先っちょマンブログ

2018年05月

20180531-1

総務省のホームページに選挙について説明しているページがあり、そこに「総選挙とは、衆議院議員の全員を選ぶために行われる選挙のことです」との説明がある。

【総務省】なるほど!選挙 - 選挙の種類

これまで特に意識したことがなかったのだが、なんとなく「総選挙=衆議院議員選挙」だと思っていた。改めて言われてみれば、衆議院は議員全員を選挙で選び直すので総選挙であり、参議院は議員の半分しか選び直さないので総選挙ではないことが分かる。

この「総選挙」という言葉についてGoogleで検索すると、上位の検索結果がAKB48グループの選抜総選挙に関するものばかりになる。今年もAKBの選抜総選挙が現在開催中で、そのニュースも上位に検索結果の表示される。

私はAKBなど日本のアイドルには疎いのでよく知らなかったので「選抜総選挙」について調べてみた。「選抜総選挙」の直近にリリースされるシングル曲を歌うメンバーを人気投票で決めるイベントであるらしい。上位メンバーが選出され、1位になったメンバーはセンターポジションが与えられる。上位メンバーになれば歌番組にも出演することになって露出が増える。ファンはお気に入りのメンバーを上位にするべく投票をする。

これのどこらへんが「総選挙」なのだろう。現代の選挙のイメージとはずいぶんとかけ離れていて、もっとも重要なはずの平等選挙の原則が欠けている。
平等選挙では選挙人はひとり1票だけ投票権を持っていて、仮に複数票投票できたとしても、1票あたりの価値が平等でなければならない。納税額が多いカネ持ちだからとか、貴族だからたくさん投票できるのならば、それは平等選挙ではない。

AKBの「総選挙」はCDを買えばそのなかにシリアル番号が書かれた投票券が入っているわけで、カネさえ出せば出した分だけ票が与えられるのだから、選挙でもなんでもない。
ただの投票券付きCD売り上げランキングであり、キャバクラやホストクラブでキャバ嬢やホストの売り上げによって店でのランキングが上下するとのまったく同じだ。キャバクラやホストの売り上げランキングは誰も総選挙とは言わないのに、秋元康ら運営側が語呂がいいので「総選挙」だと主張して「総選挙」として定着してしまった。

AKBのアホなイベントにいちいちツッコんでも仕方がないのだが、いい加減「総選挙」から「人気投票」などに名称を変えてもらいたい。メンバーのなかの人気者が1位になるわけではなく、ファンがどれだけ投票したかによるので、実際は「人気投票」でもないのだが。

今年はそのAKBの「選抜総選挙」が「世界選抜総選挙」と銘打たれ、タイのBNK48、最近発足した台湾のTPE48のメンバーらも立候補できるようになった。海外グループでもっとも歴史があるインドネシアのJKT48は、結果発表日がイスラム教のラマダン明けの長期休暇のレバランと重なるため、宗教的な理由でメンバー全員が立候補を辞退した。
以前にBNK48がタイで大ブレークしているとのエントリを書いていたこともあって、BNK48はどうなったのかと思って調べたら、いろいろ驚くことがあった。

まず、昨日5月30日(水)に発売されたAKB48のシングルに投票券が付いて、CD発売日に誰が何票集めたかの速報が公表されるのだが、それでBNK48のメンバーふたりが発表圏内に入った。
ミュージックというBNK48のシングル3曲のうち2曲でセンターを務めたメンバーが3493票を集めて120位。BNK48のリーダーで、タイ国内でもっとも人気があるメンバーのチャープランが4315票を集めて101位だった。ちなみに、1位は新潟のNGT48の荻野由佳で59531票を集めた。

まあそんなもんかと思った。毎年100位までしか発表しないのに今年は120位まで発表したのは、「世界選抜」と銘打ったのに外国人メンバーがひとりもいないというお寒い事態は避けたかったのかも知れない。
BNK48のメンバーは、立候補でのアピールコメントのYouTube再生回数がAKB本体のメンバーより圧倒的に多かったのだが、タイ人が見ていただけなので投票には結びつかなかった。

