先っちょマンブログ

2018年11月

20181130-1

コラムニストの勝谷誠彦が肝不全で死んだ。57歳だった。
彼を初めて見たのは「たかじんのそこまで言って委員会」だった。勝谷は西原理恵子の漫画でタイで美少年を買う「ホモのかっちゃん」として何度も出てくるのだが、テレビで見る印象はだいぶ違っていた。
読売テレビの関係者と揉めて「そこまで言って委員会」やほかの番組を降ろされたあとはテレビであまり見なくなり、昨年久々に見たのが兵庫県知事選の立候補のニュースだった。知事選ではあえなく敗戦し、忘れた頃に死亡のニュースが飛び込んできた。

訃報を伝えるニュースで知ったのだが、勝谷は重症アルコール性肝硬変を患っていたという。アル中がなる病気だ。彼のメールマガジンを管理していた会社の社長によると、勝谷の肝臓は5倍にも膨れ上がり、ほかの内蔵を圧迫するほどだったという。
集中治療室に入院し、医師にアルコールをやめないと死ぬと言われていても勝谷はアルコールをやめることができずに死んでしまった。

死ぬまで酒をやめられないのだから、絵に描いたようなアルコール依存症だ。
吉澤ひとみの公判で、彼女はキッチンで酒を飲んでいたと夫が証言していた。飲酒運転事故後に飲酒量は減ったものの、酒を断つには至っていない。裁判官の心証をよくするには断酒して反省している様子を見せねばならないが、吉澤ひとみは断酒できなかった。これもアルコール依存症だろう。

死んだ私の父親は、休日に浴びるほど酒を飲んでいた。実家に行ったら土曜日の午前中だというのに缶ビールの空き缶が10本くらいあって「アル中じゃないか」と思ったことがあった。
父は生前に「オレはいつ死んでもええんや」と言ってタバコをバカスカ吸って酒を飲みまくっていたが、重い心臓病が分かった途端に医師の勧めで禁煙し、食道がんが見つかってからはあれほど飲んでいた酒もすぐにやめた。

「いつ死んでもいい」とかいう喫煙者や酒飲みは実際に死を実感すると前言をすぐに翻す。それが普通だ。
ところが勝谷誠彦のようなアルコール依存症は死ぬと分かっていてもやめられない。完全に病気である。

西原理恵子の夫の鴨志田穣もアル中が理由で死んだ。西原が漫画に描いていたが、アル中は酒を飲みすぎることで起こす脳に関連する病気だから、ちゃんと治療をしないと治すことができない。治療をしようとしてもうまくいかないことが多い。
意志が弱い云々は関係ないらしい。酒をたくさん飲む初期段階では意志の強さが関係してくるのだろうが、アル中になったらもう手遅れ。家族から酒を隠されても墓地や交通事故現場のお供えの酒を盗んだり、台所にあるみりんを飲んだりするようになる。

私は下戸ではないが、普段酒を飲まない。コーヒーやお茶をよく飲むのでカフェイン中毒かも知れないが、飲めなかったからといってどうということはない。
だからアルコール依存症になる連中が理解できないし、アルコール依存症自体も理解できない。この手の病気は家族にその病気の人がいて少し理解できる程度で、実際になってみないと絶対に理解できないだろう。アル中にはアル中なりの悩みや苦しみがある。

昔の私ならこんなことは絶対に思わなかったに違いないが、鬱病とパニック障碍を経験して病気の苦しみなんか他人に絶対理解できないと学んだので、周囲に理解されないアル中の苦しみだけは分かるようになった。

私の場合、鬱状態になってからパニック障碍発症まですぐだった。仕事での心労と愛猫の交通事故死によるペットロスが重なったことが原因だと思う。
まず不眠症になった。布団に入っても3時間4時間寝られず、毎日1時間くらいウトウトしただけで出勤するようになった。不眠症になると転落まですぐである。夜中に動悸がするようになり、息をしているのに息が吸い足りないと思う過換気症候群になった。これがパニック発作である。家にいたら息ができなくなって死んでしまうと思って玄関から飛び出したこともあった。

