先っちょマンブログ

2018年08月

20180831

少し前に嫁さんの生命保険を見直しを行った。死亡保障を極力減らし、一時金など入院保障を少し厚めにした終身医療保険にした。
生命保険のことはよく知らないが、いろいろ調べてみると死亡保障だけだと掛け金が非常に少なく、医療特約とかそこらへんに入ると途端に高くなる。
保険の見直しや相談を行う会社で見積もりをして、生命保険と医療保険を別々に入ろうかと思ったが、いざ病気になったり死んだりしたときに申請するのが邪魔くさそうなので、元から入っていた第一生命で契約を見直した。

もともと大してなにも考えずに10年以上保険に入っていたのだが、父親ががんで死んだことを受けて考え直した。私たち夫婦には子供がいないで、死亡保障なんて葬式代くらいで十分だ。200万円もあればいいだろう。その分、入院保障に回した方がいい。

私の父親は食道がんに罹り、放射線治療などのために一時期入院していた。父親は「相部屋なんかに泊まれるか」と言っていて、最終的にホスピスで死ぬまでずっと個室だった。
個室に入ると差額ベッド代が1日あたり7千円とか8千円になる。最近、がんでも長期に入院することはないが、それでも3か月とか6か月とかなると差額ベッド代だけで結構な額になる。
私の父親の場合、預貯金が結構あったし、医療保険が下りたので差額ベッド代はなんら問題がなかった。

母親は「県民共済はすぐにお金出してくれてよかったわ~」と言っていたが、県民共済はオススメらしい。プランも単純で、入院したときにさっさと出してくれる。
ほかの医療保険含めて、もしものために120日の入院までサポートできるようにした方がいいかも知れない。
前述したとおり、最近は病床不足でさっさと退院させられる可能性があるが、どうなるかなんか分からない。

父親の場合は終末医療でホスピスに入れたのもラッキーだった。いいホスピスは100人待ちとかざらで、半年待っても入れないことがある。その間に死んでしまう可能性もあるが、入れたら入れたでやはりこちらでもカネがかかる。
「地獄の沙汰もカネ次第」というが、どうやって死ぬかも運とカネ次第だ。

私の父親は入院費用だけでかなり使ったはずなのだが、誰でも死ぬときに入院費などを節約して死にたくなんかないだろう。だからカネがあるならカネを使って死んだらいい。
死に際に4人の相部屋になるなど御免被りたい。今際の際に他人のいびきやうめき声などでストレスを感じる生活を送るなんて誰もが嫌だろう。
そうなりたくなければ、貯金をして、ちゃんとした医療保険に入るしかない。

カネさえ出せば、死ぬときの環境はある程度整えられるわけだが、世の中の人すべてがそうではない。自分でカネを持っていればいいが、持っていない場合は我慢するしかない。親がカネを持っていないのなら、面倒を見る子は親に我慢してもらうほかなかろう。

世の中にはそういう人向けの病院がある。汚い病院のタコ部屋みたいな4人部屋、ときには8人部屋に入院させられ、死を待つことが目的になっている病院だ。入院する患者は不本意だろうし、そんな病院に入院させる家族も不本意だろうが、カネがないのだから仕方がない。

ニュースで注目されている岐阜市の「Y&M 藤掛第一病院」もそのひとつだろう。エアコンが壊れたのに部屋に扇風機を1台しか設置せず、熱中症とみられる症状で80代の入院患者が5人死んだ病院だ。
ここの院長はドケチで有名だったらしく、入院患者への対応にも問題があったとは思うが、死ぬのを待つ病院で年寄りが死ぬのが早まっただけのように思えてならない。
遺族の怒りの声があまり聞こえてこないのは、そういうことだからではないのか。

新聞は社説に「エアコンの修理に1か月かかるのであれば、なぜ修理が完了するまで周囲の病院に転院させられなかったのか」とキレイごとを書いている。年寄りのが死ぬために入る病院なのに、そんなことをするわけがない。そもそもの話として、周囲の病院に空き病床があったかも不明だ。
嫌なら本人が転院を申し出るか、家族がそうさせればよかった。だがそうはならなかった。家族が見舞いに来ていれば「こんな部屋に置いていかれない」と思ったかも知れないが、誰も見舞いに来ていないか、来ても思わなかったかのどちらかではないのか。
それに、患者側にしても入院する前に病院の設備や病室の様子を見れば、おおよそどういう病院なのか察しがつくだろうに。

