韓国のサムスン電子が24日(火)に発表した2016年1年間の決算発表によると、営業利益が前年比11%増の29兆2400億ウォン(2兆8300億円)となったという。
これは2016年3月期決算のトヨタの営業利益とほぼ同じで、トヨタが今年度3月期に昨年度比4割減となることを考えれば、サムスン電子がめちゃくちゃ儲かっていることがよく分かる。
サムスン電子の利益を牽引しているのが半導体部門である。ハイエンドで高価格帯のメモリが売れに売れている。サムスン電子が製造する半導体は世界のスマートフォンに多く採用されているので当たり前といえる結果だろう。
サムスン電子が得意とするメモリ事業であるが、サムスン電子を躍進させたNAND型フラッシュメモリの技術は東芝から流れたものだとよく言われる。NOR型やNAND型のフラッシュメモリは東芝の社員だった日本人が発明し、東芝が技術で先行していた。しかし、技術者を評価せず大切にしない東芝から技術者がサムスン電子へと流出し、同時にフラッシュメモリの技術もサムスン電子に伝わってしまった。
今やサムスン電子はスマートフォンなどで多く採用されるNAND型フラッシュメモリで世界の3分の1以上のシェアを占めるトップ企業だ。東芝はシェアで倍以上離される2位に甘んじており、しかも経営不振の東芝のせいで半導体部門は分社化される見込みだ。
シャープの液晶技術もサムスン電子に引き抜かれた社員によって多く流出したそうだが、日本企業がサムスン電子1社にズタボロに負けている現状は、技術者を評価しないツケが回ってきた結果である。サムスンやLGなど韓国企業に行ったところで、技術だけ吸い取られてポイ捨てされるのがオチだが、少なくとも社員である間は重宝されたのは間違いない。
韓国のGDPの2割をサムスングループでの売上が占めるため、日本ではサムスンが傾くと韓国が傾くとよく語られている。だが、今やサムスングループは巨大過ぎる企業に成長し、ちょっとやそっとじゃ傾かない。
その証拠に、昨年夏に世界中を賑わしたGalaxy Note 7のバッテリー爆発問題で、Note
7をすべて回収するハメになり、その補償などでサムスン電子に損害が出たが、結局トータルで見れば僅かな損害でしかなかった。
ブランドイメージの低下も叫ばれたが、10月から12月の第4四半期で前年比50%増の営業利益を叩き出していた。基幹部品である半導体事業が中心だから、スマホが燃えたくらいの損害や、ブランドイメージ低下によるスマホの若干の売上低下など影響は皆無に等しい。
朴槿恵大統領と崔順実の問題で出てきた贈賄疑惑にしても、サムスングループの経営トップである李在鎔・サムスン電子副会長への逮捕状が請求されても、裁判所がそれをなんなく棄却した。経営と一族のトップが逮捕されれば多少影響があったかも知れないが、結局のところは僅かな影響しか及ぼさなかったに違いない。
嫌韓の日本人は韓国を認めたくないばかりに、サムスンがいかに巨大企業で技術を持っているかを認めたがらないむきがある。
どう考えても、シャープのようなボンクラ企業よりは優れているだろう。
仕事でサムスン電子の半導体部門と関係があるが、一流大学を出て、厳しい就職活動を勝ち抜いてサムスンに入社し、入社後も出世競争をしているサムスン電子の社員はみな優秀である。大体の社員が英語を話せ、管理職になってくると英語とそこそこの日本語が話せる。
韓国国内にあるサムスン電子の半導体工場はどれも大きくで、現在建設中の半導体工場も見たことがないくらい大規模になっている。
社員の雰囲気や会社の規模、韓国の特殊性を考えてもサムスンが傾くとか、潰れるとは到底思えない。
経営判断を誤った東芝やシャープの例が示すように、企業経営は一寸先が闇であり、サムスングループが永久に安泰であるとは思わないが、スマホが爆発したとか、経営トップが逮捕されそうという程度では屋台骨が揺るがないことを韓国嫌いの日本人はいい加減学習すべきだろう。
サムスン倒産→韓国崩壊は嫌韓日本人の希望的観測でしかない。
そうそう起こりそうにないことに期待を込めて妄想するより、日本や日本企業がどうすればいいかを考えた方がよほど有意義である。