いよいよ狂ったと自覚した。パニック発作を経験すると、逃げ場のない場所で同じことが起こることを恐れる予期不安に見舞われる。広場恐怖というやつだが、そうなると電車に乗ったり、人前に出ることがなどができなくなる。
通勤が苦痛だったが、早めに家を出て最寄り駅からの電車に座ってすぐに寝るようにした。家では寝られないが、電車では割とすぐにウトウトできた。

このままでは通勤もままならなくなると思い、上司に多分通勤できなくなると告げた。当時の上司は「そうか」「無理すんな」とだけ答えたのだが、上司に話をして少し理解してもらうことで気分が楽になった。その後心療内科に通院して、抗不安症の薬を1年くらい飲んでいた。
そのうち予期不安が少なくなり、過換気症候群などのパニック発作も少なくなった。夕方になると手が震えていたが、それも収まった。

それ以降、考え方が大きく変わった。仕事の責任を自分で背負い込むのは間違いだ。できない仕事があるなら、そんな仕事を押し付けてくる上司や会社がマネジメントできていないわけだ。管理職は部下の仕事を管理するべきであって、それができないのは部下の怠慢ではなく自分の怠慢である。
考え方を変えれば鬱の予防策となる。

私はわりと完治に近い状態になったが、当時の感覚は今でもはっきり覚えている。その苦しみは経験者でなければ絶対に理解できない。鬱の話を聞いて経験者でもないのに「分かるわ~」と相槌を打つ人がいるが、絶対に分かっていない。
ここ最近、ジャニーズのKing & Princeのメンバーである岩橋玄樹や、Sexy Zoneのメンバーである松島聡が相次いでパニック障碍を告白して休養に入った。病気としてにわかに注目されているが、他人からすれば「なにそれ怖い」といったイメージしかないだろう。私だって経験者じゃなかったらそう思っているはずだ。

自分がなるとは微塵も思っていなかった鬱病になった。アルコール依存症は鬱と違って酒を過度に飲むという原因があるわけだが、酒に強い人の酒量が増えてしまうのは容易に想像できる。
飲み過ぎたのは悪いと思うが、本人だって依存症になろうと思って飲んでいたわけではあるまい。食べ過ぎて太るのと大して変わらない。

アルコール依存症の問題は、鬱と違って周囲にめちゃくちゃ迷惑をかけることにある。家族はめちゃくちゃにされ、吉澤ひとみのように車を運転して見ず知らずの他人を撥ねたりして、周囲に迷惑しかかけない。
どう考えても治療が必要なのに、本人が病気と認めない。治療をしても途中で投げ出してしまう。

鬱でもアルコール依存症でも病気が治るか治らないかの大きな境目が、周囲に恵まれているか恵まれていないかだろう。私の場合は上司も嫁さんもあまりゴチャゴチャ言うタイプじゃなかったのがよかった。アルコール依存症の場合は治療を強く勧め、厳しく当たるくらいの人が必要かも知れない。
そんな人に囲まれていてもどうしようもない場合も多いだろうが、いないよりは絶対にいた方がいい。

そういう意味では、私は恵まれていた。勝谷誠彦は恵まれていなかったのかも知れない。

20181129-1

勤めている会社に入社したての頃、中堅サラ金の支店を回らされたことがあった。
製品不具合があってソフトウェアの修正で対応したのだが、サラ金の幹部がヤクザまがいのたちの悪い連中で、サラ金に機器を入れたSI業者がメーカー責任で現場に直しに行けとめちゃくちゃ言ってきたので、部署の社員総出でキャラバンに行くことになった。
入社して2年目なのにひとりで回らされ、サラ金の支店に入る前にSI業者の担当に連絡を入れ、サラ金の支店長に挨拶と説明をして作業をした。

闇金でもなく、大手でもなく、地方に20店舗くらいある中堅サラ金というのがミソだったのかも知れないが、なかなか勉強になった。
これまでサラ金の世話になったことなどないが、サラ金に金を借りに来る連中の実態が少し垣間見えた。大手で借りられなくなったのが中堅に来るのだと思うが、開店時間の9時前には店の前にいて、開店と同時に店に入ってサラ金の社員に金を貸してくれと泣きついていた。
サラ金の社員もたいがいで、支払いの督促をするのに電話をしても出ないということで、近隣の家に宅配業者を装って「○○さん宅はお留守ですか?」と電話をしていた。

