先っちょマンブログ

2017年01月

20170125-1

韓国のサムスン電子が24日(火)に発表した2016年1年間の決算発表によると、営業利益が前年比11%増の29兆2400億ウォン(2兆8300億円)となったという。
これは2016年3月期決算のトヨタの営業利益とほぼ同じで、トヨタが今年度3月期に昨年度比4割減となることを考えれば、サムスン電子がめちゃくちゃ儲かっていることがよく分かる。

サムスン電子の利益を牽引しているのが半導体部門である。ハイエンドで高価格帯のメモリが売れに売れている。サムスン電子が製造する半導体は世界のスマートフォンに多く採用されているので当たり前といえる結果だろう。

サムスン電子が得意とするメモリ事業であるが、サムスン電子を躍進させたNAND型フラッシュメモリの技術は東芝から流れたものだとよく言われる。NOR型やNAND型のフラッシュメモリは東芝の社員だった日本人が発明し、東芝が技術で先行していた。しかし、技術者を評価せず大切にしない東芝から技術者がサムスン電子へと流出し、同時にフラッシュメモリの技術もサムスン電子に伝わってしまった。
今やサムスン電子はスマートフォンなどで多く採用されるNAND型フラッシュメモリで世界の3分の1以上のシェアを占めるトップ企業だ。東芝はシェアで倍以上離される2位に甘んじており、しかも経営不振の東芝のせいで半導体部門は分社化される見込みだ。

シャープの液晶技術もサムスン電子に引き抜かれた社員によって多く流出したそうだが、日本企業がサムスン電子1社にズタボロに負けている現状は、技術者を評価しないツケが回ってきた結果である。サムスンやLGなど韓国企業に行ったところで、技術だけ吸い取られてポイ捨てされるのがオチだが、少なくとも社員である間は重宝されたのは間違いない。

韓国のGDPの2割をサムスングループでの売上が占めるため、日本ではサムスンが傾くと韓国が傾くとよく語られている。だが、今やサムスングループは巨大過ぎる企業に成長し、ちょっとやそっとじゃ傾かない。
その証拠に、昨年夏に世界中を賑わしたGalaxy Note 7のバッテリー爆発問題で、Note
7をすべて回収するハメになり、その補償などでサムスン電子に損害が出たが、結局トータルで見れば僅かな損害でしかなかった。
ブランドイメージの低下も叫ばれたが、10月から12月の第4四半期で前年比50%増の営業利益を叩き出していた。基幹部品である半導体事業が中心だから、スマホが燃えたくらいの損害や、ブランドイメージ低下によるスマホの若干の売上低下など影響は皆無に等しい。

朴槿恵大統領と崔順実の問題で出てきた贈賄疑惑にしても、サムスングループの経営トップである李在鎔・サムスン電子副会長への逮捕状が請求されても、裁判所がそれをなんなく棄却した。経営と一族のトップが逮捕されれば多少影響があったかも知れないが、結局のところは僅かな影響しか及ぼさなかったに違いない。

嫌韓の日本人は韓国を認めたくないばかりに、サムスンがいかに巨大企業で技術を持っているかを認めたがらないむきがある。
どう考えても、シャープのようなボンクラ企業よりは優れているだろう。
仕事でサムスン電子の半導体部門と関係があるが、一流大学を出て、厳しい就職活動を勝ち抜いてサムスンに入社し、入社後も出世競争をしているサムスン電子の社員はみな優秀である。大体の社員が英語を話せ、管理職になってくると英語とそこそこの日本語が話せる。
韓国国内にあるサムスン電子の半導体工場はどれも大きくで、現在建設中の半導体工場も見たことがないくらい大規模になっている。

社員の雰囲気や会社の規模、韓国の特殊性を考えてもサムスンが傾くとか、潰れるとは到底思えない。
経営判断を誤った東芝やシャープの例が示すように、企業経営は一寸先が闇であり、サムスングループが永久に安泰であるとは思わないが、スマホが爆発したとか、経営トップが逮捕されそうという程度では屋台骨が揺るがないことを韓国嫌いの日本人はいい加減学習すべきだろう。