驚いたのはここではない。BNK48のメンバーに投票したタイ人の実態を知って驚いた。タイでもBNK48のシングル曲がCDで発売されたばかりなので、それに投票券が入っているのかと思っていたが、外国で発売するAKBグループのCDには投票券が入っていないのだという。
BNK48のメンバーは少ない日本人ファンからいくらか票は集めたが、大部分はタイ人ファンからの票だ。タイ人のファン代表がファン仲間からカネを集めて来日し、CDを購入できる5月29日に何千枚も買って手動で投票したのだという。あるいは、タイの業者が日本にCDを買い付けに来て、なかに入っている投票券だけをタイ人に販売、それとは別に握手券もタイ人に販売する商売もあるという。

いずれにしても、タイ人に日本のCDを買わせているわけで、ずいぶんとアコギな商売をしているではないか。投票するファンも好き好んでやっているわけだが、それでもタイの物価を考えれば日本の1枚1600円は高すぎる。タイの平均月収は10万円ほどで、コンビニの時給は150円にも満たない。

タイのファンは推しメンをランキングで上位にするより、自分がグッズをもっと集めたいという実利主義が多いようなので、「世界選抜総選挙」なるアホなイベントに踊らされているのが多くないのだが、それでも発売初日に何千枚もタイ人にCDを購入させた。とあるファンは5000枚購入したという。

これのなにが「世界選抜総選挙」なのか。よその国のAKBグループのメンバーが立候補できるというだけで、その国のファンには実質的に投票権がない。投票したいのなら、日本に来て日本のCDを買うか、自国で日本のCDを輸入するか。CDを買って投票券を手に入れたとしても、日本語の説明しかない。グローバル化を謳ったアンチグローバルである。
インドネシアのレバランを考慮しない日程を組んだことも含め、AKB48グループの運営は海外に対するなんの配慮もなく、結局は単なるカネヅルくらいにしか思っていないのかも知れない。

芸能サイトのネット記事だとBNK48のチャープランまたはミュージックの選抜メンバー入りもあるかもと書かれているものがあったが、多分それはないだろう。せいぜい1~2万票集めておしまい。ほかに立候補しているメンバーも100位圏外に埋もれておしまい。これほどムダなカネの使い方があるだろうか。
日本人のファンをカネを使っているわけだが、こんなイベントにカネを使わせてしまってタイ人に申し訳なく思ってしまう。ファンを競わせてカネの巻き上げるこのシステムを考えた胴元の秋元康は集金マシンとして天才かも知れないが、海外にもこの恥ずべきシステムを輸出し、外国人からもカネを巻き上げる銭ゲバぶりに辟易してしまう。

正直なところ、AKB商法がタイで問題になって国際問題に発展すればいいと思う。
こんなバカげた「総選挙」をそのまま海外にも展開して、外国人からカネを巻き上げているのは日本の恥でしかない。

20180530-1

私は日本のドラマや映画はあまり見ず、もっぱらアメリカのドラマや映画ばかり見ている。そのなかで特に好きなジャンルが法廷モノだ。弁護士や検察の駆け引きが面白いし、最後にどんでん返しも期待できる。

法廷ドラマで証人が証言しているとき、弁護士が「伝聞証拠です」と異議を唱えて裁判官に認められるシーンがよく出てくる。アメリカや日本など普通の国の刑事裁判では「伝聞証拠禁止の原則」があり、アメリカでは民事訴訟でもその原則がある。
証人が「誰それが何々しているのを聞いた」と証言したところで、それが事実であるか分からない。目撃者が証人であるならば、事実誤認はなかったかの尋問が証人である本人にできるが、伝聞の場合はそれができない。
供述内容について弁護士に記憶違いを突きつけられた証人がドギマギするシーンはよくあるが、人から聞いた話が証拠になるならば、それについて尋問されても「そう聞いたから」で終わってしまう。これでは証言が疑わしいのか疑わしくないのかすら分からない。

日本では刑事訴訟法320条にその「伝聞証拠禁止の原則」が定められているが、伝聞証拠を完全に排除してしまうと証言するべき人間がいなくなったとか死んだとかした場合に困るので、一定の証拠能力がある書面、例えば検察官による調書や被告人の供述調書は第三者が書面に落とした伝聞ではあるが「本人が供述していた」などとして証拠として認められるよう321条や322条で補足されている。