なんとなく皆がそれを理解し、「熱中症で入院中の老人5人が亡くなりました」と聞いても「あぁ、そうなん」で終わるはずだが、一部の人々やマスコミはかなり怒っている。
殺人事件として捜査を始めた警察を含め、なんか偽善的な気がしてならない。
熱中症で死んだ老人にとっては堪ったもんじゃないだろうが、他人のことで怒るのは、世の中にそんな病院が山ほどあって、自分がそこに入院させられて同じように死んだら堪らないから義憤に駆られているのだろうか。それともただ単に本音と建前というやつか。

この病院は患者からカネをとってやってんだから、冷房のような最低限の設備環境は定期点検をするなりしてしっかりやれよと思うが、そこまでちゃんとしていられなかった。そういう病院だからであり、そんな病院だと分かっていても入院する患者がいるからである。
どれだけ騒ぎになったところで、需要と供給の問題だから、この手の病院が減ることはないだろう。

20180830-1

体操女子の宮川紗江選手による会見は、日本のアマチュアスポーツの協会ってのはどうなってんのかとつくづく思わせる会見だった。
日本レスリング協会の女子強化委員長だった栄和人が伊調馨へのパワハラ認定を受け辞任したのが1月で、日本ボクシング連盟が山根明会長を解任したのが今月8月。
日大のアメフト問題を含め、アマチュアスポーツの指導者や大学学長などアマチュアスポーツに関わる連中は揃いも揃ってアクの強いのばかりだった。

変なヤツばかり出てきて、アマチュアスポーツの醜聞は話題に事欠かないなどと思っていたら、今度は体操女子だ。前の話題が飽きられてきたところに、燃料が投下された形にしか見えない。

宮川選手への暴力が問題視され、彼女を指導していた速見佑斗コーチが無期限登録抹消の処分を受けた。要するに協会からコーチのクビを切られたわけだが、それに反論したのが当の本人である宮川選手だった。会見では確かに暴力はあったが、かなり前だし、それなりの理由はあった。彼女は処分は不当で重すぎると訴えた。
返す刀で日本体操協会こそがパワハラを行っていると避難した。

塚原千恵子・女子強化本部長と夫の塚原光男副会長こそが諸悪の根源で、この夫妻に呼び出されてコーチからの暴力を認めるよう強要されたり、塚原千恵子が監督を務める朝日生命体操クラブに移籍しないと東京五輪には出られないなどと脅されたという。

これが本当ならば、塚原夫妻が宮川選手の所属チームを朝日生命にするため、コーチに因縁をつけてパワハラで処分したことになる。
事実がどうか分からないが、会見を見る限りは18歳の女の子が訴える内容に信憑性を感じる人が多いだろう。

もともと、塚原千恵子という女子強化本部長は曰くのある人物だった。1991年に全日本体操選手権で出場選手91人中55人が大会をボイコットするという前代未聞の事態が起きた。
これを受けて当時強化部長だった塚原千恵子が辞任したのだが、多くの選手がボイコットしたのは、塚原の支配下にあった審判団が、塚原が指導する朝日生命の選手にばかり有利な点を付けるという理由からだ。
当時からいろいろ問題がありそうな人物だった。

今回の騒動でも、宮川選手はレインボーという体操教室から契約解除されたのだが、そのレインボーという教室は宮川選手を引き抜きたかった塚原夫妻に取り込まれ、速見コーチを処分しただけでなく、宮川選手との契約まで解除してしまった。
そもそも、パワハラ認定したことについても、宮川選手本人からの聞き取りを一切していない。別の事情があったようにしか見えない。
こんなことをすると、あの手この手で圧力をかけて、気に入らない選手とコーチをいじめているようにしか見えない。

宮川選手の会見のあとに行われた日本体操協会の会見は明言を避けていたが、塚原光男・副会長がテレビのインタビューに宮川選手の告発について「全部ウソ」と断言していた。
ロクに対策も練らず、条件反射のように選手を全否定するところを見ると、これまでのアマチュアスポーツの問題で選手当人を全否定するとロクなことにならないということを学習していないらしい。

社会人としてこの対応は0点である。70歳にもなって常識ある対応すらできないのが情けない。
昨晩の突然の会見に反論するための準備をする時間がないのであれば、「情報を精査します」とか「調査します」と言って先延ばしすりゃいいだけの話なのに、怒りに任せて「全部ウソ」ではいかにも頭が悪い。

