天皇陛下の譲位を定めた特例法案に併せて女性宮家創設を検討課題とする付帯決議案を採択することで与野党が合意したという。
安倍政権は女性宮家創設について議論すら行わないという姿勢であったが、民進党が譲位の特例法案審議拒否をちらつかせてきたため妥協したのだという。
民進党のやり口は置いといて、女性宮家について議論するくらいはすればいい。
産経新聞は今日の社説でこれに触れていて、たいそう不満そうだった。
【産経ニュース】「女性宮家」 皇位継承の大原則を守れ (5/31)
安倍政権も産経新聞も、女性宮家創設は女系天皇へのきっかけに繋がると考えている。まあそうなのだが、安定した皇室の継続のためにはあらゆる選択肢を含めて考えねばならない。「これだけは絶対に議論しない」と意固地になっている場合ではない。
天皇にはこれまで125代にわたって男系が続いてきたという世界でも類を見ない伝統がある。今後ももちろんそうすべきだが、これまでの2600年の歴史と現代ではいろいろ変わりすぎた。それが未来永劫ずっと続くとはどうしても思えない。
現在の皇位継承順位でいうと、皇位継承の権利がある皇族は4人しかいない。皇太子殿下(57歳)、秋篠宮殿下(51歳)、悠仁さま(10歳)、常陸宮殿下(81歳)だけだ。常陸宮殿下に継承されることはあり得ないと思うので、実質的に3人になる。
何度も言及されていることであるが、悠仁さまが結婚されて男子が生まれなかった場合、天皇の歴史はそこで終わってしまう。そのときには、ほかの皇族の方々もおられなくなっているだろうから、悠仁さまは文字通り最後の天皇になってしまう。
常にいろんなことを考えて、事前に検討しておくことが賢い大人ではないのか。考えたくないからといって問題を先送りしている場合ではない。豊洲移転や五輪の分担金の割り当てみたいなもんは先送りしてもまだいいのかも知れないが、皇室の存続、皇位継承のあり方は市場や五輪などカネの問題より遙かに重要だ。
天皇については男系での継続が望ましいとは思うが、正直、それを続けるのは難しいと思う。何人子供を作っても女の子ばかりの家庭もあるし、私のように子供ができそうにない家庭もある。
内親王(女子)ばかり4人続けて生まれたことについて、側室を持たれることを強く進められた昭和天皇が「そのような人の道に外れたことはできない」と考えを述べた時点で、
皇位継承の危機が訪れることは間違いなかった。
一夫多妻だった過去の天皇のときですら、皇位継承が危なくなったことが何度かあったというのに、国民と同じ一夫一妻なのだから当然だ。断絶した家系が日本にどれだけあっただろうか。
天皇は政治に口出しできないという憲法上の決まりから、今上天皇の考えをうかがい知ることはできないし、忖度しても想像の域を超えない。どうするべきなのか、皇族の方々の意見を乞うべきであるが、それができないのだから、政治家が知恵を絞って考えるしかない。
個人的には、旧皇族の人たちを皇族として連れ戻すより、女系天皇の方がいいように思える。テレビに出ている竹田なんとかが結婚して子供ができたとして、その子供が新しい天皇ですなどと言われても戸惑うしかない。それだったら、例えば愛子さまのご子息は女系天皇になるわけだが、より天皇にふさわしいのではないか。
以前、保守メディアお抱えの評論家が男系天皇はY染色体がどうのと主張していたが、過去の天皇の系譜をY染色体で受け継ぐ人物だから国民が敬愛でき、女系天皇ではそうではないから敬愛できないなんてことはないのではないか。
このような意見がひとつにまとまるとは思わないが、とりあえずつっこんだ議論はして貰いたい。
女系天皇やその可能性を拒否することが保守ではない。天皇が国体だというのであれば、その国体を守るために真剣に考え、議論するのが真の保守である。