普通に考えればこれらは当然のことだろう。例えば自分が恋人から見に覚えのない浮気の疑いをかけられ、「私の友人があなたが女性とラブホテルに入っていくのを見た」と問い詰められたとしよう。
恋人の友人なら、自分を誰かと見間違ったのかも知れない。恋人本人が目撃したのなら人違いである可能性はなさそうだが、誰かがそんなことを言っていたと問い詰められても「自分じゃない」としか言うことができない。

この世の中の事象は、数学の世界でもないかぎり否定の証明はできない。例外はアリバイで、その日のその時間に別の場所にいたとか誰かと会っていたと証明できれば、「誰それと会っていなかった」と主張することができるが、世の中そううまくはいかない。

これと似たようなことが、安倍首相と加計学園の理事長が2015年2月25日に会ったとかいう愛媛県文書の問題なのではないかと思う。
愛媛県の職員が加計学園の関係者から「2月25日に理事長と安倍首相が面会して獣医学部開設について説明した」という旨の説明を受け、そのメモを県の文書として残したというものだ。

前回のメモ騒動と同じで愛媛県の職員がでっち上げたとは思わないが、愛媛県の文書がさも真実であるかのように野党がギャーギャー喚き立て、ついでに愛媛県知事も怒っているのはなんなのかと思ってしまう。
安倍首相は加計学園の獣医学部開設について、正式決定するまで知らなかったと発言している。それが本当かどうか知らないが、愛媛県文書にあるように事前に加計学園の理事長から説明を受けていたのであれば虚偽になってしまう。
野党はそこらへんを追求したいのだろうが、政府が「伝聞の伝聞」としているとおり、いかんせん愛媛県文書は伝聞証拠でしかない。加計学園関係者が「理事長と安倍首相が面会した」と実際に話していたとして、それ自体が伝聞であるし、それを聞いた愛媛県職員が起こした書面も証言も伝聞だ。
そんなもんは証拠にはならないから、追求する野党は安倍首相が加計学園の理事長と会っていたという証拠を出せばいいのに、それができないから「会っていない証拠を出せ」などと宣う。フセインがブッシュに「大量破壊兵器がない証拠を出せ」と因縁つけられてボコボコにされたのと似たような状況で、安倍首相は否定の証明を求められている。

実際どうなのかは知らない。安倍首相は加計学園理事長と懇意にしており、獣医学部について本当にまったく知らなかったとは思えないが、圧力をかけて加計学園に利益誘導したとも思えない。森友問題の財務省文書書き換えでも首相や官邸の圧力が疑われたが、そんなことをすればすぐに噂が広まってしまう。
ただ、安倍首相が「一点の曇りもない」などと否定してしまったから、こんなことになってしまったように感じてならない。本当に会ってもいないし、獣医学部についてもなにも聞いていないのかも知れないが、完全否定してしまうと逆に疑わしく見えてしまうものだ。

今回の件でも、加計学園が「職員の話は間違い」と事後で言い出したから余計に疑わしく思えてしまう。「伝聞の伝聞は、元々の話自体が間違いだった」と言われても、あとから取って付けたような言い訳にしか見えない。

森友問題も加計学園問題も、なにが本当でなにがウソなのか分からなくなってしまっているが、責められる一方で疑いを晴らせない安倍首相の支持率が下げ止まっている。
加計学園の問題は少し前まで「安倍政権の命取りになる」と言われていて、「総裁選3選は不可能」と断言されていた。このままでは支持率が下がる一方だと見込まれていたからだ。
ところが、安倍政権の内閣支持率は常に3割以上維持されていて、これだけグダグタやっていてもこれ以上は下がらないように見える。「3割を割ると政権維持の危険水域」とされているが、そうはならない。

これにはいろんな見方があって、なにがあっても安倍首相を支持する保守層が相当数いること、パフォーマンスに終始する野党が辟易されるなど安倍首相の代わりが与野党に見当たらないこと、内閣支持率を下げてやろうと露骨にネガティブキャンペーンを開くマスコミの意図が国民に見透かされていることなどが挙げられている。
どれも当たりだろう。
盲目的に安倍首相を支持する保守層以外に、一定の成果を出している安倍首相の外交や経済政策を支持している人もいるだろう。参考人招致や証人喚問を要求するしか能がなく、呼んだとしてもなんの結果も残せない野党を見ていれば、安倍政権の方がまともに見えてしまう。

