今週発売の週刊新潮で、自民党を離党した豊田真由子議員に関する秘書へのパワハラ事案の続報が報じられた。今回新たに公開された暴言では、「豊田真由子様に向かって、お前のやってることは違うと言うわけ?あたしに?」というものがあった。国会議員さまに向かって口答えする気かという発言だ。
ミュージカル調で問い詰めるものがまた出てきたほか、「あるんでちゅかあ!」と赤ちゃん言葉で叫んでいるものもあった。
クセが凄すぎる議員に笑わずにはいられない。週刊誌がスクープネタを小出しにすることはよくあるから、来週もまたなにか出てくるかも知れない。刑事事件に発展すれば離党では済まず、議員辞職を迫られることは間違いないので、豊田議員は死んでも元秘書と和解せねばならない。
圧倒的に元秘書有利であるが、家族を脅すなどしてこうなったのは自分のせいだし、録音されていることを考えずにバカな行動を取り続けたのだからしょうがない。国会議員に向いていないヤツは辞めるべきである。
ここのところ、自民党には逆風が吹いている。
豊田議員のパワハラ問題に加え、週刊文春は下村博文・幹事長代行に対する加計学園からの政治献金疑惑を報じた。
自称イクメン議員だった旦那に浮気された金子恵美・総務政務官は保育園への子供の送迎に公用車を使ったと叩かれた。無職の旦那がいるんだから、そいつに任せておけばよかった。
逆風の極めつけが稲田朋美・防衛相である。
27日(火)に東京都板橋区で開かれた自民党候補の集会で、稲田防衛相は立候補者について「2期目の当選は大変ですから、防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」などと発言した。
公職選挙法や自衛隊法では、公務員や自衛官の政治活動が禁じられており、さらに自衛官の上に立つ防衛大臣などの閣僚もその立場を利用しての政治活動が禁じられている。大臣やら政務官などに就く有名な政治家が候補者の応援に来ることはよくあるが、立場は「応援弁士」であって、「○○大臣」などではない。
稲田防衛相の発言は極めて問題であり、すぐに撤回されたものの、撤回したからいいというものでもなさそうだ。
だが本人は今日の記者会見で「防衛相としての職責を果たしてまいりたい」と、防衛大臣の辞任も議員辞職も否定した。
稲田防衛相は弁護士出身で、公職選挙法などを知っていて当然のように思えるが、本人に言わせると「あくまで自民党の国会議員として応援演説に行った」とのことらしい。
人のことを「ぶち殺す」と脅迫し、あとで「撤回します」などと言って済まされるような話ではないのだが、自身が口を滑らせたことは自分で大甘裁定をするようだ。
この件について、稲田防衛相は27日夜に安倍首相に電話で報告済みなのだという。それでこういう結果になったということは、安倍首相は自分が可愛がっている大臣を咎めるつもりはないらしい。
稲田防衛相はかつて産経新聞やそのオピニオン誌の正論に保守的な論文を出すなど、保守派の論客としてブイブイ言わせていた。そこらへんが安倍首相に気に入られたのだろう。
保守派論客としてはいいとしても、正直、政治家として適正なのかは疑わしいところがある。論文では意気揚々としていても、国会答弁ではシドロモドロになるなど弁護士らしからぬ答弁を繰り返し、挙げ句の果てには涙目になる始末。
そんなヤツは政治家には向いていない。政治家たるもの、ハッタリをかましてウソでも堂々とつくタイプか、菅官房長官のように付け入る隙をあまり与えないような淡々とした口調で応えられるようなタイプでないといけない。
ちょっと責められればうろたえ、選挙の応援に行けば余計なことを口にしてしまう。しかもちょっとした舌禍では済まされないようなことをしれっと喋ってしまう。
稲田防衛相は「将来の女性総理大臣候補」などと目されていたこともあったが、総理大臣など到底務まらないことがよく分かった。
しかしそんな稲田氏でも、安倍首相は自分が政界に連れてきたという自負があり、自身の保守的思想に近い思想の持ち主だからお気に入りなのだろう。
しかし、保守だったらなんでもいいというわけではない。森友学園の籠池泰典のように上っ面で保守をやっていた詐欺師がいて、それに安倍サン夫婦がコロリと騙されたことを本人は忘れてしまったのか。
自分の秘蔵っ子かなにか知らないが、政治家としての資質に欠けるのだから、もうそろそろ三行半を突きつける時期に来ている。任命責任とやらがあるので、そう簡単にはいかないのだろうが、贔屓にしている議員を露骨に庇うのはよくない。当選4回の稲田サンが防衛大臣になったのも、単に安倍首相に贔屓されていたからだろう。反安倍側について干された野田聖子とエライ違いだ。
こういう贔屓は有権者に見透かされる。有権者は思想の良し悪しより、ちゃんとしてそうな政治家を選びたいわけで、少なくとも今の稲田防衛相はちゃんとしている政治家ではない。
自民党が躍起になっている東京都議会選など、地方民の私にとってみればどうでもいい話で、このまま安倍政権で憲法改正まで漕ぎ着けられるかの方がよほど気になる。
昔からお友だち人事とか論功行賞の内閣はダメだと言われていたが、第2次安倍内閣発足後、5年経ってそれが如実に出てきたような気がする。こんなことやご本人の加計学園問題などが度々起こるなか、安倍政権はこれからもしばらく続けられるのだろうか。
安倍首相は稲田サンがお気に入りなのかも知れないが、彼女には前のようにクールジャパン戦略担当とか、どうでもいい特命担当大臣でもやらせておいたままにすればよかった。政治家の資質に欠ける人に防衛大臣という要職を任せるから問題を起こすのであって、どうでもいい大臣なら選挙の応援で自衛隊が云々とは言わなかったに違いない。