昨日韓国から帰国したのだが、出国時の保安検査場での検査が厳しくなっているようだった。日本を含めたアジア諸国では大抵がパパっと検査を済ませて通り抜ける場合が多いが、手荷物を厳しく確認され、金属探知機の感度を強くしたのか、私を含めて引っかかる人が続出して、時間がかかっていた。
ベルギーでの自爆テロの影響なのだろう。
今やシリアやイラクのような紛争地帯のみならず、トルコをはじめとする欧州諸国のどこにいってもテロに遭う危険性が高まってきている。特にトルコはイスラム国だけでなくクルド人組織からも狙われてテロが頻発している。
そんなトルコに赴いて、シリア経由でイスラム国に参加しようとしたとされる日本人が現地で拘束された。和歌山県在住の23歳の男で、23日にその動きを察知したトルコの軍警察に拘束された。
高卒で職を転々としたあと現在無職のその男は、当初はイスラム国への参加志願とされていたが、実際はイスラム国関係者と連絡をとっている様子もなく、とりあえずシリアに入国しようとしていたらしい。「研修目的」とバカげた理由を挙げていた。
日本に強制送還され、トルコに入ってシリアを目指していた理由について「日本の生活が嫌になった。海外に行けばなんとかなると思っていた」などと話したという。
英語も話せず、現地でスマホの翻訳ソフトを使いながら意思疎通を図っていたようなヤツが、シリアに行ってなにがどうなるのか。
海千山千の戦場ジャーナリストである安田純平ですら、シリアに潜入して30分で現地の武装勢力に拘束されたという。翻訳ソフトを使いながらシリアに行こうとしているアホな日本人だからトルコで目立ったわけだが、シリアでも目立つに決まっている。すぐに捕まって人質になっていたに違いない。
それでまた身代金を要求され、それを払えとか自己責任だとかいう議論になったのかと思うと、トルコの軍警察がアホな日本人を捕まえてくれたことを感謝すべきだろう。
ハッキリ言って、日本でどうにもならないようなヤツが海外にってどうにかなるわけがない。日本ほどのぬるま湯環境はないだろう。老後の問題はともかく、今生きていくだけならアルバイトをしているだけで余裕のある暮らしができる。親のすねをかじっていたのだから尚更だろう。
選り好みしなければ仕事なんていくらでもある。
仕事で中国、台湾、韓国の連中をよく見てきたが、アジアで生活レベルがマシな方のこのへんの国でも、生活は日本より遥かに厳しい。物価は日本と大して変わらないのに、韓国は日本人の2/3、台湾は半分、中国は1/3くらいしか給料が出ない。サービス残業も当然。社会人になるまでの競争が激しく、社会人になってからもより一層厳しくなる。一流企業に入社できても、40歳までに管理職になれなければクビになり、チキンなどを売る飲食店を開くことになる。
それでいながら、日本と同じように老後の心配をする人ばかり。今の生活も不安なら、将来も不安。
隣の芝生は青く見えるというが、日本に住んでいるとよその国がよく見えることがあるのだろう。
そんなことがあるかも知れないが、外国に何回か行き、何週間か滞在すれば日本がどれだけ恵まれているかよく分かるだろう。日本は衣食住に事足りていてそれなりの生活ができるし、街は清潔で、すごく安全。いろんな自由がある。
海外にいると、日本のありがたさがよく分かる。
よく「日本の若者を鍛え直すために徴兵制を導入せよ」などと言う保守の人がいる。少なくとも、それで精神が少しは鍛えられても、愛国心が芽生えるとは思えない。愛国心を養いたいのなら、2週間ほど外国に滞在させりゃ十分ではないか。汚いホテルに泊まって、汚い道路に辟易し、安い給料で働いて細々と暮らしている外国人を見りゃ、日本人であることがいかに恵まれているかがよく分かり、日本を愛するきっかけになるだろう。
人間は基本的にアホだから、いいとか悪いとかは相対的に評価しないとマトモに判断できない。恵まれた生活を送って、日頃からマスコミに日本がいかにダメな国かと吹聴されると、和歌山の23歳の男のように日本での暮らしが嫌になってしまう。
大学の入学や入社の時期を9月にするとかいう話があるが、だったらそれまでの数か月を海外で暮らすようにさせてもいい。どんなヤツでも、海外で暮らせば日本のよさを知ることになるのではないか。