それ以外に、個人的には森友問題や加計学園問題にもう飽きたというのもあると思う。安倍首相が強権発動のトップダウンで小学校や獣医学部を作らせたとも思えず、重箱の隅をつつくようなことを延々繰り返すことになんの意味があるのかと思えてならない。
日大のアメフト部の問題と同じで、繰り返しニュースとして見せられて食傷気味である。

森友問題や加計学園問題が一歩も進まないのは安倍首相のせいなのか。それともそれを追求する野党やマスコミのせいなのか。
これのせいで、野党がもっと追求すべき働き方改革法案は満足に審議されず、今もっとも重要だと思われる北朝鮮問題も置き去り状態だ。

野党も反安倍のマスコミも、能力不足でこれ以上内閣支持率を下げることができないのだから、どうしても安倍首相を引きずり下ろしたいのなら別の方法を検討してそちらに取りかかる方が得策ではないのか。
何度失敗してもいつまでも同じ方法に固執するのは、それしか責める手段を知らないからだろう。まさにバカのひとつ覚えである。

20180529-1

エマ・ワトソンが主演した映画「美女と野獣」を劇場で見たとき、なんともいえない違和感を感じた。18世紀のフランスが舞台なのだが、城で開かれた貴族の舞踏会に黒人の貴族が参加していて優雅に踊っていたからだ。映画を見た人全員が感じたことではないだろうか。

近頃の映画は「多様性を持たせる」とかいう理由でキャストに黒人やらアジア人が強引に加えられる。「美女と野獣」の登場人物が全員白人だったとしてもホワイトウォッシュだとは思わないが、ディズニーは黒人を出さずにはいられなかった。黒人が奴隷や召使いとして出てくるのなら分かるが、いるはずのない黒人貴族がダンスを踊っているのはどう考えてもおかしい。

フランスの話なのに登場人物全員が英語を話しているのもおかしいわけだが、そこらへんの言語に関する違和感とビジュアルに関する違和感では感じ方が大きく異なる。
あの時代の欧州であり得ない黒人貴族が映画に出てくると、急に現実感が薄れ、「アバター」のような地球以外の惑星の話なのではないかとも思えてしまう。

映画会社は多様性とやらを好む。白人ばかりに偏らないキャスティングをするといった多様性は結構だが、観客が違和感を感じるような設定にすべきではない。おとぎ話に史実もクソもないが、それでも歴史的背景を無視していいとは思えない。
必要もないのにその他大勢の貴族に黒人を加えるキャスティングをすると、いろんな方面への忖度やら配慮が働いた結果という映画界の事情が見えてしまって興醒めしてしまう。

こういう話はハリウッドの映画やらドラマだけだと思っていたが、最近はアメリカのゲーム会社が作るゲームでも行われているらしい。

新作ゲームは数か月前からYouTubeなどにトレイラー(予告編)の動画がアップされる。ゲーマーたちはそれを見てプレイ前からゲームを評価する。
日本のトレイラー動画はコメント禁止になっていることが多い。日本人は褒めることはあまりせず、文句ばかり書き込まれるから日本人向けの動画はコメント禁止が基本だ。欧米向けの動画はコメント可になっていて、否定意見もあるが肯定的な評価のコメントも多い。

アメリカのゲーム会社EAが手がける人気FPS(一人称視点シューティング)シリーズの「バトルフィールド」はファンが多く、いつもトレイラーから期待されているのだが、秋に発売する第二次世界大戦を舞台にした「バトルフィールド5」は否定的なコメントが多く書かれることになった。
理由は以下のトレイラーを見れば分かる。



動画に出てくる4人分隊のメンバーのひとりが鉤手の女性だ。これが本当に評判が悪い。「バトルフィールド」シリーズは男臭い兵士が戦場で熾烈な戦いを繰り広げるのだが、その戦場に女性兵士が割り込んで来る。しかも片腕が義手である。こんな兵士が第二次大戦の戦場にいるわけがない。
実際には第二次大戦では婦人部隊というのがあったが、基本的に女性兵士は後方支援の部隊所属で、ロシアでは女性スナイパーがいたそうだが例外的だ。片腕が義手の女性兵士が最前線で突撃兵みたいなことはやっていない。

