麻生太郎副総理が29日(火)に行われた自民党麻生派の研修会で「政治家になる動機は問わない。政治は結果が大事だ。何百万人も殺したヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメなんだ」という発言をして問題になった。
「動機が正しくても結果がよくなかったらダメ」という趣旨の例えに、ユダヤ人を虐殺したヒトラーを当てはめてしまうと「ヒトラーの動機は正しい」と受け取ることもできる。それを言うなら、「結果的に何百万人も殺したら、ヒトラーが政治家になった動機が仮に正しかったとしてもダメなんだ」と正確に言うべきだったのかもしれない。
ヒトラーの政界進出の動機をWikipediaで調べてみると、「ドイツが第一次大戦の敗戦によって莫大な賠償金を背負わされ、国内産業の衰退と膨大な失業者に打つ手がない現状の政治を打破するため」だとある。彼が政治家になった動機はドイツの復興であった。
ヒトラーが政治家になった動機は正しいものに思える。そして結果は、ドイツの敗戦、ユダヤ人の虐殺など悪いものだった。だとすると、「いい動機と悪い結果」の政治家であり、よくよくこれを考えてみると麻生サンの発言は間違いではないように思える。
しかし、30日(水)には「ヒトラーは動機においても誤っていた」として発言を撤回してしまった。どこらへんの動機が誤っていたのだろうか。
調べてみると発言のどこらへんが問題なのかよく分からなくなったが、ともかく、批判する目的以外でヒトラーを話に持ち出すと絶対にヘンに受け止められ、バッシングされることになる。
麻生副総理は2013年にも憲法改正について「ワイマール憲法が誰にも気付かれずいつの間にかナチス憲法に変わっていた。その手口を学んだらどうか」と発言し、ユダヤ人の人権団体から抗議を受け、ドイツの新聞に「日本の副首相がナチスの戦術を称賛」などと書かれた。
ナチスとかヒトラーとか例に出さなけりゃいいのに、麻生副総理の口からポンポン飛び出す。これでは学習能力ゼロだと思われても仕方がない。
この麻生発言に関して、社民党の又市征治幹事長が麻生副総理に議員辞職を求めたそうだ。社民党の又市幹事長は、10年前に週刊新潮に議員宿舎に愛人を連れ込んでいたと報道され、裁判に訴えてみたものの、訴訟を取り下げた御仁である。そんな小物に「辞めろ」などと言われ、麻生サンはさぞ屈辱だろう。
ただ、この程度の舌禍事件で議員辞職していたら、国会には誰もいなくなってしまう。
政治家というのは、よほど慎重な性格でない限り舌禍事件を起こしてしまう。政治家にはおしゃべりが多く、リップサービスで面白おかしく話そうとしたり、大して考えずに脊髄反射のような形で発言してしまうからだろう。それに加えて、何人かは元々バカだからという理由もある。
先の東京都議選で、都民ファーストの会の候補者が大量当選した。多くが政治経験皆無のド素人で、いかにも脇が甘そうなヤツばかりだ。小池百合子知事の脳裏に巡ったのは、小泉チルドレンとして当選した多くのバカ議員のことだろう。杉村太蔵みたいな連中だ。海千山千の記者の誘導尋問で、いくらでも余計なことを話してしまいそうである。
だから都民ファーストの会は所属議員に対して、ツイッターやブログなどSNSで発信する情報を制限し、個人でのマスコミ対応も禁じた。都民ファーストの会は開かれているふりをしていたが、実際はとてつもない言論弾圧政党である。いかにもアホそうな議員が揃ったから、ボロが出ないようにやったわけだが、党の検閲を受けないと個人の意見も発せられない政党にいて、都議会議員としてなにができるのだろうか。
事実、豊洲市場と築地市場をめぐる都議会での小池百合子の答弁に対し、都民ファーストの会の議員がこぞって拍手を送っていた。まるで習近平の演説に対して拍手を送る全人代の議員のようだった。
都民ファーストの会の議員たちは、個人の意見を発することもできず、議会では上からの命令で拍手をするだけのマシンになってしまった。これならばどんなアホでも失敗せず、どんなアホでも仕事をこなすことができるわけだ。
つまらん連中である。
そんな都民ファーストの会が国政進出を視野に入れているそうだが、とんでもない話である。
ヒトラーやナチスの発言をもって自民党を「あぶない政党」として叩くマスコミが多いが、どう考えても都民ファーストの会の方がヤバそうではないか。所属議員は小池百合子や会の代表に従うだけのロボットだ。政党を引っ張る人が狂ったら、全員が狂ってしまう。
こんな政党になにが期待できるのかと思うが、それでも東京都民の支持はあるらしい。政党もあぶないが、有権者も相当あぶないようだ。