サムスン倒産→韓国崩壊は嫌韓日本人の希望的観測でしかない。
そうそう起こりそうにないことに期待を込めて妄想するより、日本や日本企業がどうすればいいかを考えた方がよほど有意義である。

20170124-1

普段よく使う家電製品などはできるだけ日本メーカーのものを買っている。テレビやレコーダーなどのAV家電、洗濯機や冷蔵庫、オーブンレンジなどの白物家電だ。
サムスンやLGなどの韓国メーカー、ハイアールなどの中国メーカーのものはない。独身でとりあえず安く揃えたいというのなら外国メーカーの安物を買ってもいいのだろうが、少なくとも5年以上、10年くらい使うのが当たり前のものは多少高くても国内メーカーのものがいい。

まあ、国内メーカーだからといって品質がいいとは限らないが、気分の問題だ。
私は特にLGがキライで、ウインクしているスマイルマークみたいな企業ロゴがメチャクチャ気持ち悪い。LGのテレビを買う人が多いようだが、LGのテレビを見るということは、フレーム下に表示されたLGのマークをずっと見続けねばならないのと同じであり、そのような苦痛に耐えることはできない。

家電はそんな感じだが、これがIT製品だと変わってくる。
例えばノートパソコンは日本のものはムダに機能が多くて値が張るだけなので、ASUSあたりの台湾製がベストだ。SIMフリーのスマートフォンも買ったが、これも台湾のASUSである。選択肢が限られてくるからである。
だから、IT製品については台湾メーカーとか中国メーカーとかこだわらない方がいいように思う。

前々から着信通知ができ、歩数や消費カロリーなどの活動量が計測できるシンプルなスマートウォッチが欲しいと思っているのだが、頼りのソニーはスマートウォッチをしばらく出していない。それに対し、中国では大手から聞いたことのないようなメーカーまでいろんな種類のスマートウォッチを出しまくりだ。
ファーウェイから「Huawei
FIT」というスマートウォッチが出ていて、これが性能的になかなかよさそうなので欲しいと思っている。1万5千円ちょっとなので好きに買ったらいいと思うのだが、レビューの様子見をしている。
中国企業のファーウェイはスマホや携帯の基地局で通信傍受しているなどと言われているが、世界的な大企業だし、スマートウォッチならどうということはない。

本人がいいと思うのなら、日本メーカーだろうが中国メーカーだろうが韓国メーカーだろうが好きなものを使えばいい。少しだけ日本メーカーにこだわるわけで、いいものが適正な価格で売られているならば、どこの国の製品だろうが選択肢に入れるべきである。
ただ、心情的に同じ性能で同じくらいの価格なら、日本メーカーを選ぶ。それは当然だろう。日本メーカーの製品の方が安いとか、性能が優れているのならなおさらだ。

何年か前、トミーズ雅が関西ローカルのテレビ番組で「ヒュンダイの車に乗ってるのは生野区(在日が多い)の人くらいやろ」と言っていた。
かつて韓国のヒュンダイは日本で自動車の販売をしていたが、まったく売れなかったので撤退してしまった。
当然の結果である。日本車と韓国車があって、仮に性能と価格が同じだったとして、誰が韓国車を買うだろうか。日本のものを買いたい、韓国のものは買いたくないという心情を別にしても、ディーラーが少なく、なにかあったときに不便が多そうな車をわざわざ買う理由がない。

ヒュンダイと同様の理由で、アメリカのフォードも昨年日本市場から撤退した。
単に日本人が日本のものを買いたがるせいでフォードが撤退したわけでもなかろう。魅力的な車がなかったから売れなかったのだ。その証拠に、メルセデス・ベンツやBMW、フォルクスワーゲンあたりのドイツ車は高級車から大衆車までまあまあ売れている。
私からするとわざわざドイツ車を買う酔狂がいることが信じられないが、車は人によって好みが違うから仕方がない。
性能や価格、デザインなど、日本人の人気を集める車ならそれなりに売れるだろう。ヒュンダイやフォードが日本から撤退したのは、日本人が魅力的に感じるような車を販売しなかったからである。フォードと同じくアメリカ車のGMとクライスラーも日本市場で1年間に数百台から数千台しか売れておらず、販売不振は明確で日本撤退間違いなしと言われている。
日本人はアメ車に魅力など感じないのだ。アメ車にどんなメリットがあるのか知らないが、売れないのは当然のように思える。