今回の日本体操協会に関する騒動は、どう考えても宮川選手の勝ちだ。
塚原夫妻や協会にとって、すべてが想定外だったことだろう。コーチを処分しても選手が反論して来ないと思っていたのに選手が反論してきたうえに、所属チームから追い出してもめげずに会見を開いてきた。
なんら打つ手なく、協会の会見では防戦一方になり、選手いじめをしていたとされる張本人は「全部ウソ」と発言した。

予想外の行動で常に先手先手を取った宮川選手の裏に誰かいるのか知らないが、やり方は非常に賢い。全国民を味方にすることができた。
予想外の事態に対応できない日本体操協会の能なしぶりも十分に発揮された。選手から反論された時点で次の手を準備しておくべきだったのに、やったのは所属チームを取り込んで契約解除させただけ。窮鼠猫を噛む状態で会見され、負けが決まってしまった。
先の甲子園の金足農業の応援を見ても分かるように、日本人は判官びいきだから、選手側に立つに決まっている。協会はどうやっても勝てない。

それにしても、日本体操協会に反旗を翻した18歳の少女がいて、それに追随するように森末慎二や池谷幸雄が協会に対して文句を言っているのは格好悪い。女の子を盾に、自分が有利な状況になれると分かってから協会に楯突くのだから、これほどダサいことがあるだろうか。

所属契約を解除された宮川選手には、いっちょかみでカネを出すのが大好きな高須クリニックの高須院長がさっそく手を差し伸べ、スポンサー契約を結ぶとしている。この人はカネの使い方を分かっていて、自分の売り込み方も分かっている。

心配なのは、宮川選手が本気になった日本体操協会から潰されることと、よく分からない大人に利用されることだ。
悪いことが起きなければいいのだが。

20180829-1

今朝の産経新聞は1面トップが総務相が携帯料金の値下げを促すという内容の記事だった。

【産経ニュース】携帯電話料金引き下げ 野田聖子総務相も前向き 「4割下げられる」菅発言に戸惑いも… (2018/08/28)

菅官房長官が21日に行った講演で「携帯電話料金は4割程度下げられる」と発言しており、「総務省は以前から料金引き下げに取り組んできた」と苦言を呈していた野田聖子総務相がしぶしぶそれに追随した形だ。
利用料金の値下げや4割という数字だけが先行するこういう話は絶対にうまくいかない。これまで料金引き下げのために総務省が「実質0円」の販売を禁止させたものの、月賦で安く買えているように錯覚する0円スマホがなくなり、料金が大して変わらないままで利用者にとってなんのメリットも生まれなかった。
それと同じ轍を踏むに違いない。

菅官房長官は総務大臣を経験したこともあり、通信行政に明るいことを自負しているらしいが、ならば「4割下げられる余地がある」なんか出てこないように思える。
総務省の試算では、5GBの契約で月3760円となっていて、月2505円のイギリスに比べると4割高いことになっている。契約条件がバラバラで比較にならないOECDの調査では、日本はイギリスの2倍になるらしい。

そこらへんが菅官房長官がいう4割引き下げの根拠らしいが、通信インフラが進んでいる日本と、そうではないイギリスやドイツなどの欧州と比較しても意味がない。田舎、山岳部、地下街、トンネルなどでもちゃんと携帯電話を使えるようにしている日本と、都市部でしかマトモに使えない欧州では比較にならない。

日本だけが世界で突出して携帯電話料金が高いわけではない。日本の携帯電話市場の問題は、ドコモ、au、ソフトバンクの携帯電話キャリアが端末も販売していることにある。
スマホは家電販売店などで購入し、自分にあったキャリアと契約するのが世界では一般的だ。キャリアが用意した余計なアプリ入りのスマホを買わされることはない。スマホは基本的にSIMフリー端末で、どこのキャリアと契約しても自由に使える。
日本ではキャリアが用意した端末を買わされることになるので、端末メーカーでの競争原理が働きにくくなる。日本が世界のスマホ市場で惨敗したのは、日本のキャリアが用意したぬるま湯に浸かって世界に通用する端末を作らなくなったからだ。