また、サラ金業者間で借り主の個人情報がデータベースで管理されているので、個人情報を確認しながら「○○は華族出身なのに落ちぶれてんなぁ」とか「アイツは在日」、「コイツは部落」などと普通に話をしていた。社外の人間がいても気にしないらしい。

どこの支店の店長もヤクザの幹部みたいにピシッとしたスーツを着た強面だ。
店長が新人と思われる社員に死ぬほど説教していて、精神論を説いていた場面に遭遇したことがある。店に入ったらその場面だったが、説教が終わるのを待つわけにはいかないので店長に「作業させてもらいます」とだけ言うと、店長が私にだけは柔和に「よろしくお願いします」と言ったのが逆に怖かった。

ある作業のとき、デスクに返済計画書みたいなカードが出しっぱなしになっていたので覗き見てみた。50万円借りている人が毎月1万円ずつ返しているのに、元金がほとんど減っていない。これでは毎月1万円を永久に取られる無間地獄だ。サラ金で限度額いっぱいまで借りるやつはバカだからなのか、首が回らない状態をやむなく続けているのか知らないが、何をやっているのかと思うし、それをやり続けるサラ金も鬼だ。

そんな光景を多く見て、仕事しながら「サラ金なんか潰れたらいいのになぁ」と思っていたのだが、そのサラ金に天罰が下った。サラ金で多い10万円以上100万円以下の貸付は利息制限法の規定によって年利18%が上限であるにも関わらず、出資法での上限と貸金業法での抜け道によってグレーゾーン金利として年利29.2%が適用されていたのだが、それら関連法が改正されてグレーゾーン金利が撤廃された。
グレーゾーン金利分の支払いが過払い金となり、サラ金は利用者に絶対に返さねばならないようになった。公訴時効の10年になっていない限り裁判に持ち込んでも絶対に勝てないので、訴えを起こされたらおとなしく過払い金を払うしかない。
過払い金請求によって大手のサラ金は傾いて銀行からの支援を受けることになったし、中小のサラ金のいくつかは潰れた。

グレーゾーン金利が撤廃されたのが2010年であるが、未だにテレビで法律事務所が過払い金請求のCMを流している。とある法律事務所は、相談をしに来る人に1万円まで交通費を出すという大盤振る舞いだ。過払い金が存在し、請求すれば確実に取れる取りっぱぐれのない商売なのでうまみがあるのだろう。

サラ金を痛めつける法律事務所は正義の味方といいたいところだが、実際は確実に取れる金に群がるハイエナのようである。

こんな話を書いた理由は、韓国で同じようなことが起こりつつあるからだ。戦時中に日本企業で仕事をしていただけなのに、「強制徴用された」と難癖をつけて日本企業を訴えれば確実に金を取れる図式ができあがってしまった。先日の新日鉄住金のように、三菱重工相手の徴用工、女子挺身隊の訴訟でも原告の訴えが認められ、ひとりあたり1000万円前後の賠償金支払い命令が三菱重工に下された。

サラ金の過払い請求の場合、利用者は納得して借りたとはいえ不当な利子を支払っていたわけで、それを取り戻しているのだからそれは当然の権利だ。
だが、韓国の訴えは諸々の問題を解決したとする日韓請求権協定を無視し、「問題は解決済み」とした韓国政府の意向も全部無視して、文字通りのあぶく銭を得ているだけだ。こんな二重取りが許されるわけがないのに、韓国では日本相手なら何でも許されるため、訴えれば勝つのが確実になってしまった。最高裁で2回も同様の判決が出たらもう間違いない。
戦時中、日本企業で仕事をした親族がいれば1000万円手に入るのなら、恥も外聞もない厚顔無恥の韓国人が訴えない理由はない。