トレイラーはイギリス軍対ドイツ軍の戦いで、女性兵士はイギリス軍に所属する。イギリス軍だけに、仲間を助けるときにドイツ兵をクリケットのバットで殴り殺すのだろう。しかし実際は第二次大戦中にイギリス軍には前線で戦った女性兵士はいなかった。
こんなことをして強引に多様性を持たせた「バトルフィールド5」に批判が殺到し、「バトルフィールド:フェミニズム」にタイトルを変更しろと言われるなどコメント欄が炎上中だ。

しかも間が悪いことに、キャメロン元首相が進めていたイギリス軍の多様化政策を受けてイギリス陸軍の歩兵部隊に配属された新人女性兵士が、18週間の訓練に耐えられずに2週間で辞退してしまうというニュースもあった。
世界では10か国ほどで女性兵士の白兵戦参加を認めている国があるそうだが、女性兵士が前線での任務に向いていないことは誰でも分かる。

多様性という言葉に踊らされ、過去にありもしない黒人貴族や女性兵士を生み出されるのが現代社会だ。多様性のある社会を実現するという理念のため、「まずは空想の世界から変えてしまえ」という考えがあるのだろうか。
映画やゲームの世界観をぶち壊してでも多様性がゴリ押しされるのだから、多様性のためならなんでもありの世の中になってしまっている。

そのうち映画やゲームの世界だけでなく、多様性原理主義者が現実社会でも暴れることになるに違いない。

20180524-1

韓国を心の底から嫌いな日本人はスマホでLINEを使わないという信念を持っているらしい。LINEは韓国企業のNAVERの日本法人が開発したもので、大体が日本人の手によって作られたわけだが、それでも韓国企業のアプリだから気に入らないわけだ。アプリで情報が抜かれるとか言われていて、韓国に個人情報が流れるとも言われている。

気持ちは分かる。ただ、日本製の代替製品がいくらでもあるテレビやら白物家電でLGなどをわざわざ買う必要はないと思うが、LINEの普及度と便利さを考えれば使わないほかないように思える。使わないという縛りプレイをしても得なことはあまりない。

私も元々LINEは使っていなかった。だが、毎日嫁さんに何時に帰ると伝えるために送っていたSMSで遅延や未達が多すぎたので、LINEを使ってみた。すると便利すぎてやめられなくなった。
メッセージはさっと相手に届くし、写真やら動画もすぐ送れる。なにより、音声通話やビデオ通話がデータ通信料だけで可能だ。似たような代替アプリは多くあるし、嫁さんとしか連絡を取り合わないのでLINEでなくてもいいのだが、嫁さんがLINEを使っているので私もそれに合わせた方がいい。

その昔、遠距離恋愛だった嫁さんと結婚する前は、毎日電話で話をするわけにはいかないから夜11時にテレホーダイでネット接続し、ICQというソフトで音声チャットしていた。それだけでもずいぶん助かったが、そこから20年弱経った今では電話代不要で通話ができ、写真や動画のやりとりもできる。
なんと便利な世の中になったのか。

メッセージを送ったり無料で通話ができるLINEはなにかと便利だが、一番役に立つのが海外にいるときだ。昔は海外から日本に連絡を付けようと思ったらカネばかりかかる国際電話が必要だったが、LINEなら国内だろうが国外だろうがネット接続されていれば互いの居場所は関係ない。海外でモバイル環境がなかったとしても、ホテルのWi-Fiなどから使える
嫁さんが台湾旅行に行ったとき、CDやら帆布カバンを買ってくるよう頼み、店でビデオ通話しながらアレコレ指示して買ってもらうことができた。嫁さんからどんなご飯を食ったとか、どこに行ったとかの写真も送られてくる。私が出張で海外に行ったときも同様だ。夜ホテルで寝る前に通話もできる。
夫婦で海外に行ったときでも、いつでも連絡が取れるので別行動も可能だ。