キャリアは通信のみにし、端末の販売を強制で分離させれば、キャリア間での競争原理が働く。価格やインフラでいいサービスを提供するところに人が集まりやすくなる。
今はドコモでもauでもソフトバンクでも、一般人には理解不能な複雑な契約プランが用意され、結局どこのキャリアでも似たような利用料金になる。端末の価格もほぼ同じ。端末の2年の月賦があり、それとは別に2年縛りの契約で移転させにくくしている。
端末は自分で用意し、キャリアだけ契約するという形にすればシンプルになる。パソコンを自分で用意し、自分で好きなプロバイダと契約するのと同じだ。
なぜそれができないのか。

「4割引き下げ」とかいう数字が先行するのは、結局は菅官房長官による政権の人気取りなのかも知れない。本気で改革に臨むなら、目標値を出すだけではダメだ。もっと深いところに切り込まねばならない。端末販売でそれほど儲けられないにしても、通信キャリアと端末販売をセットにして利用者を丸め込むことでうまくやっているのだ。そこらへんを変えさせたくないだろう。
日本のスマホメーカーも、世界で売れないスマホが日本人がばかすか買うのでやめて貰いたくない。中国や台湾のSIMフリー端末とガチンコ勝負しても負けるに決まっているからだ。
業界のいろんな思惑がはたらいて、通信キャリアと端末販売の完全分離は実現しない。どう転んでも日本の携帯電話料金はキャリアと契約している限りずっと割高に感じられるままだろう。

野田聖子は「総務省は携帯電話料金引き下げに努力している」と言うが、疑わしいもんだ。
10年ほど前のガラケー時代に、総務省が端末販売をキャリアから分離させようとしたがうまくいかなかった。0円だったガラケー料金が何万円かになって売り上げだけが落ちてしまった。
結局、ソフトバンクが販売店舗に対して販売奨励金を出したうえに、利用者には2年の分割払いをさせて上乗せの割引を行うというものだ。それで利用者がガラケーを安く手に入れるという手法を考え出して現在に至る。販売奨励金や2年縛りの月々の割引は利用者の毎月の利用料金だ。毎月高い料金を支払って、誰かが新機種を買うのを手伝っているわけだ。
実質0円禁止にしても、結局はキャリア側にうまくかわされ、利用者の役に立っていない。それの繰り返しだった。

そもそも、総務省の役人の天下り先が各キャリアなのだから、本当に国民のためになり、キャリアから恨みを買うようなことを総務省の人間がやるわけがない。天下り先の確保は役人が死守すべきことなのだから。

これまで、キャリアは通信と端末販売をセットにして、毎月の支払いを同じにしていたが、auが形だけの携帯電話料金と通信料金の分離プランを昨年に始めた。それに追随する形でドコモが似たようなことをし、そしてソフトバンクも似たようなプランを今日になって発表した。
しかし結局は新規でも機種変更でもキャリアのショップでスマホを買うことになるため、こんなもんは分離でもなんでもない。

政府主導で格安SIMのMVNOが増えたのはいいことだが、どうせならもう2、3歩踏み込んで欲しい。
私はauからMVNOに移行したので関係ないが、どう考えても日本の携帯電話市場をめちゃくちゃにして、メーカーに国際競争力を失わせたのは通信キャリアだ。今さら手遅れの感もあるが、手遅れでも変えていかないとずっと悪いままになってしまう。

20180828-1

漫画家のさくらももこが乳がんで亡くなった。53歳だった。
昨晩のニュースはこの訃報で持ちきりだった。それだけ「ちびまる子ちゃん」が国民的アニメとして認識されているということなのだろう。

「ちびまる子ちゃん」は日本のみならず台湾や香港でもよく知られている。日本のアニメ放送は1990年からだが、台湾では1994年から、香港では1995年から放送が始まり現在に至る。特に台湾ではアニメチャンネルを中心にケーブルテレビのいくつかのチャンネルで放送されていて、知らない人がいないほどのアニメだ。
実際、台湾でテレビのチャンネルをザッピングしていると、放送されているのをよく見かける。

かつて台湾で一世風靡した飛輪海というアイドルグループのメンバーで、今もトップアイドルとして活躍する汪東城は「ちびまる子ちゃん」の大ファンで、日本に赴いてさくらももこに直訴して台湾での代理権を獲得した。
その流れで昨年、台湾で「ちびまる子ちゃん」の実写版ドラマを制作し、台湾でテレビ放送された。日本でも実写ドラマはあったが、台湾ドラマはぶっとんでいて細かいことは気にしないので、まる子ら小学生を30代の俳優らが演じていた。汪東城自身も花輪くん役で出演した。