サラ金の過払い協定で日本の法律事務所が儲かったように、韓国の法律事務所もこれが新しいビジネスとなるのだろう。しかも1件あたり1000万円前後だから、事務所の取り分が2割なら訴訟を起こすだけで200万円儲かる。法律事務所にとってこれほどおいしい仕事があるだろうか。
日本企業を訴えた韓国人には800万円入ってくるのだが、待機中のそんな韓国人が韓国政府の試算で22万人もいる。22万人は日本企業からぶんどるあぶく銭に期待していることだろう。
もしかすると、日本企業で仕事したことがなくとも訴えるようなやつも出てくるかも知れない。そうなると22万人どころの話ではなくなる。

韓国側からすれば問題はどうやって金を取り立てるかだけであるが、そんな面倒を考えたくないから韓国与党の政治家が日韓両政府と日本の"戦犯企業"で財団を立ち上げたらいいと、慰安婦の財団解散を棚に上げてこれまた都合のいいことを言っている。

日本企業は韓国の守銭奴どもに小遣いを与える集金マシンに成り下がり、韓国では徴用工バブルが起きつつある。そんなふざけたことがまかり通っていいものなのか。

サラ金の過払い金請求は因果応報といえるが、徴用工裁判の問題は完全なる言いがかりだ。それなのに日本企業は負けるしかなく、脅しに屈しておとなしく金を支払うか、無視して財産を差し押さえられるしか選択肢がない。

これはものすごい話なのだが、日本と韓国でしかほとんど注目されていない。
日本政府は遺憾の意を表明する前に、韓国がどれだけ横暴かを世界に向けてもっとアピールするべきだし、差し押さえなんか待たずに国際司法裁判所に訴えを起こすべきだ。
そうでなければ、解決した問題について搾取したわけでもない金の支払いを命じられる日本企業が気の毒だし、なにより日本がこれだけコケにされているのだ。これ以上黙って見過ごすことなどできないだろう。

20181128-1

安倍首相は実質的な移民受け入れとなる入管法の改正案を何があっても今国会中に成立させるつもりらしい。
さすがに無理かと思っていたが、維新の会の賛成を取り付けて衆院で可決して通過させてしまった。あとは参院でも大した審議もせずにささっと可決させるだけだ。

安倍首相は毎年50万人、20年で1000万人の移民受け入れをぶち上げて支持層からの猛烈な反撥を食って引っ込めたはずなのに、「移民受け入れではない」と強弁して入管法を改正しようとしている。
自公だけで衆参両院で過半数を占めるのだから、やろうと思えば数の論理で絶対に法案を通すことができる。

私は安倍支持層であるが、入管法の改正まで賛成した覚えがない。どうでもいい立法なら別に構わないが、日本の国体を揺るがす重要法案なのにろくに審議もせず、外国人が増えることでのトラブルの対策も後回しにして、とにかく法案を通してしまえという姿勢が気に食わない。

かつて朝日新聞などリベラルな連中が、安保法制やテロ等準備罪(共謀罪)で十分な審議をせずに法案を成立させるなと散々文句を言っていた。自分の気に入らない法案を通すんじゃねえということであるが、同じ立場になってみるとその気持ちが分かるというもんである。

安保法制もテロ等準備罪も、成立したことで毎日の生活が特に変わるということはなかった。リベラルな連中は「アメリカに巻き込まれて戦争が起きる」とか言っていたがそんなことはないし、「毎日の生活が監視される」と訴えていたが実感は何もないし、そもそも自分を監視対象にするほど公安も暇ではなかろうと思う。

しかし、入管法の改正は目に見えて生活が変わる。現時点の外国人技能実習制度だけでも日本に暮らす外国人が増えたように感じる。これまであまり見なかったベトナム人が歩道や駐車場で車座になって飲み食いしながら喋っているのをよく見かけるし、業務スーパーは外国人だらけだ。
単純労働をする外国人を受け入れることによって、その変化がもっと大きくなる。外国人のコミュニティができ、絶対にトラブルが起きる。