ところが、この度アメリカ大統領になったドナルド・トランプは、アホだからアメ車が日本で売れないのは日本人のせいだと憤慨している。23日、「日本でアメ車が売れないのに、日本車は見たこともないような大きな船でアメリカに何十万台も運ばれて売られている」とし、日本市場に貿易障壁があるせいでアメ車が売れないと日本を名指しで批判した。

日本は1978年から輸入自動車に関する関税がゼロになっていて、世界でもっとも開かれた自由市場になっている。それに対してアメリカは輸入車に対して2.5%の関税をかけている。トランプは一体なにを言っているのか。
おそらくトランプがいう貿易障壁とは、日本の車検制度など非関税障壁のことであろうが、それはドイツ車も同じ条件である。
日本で売れる車を作れば販売台数が増え、ディーラー網の拡充もできただろうが、日本で売れない車しか作れないアメリカの自動車会社は本当に無能である。そんな無能を棚に上げ、自動車会社の代弁者として日本を叩くのがトランプだ。

アメリカは自動車産業の分野で海外メーカーとまともに渡りあえないから、ダメな息子を救うためにモンスターペアレントのトランプ大統領が吠えているだけである。トランプは「うちの子が野球チームでレギュラーになれないのはおかしい」、「うちの子が運動会の徒競走で勝てるようにしろ」と気が触れたようなクレームを付ける親と同じだ。

そんなヤツの言うことをマジメに聞く必要などない。相手がアメリカ大統領だとそういうわけにはいかないのかも知れないが、マジメに対応するだけ損をするだけである。

20170123-1

原作の小説がすごく面白いのに、映画化するともうひとつという作品は山ほどある。先日、ケーブルテレビの映画専門チャンネルで放送されていたので録画して見た「チャイルド44 森に消えた子供たち」(2015年米)もそのひとつだった。

原作はトム・ロブ・スミスのデビュー作「チャイルド44」で、1950年代のスターリン政権化のソ連を舞台にしており、ミステリー小説とスパイ小説、ハードボイルド小説を混ぜたような作品だ。
ソ連の国家保安省の捜査官が主人公で、スパイ容疑で捜査中に容疑者の関係者を容赦なく殺害した部下に激昂したことをその部下に恨まれ、妻がスパイだと告発されて転落していく。秘密警察から田舎の民警に飛ばされた主人公が、そこで起こった子供に対する連続殺人事件を追っていくという内容だ。
この小説の肝は、誰が犯人なのかというミステリーの内容よりも、エリートだった主人公を追い詰めるソ連の恐ろしい社会の仕組みだ。密告でスパイ容疑をかけられたら、親族だろうがなんだろうが見捨てるほかは逃れるすべはない。スターリン政権下では殺人は堕落した資本主義社会で起こるものとして、ソ連では起こり得ない犯罪だとされていた。
そんななか、国家保安省の捜査官である主人公が追い詰められながらも連続殺人事件を追っていくというハラハラドキドキの展開が面白い。

ところが映画では今ひとつドキドキ感が伝わって来ず、スターリン政権下のソ連の恐ろしさも希薄な感じで、ただの凡庸なミステリー映画でしかなかった。2時間ちょっとでそれを伝えるのはムリなのかも知れないが、そこらへんが製作者の腕の見せどころなのではないか。
「チャイルド44」の映画は評論家の評価も低く、興行収入という点からもおおすべりで、制作費の10分の1も稼ぐことができなかった。