さくらももこの訃報は台湾でも速報が出たわけだが、「ちびまる子ちゃん」好きとして知られるその汪東城はショックすぎて何も発信せずとニュースになっていた。

【三立新聞網】為愛砸千萬代理《小丸子》!櫻桃子逝世…汪東城心痛失語 (2018/08/27)

私は日曜日に「ちびまる子ちゃん」をときどき見るが、思い入れのある漫画家でもないので「まだ若いのに」という以外は特に何とも思わなかったが、漫画やアニメ、あるいはエッセイに親しんだ人たちは突然の訃報にショックだったことだろう。

昨晩、「ニュースZERO」を見ていたら、アニメ放送25周年を記念してさくらももこ本人がアニメのなかに登場して視聴者に向かって話をしたという映像を流していた。それを見て嫁さんと「"さくらさん本人"ってテロップに書いてあるけど、声優が喋っとるやん」と話をしていた。ところが、朝の「ZIP!」でまる子の声優であるTARAKOが喋っているのではなく、本人が喋っていると紹介していて、それを見て驚いた嫁さんがLINEで「本人だった」と連絡してきた。
まる子の声優を選ぶとき、本人に似た喋り方をするTARAKOを選んだのだという。

さくらももこの死自体にはそれほど驚かなかったが、本人とTARAKOの声がそっくりだったことには驚いた。ファンには知られた話らしいが、ファンではないので知らなかった。
そもそも、さくらももこ自体が有名な割にメディアに全然出てこないので、顔もよく知らなかった。

さくらももこは本名を非公開としており、顔も出していなかった。「ちびまる子ちゃん」の漫画やアニメを見る人たちのイメージに影響を与えなくなかったらしい。確かに、作者の情報が完全にリンクしてしまうと、「まる子は53歳のときに乳がんで死ぬのか」と思わせることになってしまう。
だとしたら、訃報を流すマスコミもその意志を尊重すればいいのに、本名は伏せているものの、20年以上前に撮影された写真をいろんなメディアが流している。台湾メディアは日本のメディア以上にデリカシーがないので、どのニュースサイトも本人の写真に加えて普通に本名(旧姓)併記で報じている。

少しは本人の意志を尊重しろよと思わざるを得ない。「こんな顔だったのか」と思ったことは確かだが、別に昔の写真を見ないままでも、それはそれでよかった。
レイプをされて酷い殺された方をした人の本名、名前、生い立ちまですべて報道しないと気が済まないメディアだから、死んだ漫画家に気なんか遣うわけないが、メディアのデリカシーのなさが気になる。「視聴者、読者の求めに応じただけ」と言うのだろうが、どれほどの人が求めたのであろう。
なんでもかんでも情報を出せばいいというわけではあるまい。ムリだと思うが、日本のメディアにはそこらへんの自覚を持って貰いたいものだ。

20180827-1

昨日26日に滋賀県草津市で行われた「チャップリン声優口演ライブ」というイベントに行ってきた。声優の羽佐間道夫、野沢雅子、山寺宏一がチャップリンの無声映画にライブで吹き替えを行うというイベントだ。チケットは前売りが4500円で、前売り券を買って嫁さんと行ってきた。
この「声優口演」というイベントは、何年か前から全国各地で行われているイベントであるらしい。

羽佐間道夫は御年84歳の超ベテランで、主に映画の吹き替えを行っている。洋画の吹き替えを見る人は聞き覚えがあるだろう。スタローンの吹き替えで知られている。
野沢雅子も御年81歳の超ベテランで、いちいち説明する必要もなかろう。「ドラゴンボール」の孫悟空で知られる声優で、赤い髪が特徴的だ。
山寺宏一も既に57歳でベテランの域だが、前述のふたりに比べると若手ともいえる。

最初のトークで羽佐間道夫があまりにもしょーもないことを連発するので大丈夫かと思ったが、そこらへんは山寺宏一がうまくフォローし、回していた。
野沢雅子は自分からぐいぐい喋ったりはせず、おとなしいお婆ちゃんみたいな感じだった。