政治家が住むような高級住宅地は生活は何ら変わらないだろう。自分が地方の団地に住んでいて、住民の半分が中国人含めた外国人ばかりになることを想像すると悪夢である。
埼玉の西川口のように駅前の風景が一変し、中国の町並みのようになって日本人の誰が嬉しいと思うだろうか。
中国人やベトナム人といった中華系文化の連中は群れて住むことを好むため、日本各地にそれら外国人のコミュニティがたくさん誕生するだけだ。

入管法改正について、保守的な産経新聞からリベラルな朝日新聞まで、新聞メディアは一様に反対している。とはいっても理由は異なっていて、産経新聞は移民受け入れ反対の立場で、朝日新聞は外国人労働者をモノのように扱う法案に人権上の懸念を示している。

【産経新聞】「入管法」衆院通過 論点置き去りは許されぬ (2018/11/28)
【朝日新聞】入管法案採決 暴挙に強く抗議する (2018/11/28)

朝日新聞に至っては「暴挙に強く抗議する」と強く訴えたが、新聞メディアがどれだけ入管法改正に批判的なスタンスを取ろうとも、国民の心にはあまり届いていないらしい。
入管法の改正についての世論調査は、どのメディアによるものでも「議論をもっとするように」とか「今国会での成立を焦る必要はない」という意見が多く占めるものの、改正自体に賛成の人が過半数を超えている。
正直、この世論調査には驚きを禁じ得ない。

自分がアルバイトやパートといった労働者を雇う立場の経営者であれば賛成するのは理解できる。国家がどうなろうが、自分の商売が最優先だからだ。人手不足を簡単に解消するには外国人労働者を増やすのが手っ取り早い。
しかし、日本国民の過半数が労働者を雇う経営者とは思えない。ということは、一般の会社員やパート、あるいは無職の老人も多く賛成しているということだ。想像力が欠如しているのではないか。

例えば自分が工場の工員だとして、いつも人手不足で過重労働を求められている場合、職場に外国人の同僚が増えたら自分の仕事の負担は減るかも知れない。しかし、外国人労働者が増えることで賃金は高止まりするに決っている。同僚に外国人が増えるということは、彼ら彼女らと競わねばならないということだ。外国人は少しくらい時給が安くても仕事をして、シフトに関して文句も言わない。稼ぐために日本に来ているのだから、仕事をしまくって稼いだ方がいいに決っている。
だとしたら、日本語でコミュニケーションが取りやすい以外に日本人の労働者を雇うメリットがどこにあるだろうか。

一般の会社員は外国人の単純労働者が増えてもあまり関係ないだろうが、製造業、建築業、サービス業など外国人の受け入れが決っている業種で労働者として仕事をしている人たちは、これから中国人やベトナム人、インドネシア人などと競争せねばならなくなる。
本当にそれでいいのか。

仕事で中国人やベトナム人の工場労働者を見てきたが、彼らはマシンである。
決められたことしかできないが、決められたことはちゃんとこなす。寝てしまいそうな単純作業を黙々とやる我慢強さがあり、長時間労働も休日出勤も厭わない。何かあると仕事をすぐに辞めてしまうことはあるが、それがなければ日本人より遥かに使いやすい。
そんな連中と競争する自信がある日本人がどれほどいるだろうか。

どれだけこんなところで愚痴を言っても、世論は大して変わらないだろうし、変わったところで入管法改正の流れも止まらない。諦めの境地だ。
人手不足が解消し、日本人も外国人も賃金が上がり、労働環境が改善され、日本人も外国人も尊重しあって共生できる世の中になればいいが、そうは問屋が卸さないだろう。そううまくいかないことは外国で既に証明済みだ。欧州では移民が仕事を奪ったという怨嗟が渦巻き、台湾の都市部はさながらイスラム教国のようになっている。日本は特別だからそうはならないだろうか?そうなるに決っている。

人手不足の解消というメリットがあらゆるデメリットを大きく上回っていればいいのだが、どれだけ考えてもそうは思えない。入管法改正に賛成する人たちは、そうは感じていないのだろうか。
国会での強行採決は世論調査の結果も後押ししているだろう。法案に反対する野党も頼りない。それらはすべて国民の選択の結果である。
やはり諦めるしかない。できることは、日本での生活が悪くならないよう祈ることくらいだろうか。