今回の長めの海外出張でもLINEが活躍していたわけだが、実は出張3日目にめちゃくちゃ焦るトラブルがあった。
出張に来てからアップデートしたLINEが調子悪くなり、嫁さんからメッセージが届いたときにLINEを開こうとすると「再起動を繰り返しています」という表示が出て立ち上がらなくなったのだ。
スマホを再起動すれば一時的にLINEが起動するのだが、すぐにまた「再起動を繰り返しています」が出て起動できなくなってしまう。

アップデートが原因だと思ったのだが、とりあえずはAndroidの設定→アプリ→LINEでLINEのデータをすべて削除してみた。こういうときはアプリの再インストールかデータ削除で元に戻ることが多い。

なにも考えずに実行してみたのだが、あとでとんでもない失敗をしたことに気がついて目の前が真っ暗になった。
データ削除によって、LINEのアカウント情報まで削除されてしまったのだ。メッセージの履歴などだけ消えるのかと思ったのだが、全部消えてインストール直後の状態になってしまった。
アカウントを復帰させるには、スマホの機種変更時のようにSIMから電話番号の情報で認証する必要があるのだが、韓国で使用している香港SIMは元々使っているものではないのでそれができない。日本で使っているMineoのSIMを挿してもデータ通信ができないので認証ができない。

元々使っていたアカウントはとりあえず諦めて、アカウントを新規で作ればいいではないかと思ったのだが、データ通信専用のSIMだったので電話番号なくSMSも受信できず、LINEのアカウントが作れない。
嫁さんと連絡が取れなくなると絶望的な気分になったのだが、LINEはFacebookのアカウントからアカウントの作成ができる。Facebookと連携させることでLINEアカウントを作れ、そのアカウントの友だち追加のためのQRコードをスクリーンショットで取り、嫁さんにメールで送ることでFacebookアカウントと嫁さんのアカウントと友だち状態にすることができた。

元のアカウントをFacebookと連携していれば携帯番号による認証ができなくても元のアカウントに戻せたが、そんなことは知らないしやっていなかった。もしFacebookアカウントでLINEアカウントが作れなかったら、出張3日目から2週間嫁さんと満足に連絡を取ることができなくなるところだった。
スマホには一応LaLa Callという有料IP電話アプリが入っていて、自宅のIP電話とは無料で通話は可能なのだが、IP電話とLINEでは使い勝手が違いすぎる。

今回のこの出張での自滅トラブルで、便利だとはいってもLINE一辺倒になるのはよくないと感じた。日本国内ならどうでもいいが、海外に行ってしまったときにLINEに問題が出ると連絡手段が失われてしまうことになる。WhatsAppなどLINE代替アプリを入れておくなどしておく必要があると強く感じた。単にFacebook連携だけでもいいのかも知れないが、別の手段を用意しておく方が確実に思える。
なにごとにも万一のトラブルに備える必要があることを学んだ。

20180527-1

16泊17日もした韓国出張から帰ってきたわけだが、トラブルが再発したせいでまた行かねばならない可能性が出てきた。海外出張は嫌いではないのだが、いつ帰れるか分からない出張で韓国に行くのはゴメン被りたい。台湾なら平気だが、韓国は悪いところが多すぎる。

台湾と韓国は地方都市の雰囲気がパッと見はなんとなく似ているのだが、実際は似て非なるものである。昔は韓国旅行に行く日本人が多かったが、今では台湾が日本人観光客にもっとも好まれ、もっとも行きやすい観光先になった。旅行先や出張先として台湾と韓国を比較してみよう。

ホテル

韓国にはソウルを除いてビジネスホテルがほとんどない。1泊1万5千円から2万円程度するシティホテルか、1泊5千円程度のラブホテル兼用のモーテルしかない。ホテルと銘打たれているものの、仕事で利用する客とカップルが入り乱れている。ビジネス利用の客のフロアとセックス目的のカップルのフロアが別になるようになっているが、たまに同じフロアにカップルが泊まると夜中に喘ぎ声を聞かされることになる。
ラブホ兼用のモーテルであるが、サービスがあまりよくなく、キレイでもない。洗濯サービスなどないところがほとんどだから、長期出張だと自分でコインランドリーで洗濯せねばならない。掃除もあまりちゃんとされないし、モーテルによってはベッドのシーツを替えないこともある。ユニットバスは当然で、シャワーしかないところが多く、シャワーを浴びると床がビショビショになるので、そのあとにトイレを使うためにサンダルが置いてある。この底辺のサービスに5千円も取られるわけだ。