この3人以外に、若手の声優、劇団の俳優が何人かいたのだが、イベントを通して「声優はほんとにスゴイ」とただただ感心した。
羽佐間道夫も野沢雅子も、80歳を超えているとは思えないくらい元気だし、ライブでうまく吹き替えをしていた。当然のことながら一切かんだりしない。若手の人たちもすごく上手だった。

圧巻は山寺宏一で、「チャップリンの冒険」をひとりで全部吹き替えていた。日本チャップリン協会監修の下で吹き替えが制作されたのだが、ライブでは台本なしのアドリブで吹き替えをしており、今年の猛暑とかアジア大会で活躍した池江璃花子を持ち出すなどしていた。
ただただスゴイというほかなかった。さすがプロ声優が選ぶ実力ナンバーワンだけある。ヒーロー、悪役、二枚目、三枚目、なんでもこなせる声優である山寺宏一は日本の宝であろう。

ちなみに、イベント終了後に西日本豪雨のチャリティバザーも行われていて、チャリティに賛同した声優らの私物がサイン付きで多く出品されていた。抽選で当たった人から選んでいく形式で、個人的には若本規夫のグッズが欲しかったのだがゲットできず、最後の方に当たったので井上和彦のサイン入りポストカード付きのタオルを1000円で買った。井上和彦のタオルだけ20本くらい出ていたので、割と多く残っていた。

イベントで質問コーナーがあれば、ぜひともベテラン声優の3人に質問したいことがあったのだが、残念ながらそういう時間はなかった。私が訊きたかったのは、タレント声優のことである。
ここ10年以上にわたり、女優やら芸人やらのタレントが劇場版アニメや洋画の吹き替えを行うことが多い。ディズニー映画のように一定のクオリティを保てるタレントを起用するならいいのだが、多くのタレント声優、素人声優はド下手で、棒読みも甚だしい。

自分なら声優なんか絶対にできないが、もし自分なら仕事でもあっても絶対に受けない。全力で拒否する。せっかくの映画を自分の吹き替えで台なしにするのは忍びない。
「アベンジャーズ」の米倉涼子、「プロメテウス」の剛力彩芽、「TIME/タイム」の篠田麻里子あたりは事故レベルである。特に「アベンジャーズ」は竹中直人、宮迫博之が元のプロ声優に代わって声優を務めており、吹き替え版だけ雰囲気ぶち壊しのクソ映画になってしまった。

それ以外に私が好きな「マッドマックス 怒りのデス・ロード」では主人公のマックスの声をEXILEのAKIRA、悪役のイモータン・ジョーを竹内力が吹き替えていて、見ていられなかった。
映画館ではそれでもいいだろう。3D上映でもない限り吹き替え版なんか見ないからだ。映画の宣伝のためにタレント声優を起用してもよかろう。
ただし、ソフト発売するときにはプロ声優で吹き替え直したものを出して欲しい。そうでないと、せっかくソフトを買ったのに、吹き替え版で見ようという気が起こらないからだ。「マッドマックス 怒りのデス・ロード」でプロ声優が吹き替え直したものを出してくれるなら、5000円でも買い直す。

米ドラマ「スーパーナチュラル」は、シーズン1と2で俳優の成宮寛貴(薬物騒動で消えた人)と芸人の井上聡(次長課長)が主人公のふたりを担当しており、あまりにも下手すぎる吹き替えに視聴者を騒然とさせた。笑わせるためにやってんのかと思うほどの吹き替えだった。
あまりにも酷すぎたせいか、ブルーレイ版にはシーズン3以降起用されたプロ声優版と素人声優版の2種類が収録されることになった。ワーナー・ホーム・ビデオはなんと良心的な会社であろうか。

一般人はタレント声優に怒り心頭に発する状態なのだが、プロ声優がどう思っているのか知りたかった。ただ、あとになって調べてみると、山寺宏一はタレント声優について10年以上前から苦言を呈していたらしく、わざわざ訊く必要もなかったらしい。

一般人の消費者が嫌い、プロ声優も苦言を呈するタレント声優はなぜ存在するのか。映画の宣伝のためだろうが、誰も喜ばないこのシステムはいい加減にやめるべきではなかろうか。吹き替え版を見て気分を害する消費者が損をし、文句を言われるタレントも損をし、一体誰が得をしているというのか。ほとんどの人間が損をすることをやり続けるのは、これでうまみを感じる人がいるのだろうが、そいつらのために多くの人が犠牲になっていいとは思えない。

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