「チャイルド44」を読むと、今の北朝鮮に残っている密告社会の恐ろしさや、ソ連の情報機関や秘密組織の恐ろしさを味わえる。
主人公が所属していた国家保安省(MGB)はのちのソ連国家保安委員会(KGB)となる組織だ。プーチンがエージェントして在籍していたのがKGBである。
ソ連崩壊後、KGBはロシア連邦保安庁(FSB)やロシア対外情報庁 (SVR) として組織が残ることになる。

KGBは小説やら映画やらでよく見たが、ロシアになってからのFSBなどについてはフューチャーされることが少なくなったので耳馴染みがないが、ちゃんと活動をしているらしい。
FSBはロシア国内で外国組織の諜報活動やテロを防止したり、犯罪対策を行う治安機関だ。
そのFSBが少し前にアメリカのトランプ大統領の件で注目を浴びたことがあった。

イギリスの情報機関の工作員であった男が作成した文書をCIAが入手し、オバマ前大統領やトランプに報告があったという。その内容が、トランプが過去5年にわたってロシアの政権と懇意にして親交を深め、ロシアから支援を受けていたというものだった。また、とりわけ注目されたのが、モスクワのリッツカールトンにトランプが宿泊したときの行動が文書に記されていることだった。
2013年、ミス・ユニバースのしごとでモスクワを訪れていたトランプは、オバマ大統領夫妻が宿泊したとされるリッツカールトンの最高級スイートに宿泊した際、現地の娼婦を呼び、オバマ夫妻が寝たとされるベッドに放尿させて大喜びしたと文書にあった。
モスクワのリッツカールトンはFSBの監督下にあり、要人が泊まるような部屋には隠しカメラと隠しマイクが仕込まれていて、トランプの乱痴気騒ぎの映像がすべてロシア側に押さえられているのだという。

トランプはオバマと違って親ロシアの姿勢を見せているが、単純にビジネス面でロシアに近づこうとしているだけでなく、弱みを握られているのではないかと米ネットメディアのバズフィードやCNNが報道した。トランプの放尿プレイは「ゴールデンシャワー」と名付けられた。
トランプはそれにブチ切れ、会見でバズフィードやCNNを口汚く罵ったが、日本では具体的にトランプの疑惑が報道されたなかったので、なぜトランプが怒っているのか理由を説明しなかった。

それにしても恐ろしいのがFSBである。トランプがアメリカの大統領選に出馬すると明言したのが2015年で、しかも誰も当選するとは思っていなかった。大統領になることを予測していなかったにせよ、ただのビジネスマンであり、テレビで面白おかしく吠えているだけのドナルド・トランプまでマークして、オバマをバカにするために売春婦にやらせた放尿プレイをきっちり録画していた。
アメリカの大統領はホワイトハウスで研修生に淫行をするような政治家であるから、今さらトランプが放尿プレイしていようがいまいが関係なさそうだが、脇の甘そうなトランプはロシアにまだまだ弱みを多く握られていそうである。

そのうち、ロシアとトランプの繋がりをサスペンス調で描いた小説が登場するかも知れない。それを映画化する際は、ロシアのFSBがいかに恐ろしいかを描いて貰いたい。

20170122-1

日本時間の昨日、ドナルド・トランプのアメリカ合衆国大統領の就任式が行われた。就任式までに死んだりしないかと期待してたが、憎まれっ子世にはばかるという諺があるように、トランプみたいなヤツは地球が滅亡するまで生き残るのかも知れない。

そんなトランプだが、大統領になってからもメディア批判は止まらないようだ。普段からトランプに批判的な左派メディアのニューヨークタイムズがトランプの就任式に集まった人がオバマ就任時の3分の1、20万人程度だったと報じた。
ニューヨークタイムズの記者がツイッターに挙げた写真を見れば一目瞭然だが、明らかに少ない。左の2009年のオバマの就任式のとき、連邦議会議事堂前には50万人以上集まっていたが、右のトランプの就任式はスカスカである。
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これに対し、トランプは「メディアは人がいないところの写真だけを掲載した」とし、実際は100万人から150万人は集まっていたと主張した。どう見てもオバマのときの2倍から3倍集まったとは思えないが、理想と現実の区別も付いていないらしい。
これが第45代アメリカ大統領である。