台湾は地方でも1泊7千円程度のビジネスホテルが多くあり、フロントにホテルマンが2~3人いて、日本人が多く利用するホテルには日本語が話せるホテルマンもいる。有料の洗濯サービスがあり、なくても洗濯機や乾燥機が備え付けられている。
宿泊環境はどう考えても台湾が100対0で勝ち。

道路

先日のエントリで韓国の繁華街の道路がいかに汚いかを紹介した。飲食店やコンビニの前はゴミだらけで、店員が掃除もしない。週に1度か2度、公共の掃除が入ったときだけゴミがなくなるが、半日でゴミだらけに。定期清掃が入るまでゴミは貯まる一方だ。
そのうえ、そこらじゅう路上駐車ばかり。道路の左右両方が路上駐車で埋まっている。
台湾の道もキレイではないが、夜市や繁華街でも韓国ほどゴミだらけではない。雲泥の差がある。路上駐車も韓国に比べれば少ない。

韓国も台湾も歩行者が優先されずに車がビュンビュン進むのが当たり前になっているのだが、交差点が危ないのは韓国だ。韓国も台湾も右側通行だが、台湾では随分前に禁止された赤信号時の右折が韓国では可能だ。言っている意味がわからないかも知れないが、進行方向の信号が赤でも韓国では右折できる。
にわかには信じがたいが、このルールがあるせいで車がどんどん右折してくるから、歩行者用信号が青で横断歩道を渡っているときにボサッとしていると右折してくる車に轢かれることになる。
さらに、韓国ではまあまあ交通量があるのに信号がない交差点があって、歩行者がそこを横断するのはまさに命懸け。そのうち慣れてくるが、慣れてきた頃に事故に遭いそうで本当に怖い。
台湾の道路も危険だが、より危険なのは韓国だ。韓国の道路はゴミだらけ、路上駐車だらけなので台湾の勝ち。

食事

韓国の外食は基本的に複数人で食べるものばかりだ。鍋や焼肉のようなばかりで、ひとりで行くような飲食店はほとんどない。ひとりで行っても断られることが多い。外食費用は日本ほど高くないが、それでも1回1500円から2000円くらいかかるので旅行ならともかく、出張で行ったら毎日みなでつつく鍋みたいなもんを食って、2000円くらいの出費になるのだからたまらない。
ひとりでも入れる韓国海苔巻きを出すような定食屋もあるが、数が少ない。
また、韓国の食事は量が多い。毎回の食事で腹いっぱいになる。「今日は少しだけにしよう」というのが難しい。
さらに、どの食事も似たような味ばかりで、毎日キムチ的な味の食事を食うことになってウンザリさせられる。

それに引き換え台湾は食の天国だ。韓国料理もまずくはないが、辛いものが多いし、似たようなものばかり。台湾料理、中華料理はあっさりからこってりまで様々だ。台湾はひとりで入れる定食屋が多く、複数人でも個人個人で別のものをオーダーして、割り勘する場合は自分が食った分だけ出せばいい。魯肉飯や鶏肉飯は1杯120円程度で小さめの茶碗で出てくるので、晩飯がちょっとでいいときにそれだけ食うのも可能だ。夜市で適当に済ませるのもいい。台湾の食に飽きたらそこらじゅうにある日本のレストランチェーンに行けばいい。
とにかく食に関する選択肢が圧倒的に多彩な台湾の勝ち。

サービス


韓国のコンビニに行くと、店員がレジで椅子に座ってスマホを眺めている。大体が動画を見ているか、ゲームをしている。随分ふざけたアルバイトだと思うわけだが、それはコンビニ店員だけではない。百貨店のショップ店員も暇なときにスマホを見ているし、仁川国際空港の免税店の店員や薬局の店員もスマホを眺めていた。日本ではまずあり得ない店員だ。
台湾でもコンビニ店員が椅子に座ってスマホを眺めているということなどない。雑居ビルの個人商店の店番が店のなかで飯を食っていることはよくあるが、仕事をしながらスマホをいじるようなことはない。
店員のこんなふざけた対応を許している韓国社会が0点である。

