬が飛びかかっても空中で歯をカチカチ鳴らしているだけだが、まぐれで口の中に入ってしまうかも知れない。そうなると、口の中をハチに刺されて犬の顔が大変なことになる可能性がある。
だから、ハチを追い払わねばならないのだ。
やたら見かけるので、どこかに巣を作ろうとしているのではないかと疑っていたが、週末にテラスの整理をしていて、棚の下にハチが巣を作っているのを見つけてしまった。
2~3匹のハチがいて、巣を作ったり幼虫の世話をしている。
そのままにしておくわけにはいかないので、ハチを追い払ったあと、巣を棚から切り離した。巣の中にはハチノコが20匹くらいいた。
そいつらには可哀相だが、死んで貰うしかない。私は無益な殺生がキライなのだが、家にハチが来ると困る。ハチの巣だけどこかに移せば、成虫のハチたちもそこに移ってくれればいいが、そううまくはいかない。
後ろめたい気持ちに浸りながらハチの巣を雑草を積んである場所に捨てた。
虫でもそんな感じだから、動物が死ぬのはもっと苦手だ。保健所で犬猫が殺されているのは想像もしたくないし、道端で猫が轢かれて死んでいるのも見たくない。
たまに犬の散歩をして野良猫に遭遇すると、猫以上にこちらが緊張してしまう。あまり驚かせると、歩道から車道に飛び出す恐れがあって、そのまま車に轢かれてしまうかも知れない。特に危ないのが子猫で、どこに行くかも分からないし、安全なところに逃げたとしてもめちゃくちゃ逃げて親猫とはぐれるとあとで可哀相なことになるかも知れない。
それほどナイーブな私だから、動物を殺す行為が信じられない。酒鬼薔薇聖斗のようなド変態が猫を惨殺したり、鳩と痛めつけたりしているわけだが、そんなヤツは死んでしまえばいいと思う。
動物のハンティングも理解できない。増えすぎたシカを減らすための猟ならいいと思うが、シカやウサギ、クマなどを射殺して楽しんでいる人がいる。
一体なにが楽しいのか。
数日前から、「ジンバブエでもっとも有名なライオン」を殺したアメリカ人歯科医師が話題になっている。
この歯科医師ウォルター・ジェームズ・パーマーはジンバブエでライオン狩りをするため、現地ガイドに5万ドル(620万円)を渡して狩りのセッティングをさせた。ワンゲ国立公園から狩猟区域にライオンを誘き寄せ、矢を撃ったが仕留められず、逃げたらイオンを40時間探してライフルで仕留めた。
ライオンを仕留めてから、ライオンの首にGPSの追跡装置が取り付けられていることに気が付いた。しかもそのライオンは、ジンバブエでもっとも知られる黒いたてがみを持つセシルだった。
パーマーとガイドは慌ててセシルの首を切り落とし、その首をどこかに遺棄。パーマーは逃亡したが、ガイドは逮捕された。
ジンバブエ観光局がパーマーを名指しで批判すると、世界中からパーマーに対する批判が殺到。パーマーが不在の歯科医院にも多くの人が訪れて抗議する騒動に発展している。
前に、世界自然保護基金(WWF)スペインの名誉総裁を務めていたスペイン国王のフアン・カルロス1世が、WWFの名誉総裁であるにも関わらずボツワナで象狩りをして批判を浴びるというニュースがあった。
セシルを殺したパーマーという歯科医師も、スペイン国王と同じく狩猟愛好家で、これまでにアメリカやアフリカでクマやチーターなどの大型の動物のハンティングをしてきたらしい。
このような趣味の狩猟を行うのは白人が多い。こいつらは殺した動物を剥製にするくらいで、無益な殺生を繰り返す。
白人連中はこんなヤツらが多いのに、日本のクジラ漁を残酷だと批判する。
今回、パーマーは白人連中からも批判されているわけだが、その手合の白人は、ライオンもクジラも同じ扱いをする。クジラ漁の場合、趣味で楽しむためにやっているのではなく、食料にするための商売でやっているのに趣味の狩猟と同じ目線で批判する。
殺した動物と一緒に記念撮影をしてSNSにアップしているだけだけのヤツらと、クジラ漁が同じなわけがないのだが。
ところで、当のパーマーはセシルを射殺したことを認めた上で、「自分はジンバブエの正式なハンターガイド協会に依頼して狩りをしただけであり、困惑している」との声明を出した。
現地のガイドが違法なことをしただけだと弁明しているわけで、ある程度は理解できるが、ライオンを違法に誘き寄せたことは理解していたはずで、その罪からは免れないだろう。
ライオン殺しの罪がどうあれ、ここまで騒ぎになってしまえば社会的に抹殺されたも同然で、歯科医師としてやっていけなくなるだろう。そうなると、1回何万ドルもかかるアフリカでの動物殺しも気軽にできなくなってしまう。
パーマーのホンネとしてはこうだ。「誘き寄せたアイツが有名なライオンだと分からなかった。オレはなんてついてないんだ」
まさに後悔先に立たず。ライオンの首をチェックするのではなく、最初からアフリカでライオン狩りなんかしなければ、こんなトラブルになることもなかった。
先のフアン・カルロス1世はボツワナでの象狩りで腰の骨を折ってしまい、象狩りをしていたことがバレてしまった。
ウォルター・ジェームズ・パーマーは、調子に乗って猛獣狩りを続け、人々の注目をあびるようなことをしてしまい、人生をパーにしてしまった。
まるで、こいつらには仏罰が下されたみたいではないか。いい気味だと思ってしまう。