小学校の社会科の時間でインドのカースト制度について、バラモン、クシャトリヤ、バイシャ、スードラとかいう4つの階級に分かれた身分制度だと習った。
実際は4つの階級とかいう単純なものではなく、バルナと呼ばれる4つの種姓(家柄や血筋)に、地域や職業などで分けたジャーティ(出自)と呼ばれる分類があり、インドの身分を細分類すると3000くらいになるという。
手塚治虫の漫画「ブッダ」を読むと、お釈迦さまが生まれた2500年前には既にインドには確固たる身分制度が存在し、それが少しだけ形を変えて現在でも受け継がれている。
掃除や洗濯、皮革製造などの地位の低い職業の家の子供は、親と同じ職業にしか就けないなど、およそ現代社会とはかけ離れた身分制度がインドでは息づいている。
主にヒンズー教の身分制度であるわけだが、ヒンズー教ははたから見るとロクな宗教ではない。職業や婚姻などを縛る強固な身分制度のほか、夫に先立たれた寡婦が焼身自殺をするサティーという慣行も未だに残る。
インド政府はサティーを禁じているが、夫が死んで寡婦となった女性が原因不明の焼死を遂げる"事件"が多発する。警察は「台所で衣類に火が付いて死んだ」などとして片付けるが、大半は親族らが寡婦を焼き殺しているという。
サティーに見られるように女性蔑視が甚だしく、強姦事件、強姦殺人事件が毎日のように起こっている。バス通学の女性とが複数の乗客とバスの運転手から強姦されたり、強姦被害を受けて匿われた女性がさらに強姦被害を受けるなど、まさに異次元の事件が起きている。
いつまで経っても身分制度が解消されず、酷い差別も横行している。
インドはどうしようもない国であり、紛れもない後進国だ。中国と同様に核兵器を持つ後進国である。
安倍首相はインドのモディ首相と懇意にしており、高速鉄道の売り込みに成功するなど、インドとの友好関係をアピールしている。日本の保守層でも中国への対抗手段としてインドとの友好を勧める人が多いが、正直言ってインドは中国と同じくらい、日本と価値観を共有できない国である。
中国とインドの国民性は目くそ鼻くそであり、どちらも日本人にとっては理解不能だ。
インド人はカースト制度によって職業選択の自由が極めて狭められているわけだが、その例外がいくつかある。IT分野など新しい職種は古い時代からの身分制度にない職業であるため、現在の身分に関わらず就労が可能であるとか。インドでITが発展したのは、掛け算を19の段まで暗算できるからではなく、身分制度に縛られにくい職種であるからだそうだ。
そんなインドで身分制度に関係する暴動が起きている。
インド北部からパキスタンに多くいるジャートと呼ばれるカーストがハリヤナ州で暴動を起こしているのだ。このジャート族の連中は、農業関係の仕事に就いていることが多く、インドのなかでもそれなりに裕福な身分であるわけだが、それが身分制度のことについて暴れている。商業施設を放火・破壊し、略奪や殺人などが多く起こった。
この暴動の程度を見れば、インドが中国と同じくらいの国であることが分かる。
ジャート族の暴動は身分制度に基づく逆差別が原因だ。インドでは身分制度による差別があるため、大学や就職において身分が低い階級の人たちを一定数採用するという制度がある。ジャート族はそれに不満を訴えて暴動を起こしたわけだが、逆差別の解消を訴えて暴動を起こしたのではなく、「自分たちもその優遇的身分にしろ」と訴えている。
実際、暴動が起きているハリヤナ州とは違う州でジャートが差別を受ける身分だとして優遇されているのだが、「自分たちが逆差別の恩恵を受けられる身分にせよ」と主張して暴れているのが救えない。
インド人はこういうどうしようもない連中ばかりではないのか。
世界各国、いたるところに逆差別の問題が存在する。例えばアメリカでは大学入試において、黒人やラテン系の生徒に加点をして人種ごとの割合を是正する制度がある。逆に、増えすぎたアジア人は減点されるほどである。
そんなことをして学生の割合を調整することになんの意味があるのか。純粋に学力だけでなく、人種によって加点されたり減点されたり、不公平極まりない。
日本の大学にはそのような制度はないが、社会には逆差別が存在する。同和問題などその典型で、今や昔のような差別はないのに、同和地区出身というだけで公務員に優先的に採用されたり、税金の優遇、同和地区の改良住宅の家賃補助など、様々な恩恵を受けられる。
おかしな話ではないか。
また、安倍政権では女性の社会進出とやらを推進するため、「2020年までに女性管理職を30%にする」という目標を掲げ、企業に対して中間管理職に女性をもっと採用するよう企業に圧力をかけている。能力がどうのとかいう以前に、数合わせで女を管理職にさせるのだから、信じがたい愚策であり、逆差別以外のなにものでもない。
女が差別されているから管理職になれないわけではないのに、むりやり女性管理職を増やすことにどんな意味があるのか。
日本人はおとなしいから、この程度のことでは暴動など起きないだろうが、「差別がある」という一方的な言い分を鵜呑みにして逆差別を生み出したり、数合わせのために逆差別を生み出すことほど愚かなことはない。
そうやって社会の不満を溜めていくと、そのうち日本でもインドみたいに爆発するかも知れない。