トランプは就任してからもそれまでの持論を曲げず、「アメリカ・ファースト」、自国第一主義を掲げ、TPPの離脱を表明。アメリカが有利になるようNAFTAの再交渉を要求し、カナダとメキシコが認めなければ離脱すると改めて表明した。
アメリカ第一だから、アメリカが損をする地球温暖化対策の計画も撤廃するという。

政治家たるもの自国を最優先するのは当然であるが、トランプの場合はアメリカさえよければ他国がどうなってもいいと考えている。アメリカだけが得をして、ほかが損をしようがどうしようがお構いなしだ。ビジネスの世界ではWin-Winの関係が好まれるが、トランプはアメリカだけが儲かり、よその連中はそのおこぼれにあずかるだけでいいという極端過ぎる考えだ。
「アメリカ・ファースト」はアメリカにとって立派で素晴らしい考え方なのだろうか。必ずしも得ばかりするとは思えないが、結果は数年先に出てくるだろう。

トランプの「アメリカ・ファースト」と似たような感じで、「都民ファースト」とか言っている女政治家がいる。東京都知事の小池百合子だ。
何とかファーストと訴えれば、有権者は自分たちが一番大切にされていると感じて支持したくなるのだろう。小池都知事はよく分かっていらっしゃる。

その「都民ファースト」のため、小池百合子は東京都が誘致したオリンピックの費用を少しでも浮かせようと、バレーボール会場を横浜市の承諾も得ずに勝手に横浜でやらせようとした。
「東京都の税金が節約できるし、横浜にいくらか観光客が行くんだからいいだろ」という自分勝手な考えで、横浜からはあえなく拒否されてしまった。
「都民ファースト」を謳った東京五輪会場の移転は小池百合子の3戦全敗だった。

東京都の有権者の人気取りには成功したが、思った通りの結果は残せず、「都民ファースト」はなかなかうまくいかなかった。
「都民の安全のため」と謳った築地市場の豊洲への移転延期についても、時間切れで敗れるかと思っていたが、ここへ来て小池百合子が喜びそうな地下水モニタリングの最終結果が出てきた。

これまでの過去8回、環境基準を僅かに超える程度だったのに、最後の9回目になってベンゼンが最大79倍、ヒ素が最大3.8倍、不検出のシアン化合物まで検出される結果となった。
検査業者が変わったとか、地下水管理システムの稼働によって地下水が撹拌されたためなどといわれているが、どっちにしても「都民ファースト」を掲げて豊洲移転に待ったをかけた小池百合子が泣いて喜ぶような結果だった。

誰もいない豊洲市場には1日500万円の維持費がかかり、これまでに築地業者への補償費が300億円に膨れ上がったわけだが、そんなものは関係ない。あれだけ五輪会場で節約しようとしていた税金を豊洲市場で湯水の如く使っても関係ない。これが彼女の言う「都民ファースト」だからである。

しかし、東京都民は冷静になって考えるべきだ。アホみたいな「都民ファースト」とか、「安全と安心は違う」などという言葉に惑わされてはいけない。
どう考えても築地市場は豊洲市場に移転すべきである。安心を数百億円で買うとか、気持ちだけの問題で無駄金を使うほどバカバカしいことはない。

環境基準値1.4倍のベンゼンが79倍になったら大変だと思うかも知れないが、豊洲市場で問題となっている環境基準値は、有害物質が含まれた水を毎日2リットル、70年間飲み続けた場合の健康被害で決められている。環境基準値1倍のベンゼンを含む水を毎日2リットル、70年間飲み続けると、発がん率が0.001%高まるという。79倍なら0.079%。
日本人の50%近くががんに罹る現在、50%が50.1%になったところでどうということはない。
しかも、もっとも重要なのが、豊洲市場の水は飲みもしないし、魚や野菜の洗浄に使われるわけでもない。誰も飲まないから健康被害などありそうにもないのだが、ただ「気持ち悪い」とか「カラダに悪そう」という主観的な考えだけで豊洲市場が問題になっている。