タクシー

これまで韓国が台湾にボロ負けだったが、唯一韓国が勝っていると思われるのがタクシーだ。韓国のタクシーは初乗りが280円程度で、10円くらいずつ上がっていく。日本に比べて非常に安い。そのうえ、韓国のタクシーは現代自動車のソナタというセダンが多く、わりと高級感がある。

台湾のタクシーは台北市内が初乗り70元(250円)、台北以外は100元(360円)で韓国より少し高い程度。台湾のタクシーはトヨタのカローラ(セダン)、ウィッシュ(ミニバン)が多く、セダンタイプのタクシーは古いのが多い。台湾の古いタクシーには座席の蒸れ防止のため、木の玉を繋いだ座り心地のよくないシートカバーがかけてあり、タバコ臭いのも多い。
台湾のタクシーはボッタクリは少ないが、観光客相手だと少し遠回りする運転手がごく稀にいる。韓国では地方都市ならば外国人慣れしていないのでボッタクリはないのだが、ソウルや仁川あたりではボッタクリが多い。
ソウルでボッタクリにさえ会わなければ韓国の勝ち。

国民性

韓国人のなかには日本人が嫌韓であることを心配しながら日本に観光に来るのがいるらしい。反日デモや慰安婦像をめぐる騒動などを目の当たりにした日本人が韓国に行くのも少しは戸惑いもあろう。
反日デモで盛り上がった中国では、日本人だからという理由で通りがかりの日本人に熱いラーメンの汁をぶっかけたキチガイがいた。日本でそういう手合はいないように、韓国にもあまりいない。こちらが日本人だと分かっても特になにもない。当たり前の話だが。
よく喋るタクシー運転手がどうやらどこから来たのかと聞いているらしいので、「イルボン(日本)」と答えると、「おー」とか言って知っている日本語で「アリガトウゴザイマス」とか言うのが何人かいた。
わりとフレンドリーだったりするが、韓国人は英語がほとんど話せない。タクシー運転手に簡単な英語で話してもまったく通じず、飲食店の店員もまったくダメ。こちらが外国人だと分かっているのに、韓国語でベラベラ話し続け、英語で伝えてみようという気もない。

それに対し、台湾は親日家が多いことで知られているし、案内表示などを長いこと見ていたり地図を広げている人に手伝えることはないかとよく声をかけてくるオバチャンが多い。日本統治時代を知る老人以外にも日本語を話せる人がかなりいて、中国語がダメでも英語がまあまあ通じる。話が聞き取れなかった台湾人に大きい声で「は?」と言われて萎縮してしまう日本人が多いが、これは中国語圏の人の特徴なので気にする必要はない。
韓国人が日本人に対して特別不親切だとは思わないが、日本人観光客への親切さでは台湾に劣るし、なにより会話が成立しやすいのが台湾だ。海外に慣れていない人はどう考えても台湾の方が観光に行くのに易しいだろう。

まとめ

台湾と韓国のどちらに行こうか迷っている人などいないかも知れないが、どちらかに観光で行くならどう考えても台湾しかない。人間に必要な衣食住のうち、衣は観光客にあまり関係ないとして、食と住が台湾の方が圧倒的に優れている。
そもそも、気持ちの面で反日を公言して憚らない韓国とそうでない台湾とでは比較にすらならない。韓国は台湾に行くより1時間短く済むだけ。韓流スターやらK-POPやらが好きであること以外、韓国に行くメリットが分からない。
近場の海外旅行なら食事と買いものが重要だが、韓国の食事は同じようなものばかりだし、韓国でしか買えないものはあまりない。お土産用の食品にしても、実は日本のドン・キホーテで韓国と同じ値段かそれより安くで売っていたりする。女子ならばソウルで服やら化粧品やらの買いものを楽しめるのかも知れないが、服をわざわざ海外で買う理由があるのかは男の私には分からない。

私は台湾好きであるわけだが、そのひいき目を差し引いたとしても絶対に台湾をオススメする。

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