こんなもんのために、何百億円も使って「安心を買う」とかどうかしている。築地市場に残る場合、豊洲市場建設にかけた5800億円を捨て、築地市場の改修にまたも数千億円をかけ、東京五輪までに整備するはずの道路の計画もパーにする。
これのなにが「都民ファースト」なのだろう。「都民ファースト」というならば、さっさと豊洲市場に移転して、風評被害がこれ以上大きくならないように健康被害などないことをアピールすべきだった。菅直人がカイワレを食ったみたいに、豊洲市場の水道水を飲んでいればよかった。

それももう手遅れである。ゼロリスク教の信者になった今の大多数の日本人には豊洲が安全であるとか今さら聞く耳を持たない。いたずらに世間を騒がしたことが小池百合子の「都民ファースト」の結果である。
有権者を煽動したという意味では、トランプ並みの立派な結果を残したわけである。

20170120-1

我が家でメインで使っているリビングのテレビは、東芝のREGZA
42Z8000という42型液晶テレビだ。2009年発売の製品で、政府がやっていた家電エコポイント事業とやらで何万円かの商品券が貰えるときに買い替えたものだ。
当時東芝のREGZA Z8000を選んだのは、他社のテレビは正規オプション品の外付けHDDでしか地デジを録画させないものばかりだったなか、東芝だけ普通のパソコン用の外付けHDDにでも録画可能で、外付けHDDを安く入手することができたからだ。

なんの問題もなく7年ほど使っていたのだが、最近になってブロックノイズがよく出るようになった。10分に1回ほど、画面と音声が乱れ、HDDに録画してもノイズが出ている。
テレビに接続しているソニーのブルーレイレコーダで地デジを見るとまったく出ないので、地デジの受信に問題があるなどではなく、テレビが調子悪くなっていると思っていた。

そろそろテレビもソニーのものに買い換えようかと思ったのだが、とりあえずネットで同様の問題が出ていないか調べてみたら、ブロックノイズが出る原因が分かった。
アマゾンで購入したFire TV Stickが原因だった。

ネットにたくさんの事例があるが、テレビとHDMI接続してネット動画をストリーミング再生できるFire TV
StickやGoogleのChromecastを東芝のREGZAに接続すると、個体によって頻度の差があるようだが、ブロックノイズが頻発するようになるらしい。
ネットにはその解決方法として、テレビのHDMIポート周辺や背面をアルミホイルで覆うか、元々付いていた短いHDMI延長ケーブルを長いものに変えてテレビ本体からFire
TV Stickを離すとブロックノイズが出なくなったとある。

ネットの情報は、いずれもFire TV Stickから放射されているノイズを防ぐためにアルミホイルを貼るか、テレビから遠く離すようにすればいいと書いてあった。
しかし私の仕事の経験則でいうと、このようなノイズの影響による問題があったとき、そのノイズは大抵がケーブル経由で伝わる。Fire TV
Stickでいうと、HDMIの短い延長ケーブルとUSB電源ケーブルだ。

このようなとき、ノイズが載っていると思われるケーブルにフェライトコアを使用するとノイズが低減することが多い。フェライトコアとは以下の写真のようなもので、ケーブルを挟み込むようにして利用する。ケーブルを1回転させるようにして巻くといいが、ケーブルのまっすぐになった部分に挟むだけでもそれなりの効果がある。
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勤務先にTDKのフェライトコアが山ほどあったので、ケーブルの太さに合いそうなものを適当に持って帰り、HDMI延長ケーブルとUSB電源ケーブルにフェライトコアをかましてみたら見事に地デジにブロックノイズが出なくなった。HDMIケーブルか電源ケーブルのどちらかだけで効果があるかも知れないが、問題の切り分けなんか面倒くさくてやっていられないので、両方とも付けておくようにした。

このFire TV StickやChromecastによる地デジのブロックノイズ問題は、他社のテレビでは発生しないらしい。東芝のREGZAだけ極めて接続機器からのノイズに弱いようだ。比較的新しい製品でも起きるらしい。
これは設計の問題であり、簡単にいうと東芝のテレビは設計がいけてないということである。他社にできているほかからのノイズ対策ができていないということだ。

そういうメーカーのテレビは二度と買うつもりはない。私は何年も前からシャープ製品は買わないようにしているが、東芝のテレビも不買一覧に加わってしまった。
東芝のテレビ自体、東芝本体から切り離されて子会社から発売されるようになったし、テレビは自社開発、自社生産すると明言していたものの、レコーダーは他社が開発したものをOEMを受けて販売している製品もあった。
元々東芝のテレビを買う気が失せていたのは間違いなく、今度のノイズの問題で買う気がゼロになってしまった。

それに加え、ここへ来て東芝の存続自体が危ぶまれるようになってきた。東芝は事業の三本柱のうちのひとつ、メディカル事業はキヤノンに売却してしまった。粉飾決算などの不正会見問題による経営悪化が原因である。
残るふたつ原発事業と半導体のうち、原発事業は粉飾決算が判明する数年前から攻めに攻めていて、米ウエスチングハウスを買収した。そのウエスチングハウスが2015年12月に買収した原発建設会社について資産価値を大きく見誤ってしまった。買収額は0ドルであったが、同社は債務超過状態に陥っており、資産価値が想定を大幅に下回った。それが大きく影響し、このアメリカの原発事業が原因で7000億円規模の損失を計上しないといけないハメになった。2016年3月期にウエスチングハウスを中心にした原発事業で2500億円の減損損失を計上したばかりなのに、1年の経たずに今度は7000億円である。

不正会計問題のせいで虎の子だったメディカル事業を売却し、虎の子として残した原発事業でとてつもない損害を出すことになってしまった。
東芝は半導体事業を分社化は間違いなく、ほかの事業も売却するなどして米原発事業の損失の穴埋めをするらしい。
このままだと、東芝本体に残るのは大損こいた原発事業と、エレベータなどの事業だけになってしまうのは間違いなく、正直なところ、東芝は終ったも同然である。テレビどころの話ではない。

あれほどの超巨大企業だった東芝が、たった数年で空中分解することになった。この前の粉飾決算の原因は米ウエスチングハウスの減損処理だった。粉飾決算で取り繕い、「原発事業は好調だ」とアピールしてきた。そのウエスチングハウスが関わる原発事業でこれまでに1兆円を越す損失を出しているのだから、東芝はアメリカの原発事業に手を出して自滅したも同然である。
東芝は3代前の西田社長時代に攻めまくってウエスチングハウスを買収し、半導体事業に投資しまくったわけだが、結果的にはどっちも大失敗だったわけだ。西田社長のあとを引き継いだ佐々木社長の判断も間違いだった。しかも、間違いとか大失敗とかいう表現で済まされるレベルの話ではない。

今後東芝に吹き荒れるのは分社化、事業売却、リストラの嵐である。東芝の社員の多くが不幸になるに違いない。ここ10年の経営陣らが死んで詫びても足りないくらいだ。
シャープ同様、東芝も死んでしまった。大企業はいかに経営判断が重要かがよく分かる。経営判断を誤れば、一瞬で会社がバラバラになってしまう。

東芝の白物家電は中国企業に売却された。東芝ブランドを維持しているが、残念ながら買う気が失せたのは間違いない。
子会社がやっている東芝ブランドのテレビもどこぞの外国企業に売却されるかも知れない。これでますます東芝のテレビを買う理由がなくなった。テレビ事業ではソニーとパナソニクッも増収増益、シャープも黒字転換だったのに、東芝だけひとり負けで赤字だった。もう元々先がなかった。

東芝ブランドの消滅はなくとも、一般消費者として、東芝ブランドの製品を見る機会はほぼなくなるのではないかと思う。

シャープに続いて東芝も死んだ。これ以上はゴメンであるが、次もまたありそうな気がしてならない。

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