20181127-1

私は食に何のこだわりもない。
ここ何年か平日の夜ご飯はサラダ、納豆、豆腐を食べていて、昨年から昼も大豆プロテインだけ飲んでいるのだが、このまま一生続けられそうだ。

たまに昼にカレーを食べて、帰宅して夜ご飯がカレーだったとかいう話を聞くが、昼カレー、夜カレーで何が悪いのか。同じカレーならまだしも、昼は店のカレー、夜は家のカレーなら文句もあるまい。
以前、嫁さんが海外旅行に行ったとき、大量にカレーを作り置きしていたので7日連続でカレーを食べたときはさすがに飽きそうになったが、それでも平気だった。

味覚オンチというわけではなく、単にこだわりがないだけなので、そこそこの味なら食事なんかなんでもいい。
だから、変なこだわりがある飲食店が苦手だ。

例えば、うなぎ専門店はこだわりしかなく、「50年継ぎ足したタレを使っています」とドヤ顔で言われることがある。以前にこのブログで書いたが、継ぎ足しのタレは不潔に思える。定期的に濾しているのだろうが、虫や埃が入っているであろうものを何十年継ぎ足して使っていると説明されても気色が悪い。
「変わらない味を提供している」と店は胸を張るが、それもおかしい。テレビで科学的な実験を行っていたのだが、古いタレを使って新しいタレを継ぎ足すと、タレの量や使う量によるが数か月から3年くらいで全部入れ替わる。
継ぎ足してタレの味が変わらないのは、古いタレに新しいタレを足すことで味が平均化されるからであって、5年10年のレベルで見れば味は変わっている。前日のタレが1.0だとして、今日作ったタレが1.1だとすると、同じ量を混ぜたら1.05になる。1.1になるより変化が少ないが、毎日1.1を作っていたらそのうち1.1に限りなく近づくし、別の日に1.2を作ったら1.1以上になってしまう。
だとしたら「変わらない味」とは一体何なのか。「変わらない味」を謳うのならば、毎日同じレシピで湿度などを加味しつつ同じ味のタレを作ればいいように思える。

皆が数十年の継ぎ足しをありがたがっているが、それは店やメディアからの価値観の押しつけでしかない。落ち着いてよく考えてみれば、大したことがないと分かるはずだ。仮に大きな違いがあるとして、継ぎ足したタレと全く同じに作った新しいタレの違いが分かる舌を持っている海原雄山レベルの食通がこの世の中にどれほどいるだろうか。

タレを継ぎ足すうなぎ屋や焼き鳥屋くらいならまだいいが、客に食べ方の注文を出す飲食店はダメだ。
よくあるのが、トンカツを出して「まずは何も付けずに素材の味を味わって、次に塩を付けて召し上がってください」と店員がゴチャゴチャ言ってくる店だ。よかれと思って助言しているのだろうが、どんな風に食べようが客の勝手で、グルメぶったやつは何も付けずに素材の味を味わうだろうし、ソースや辛子が好きなら好きなだけ付けたらいい。

何も付けずにそのまま食べるか、塩だけで食べるのが通みたいになっているが、そんな自己満足はやりたいやつだけでやっておけばいい。

素材の味云々の食べ方の究極が蕎麦だろう。「ごぶごぶ」でダウンタウンの浜田と八嶋智人が奈良市内にある「水蕎麦」の店を訪れていた。
店主自慢の蕎麦をそばつゆではなく水に浸けて食べるそばらしい。焼きそばやケチャップが好物という浜ちゃんは、塩はまあいいとして、水で食べる蕎麦には不満そうだった。店を出てから「そばつゆで食べたなかったなぁ」と漏らしていたが、それが普通の感覚ではなかろうか。
世の中はグルメのふりをするやつで溢れかえっていて、その同調圧力のせいで素材の味を楽しむ食べ方がよしとされているが、本当にそれでいいのだろうか。ええかっこしいでやっているようにしか見えない。

水蕎麦の店でなくても、「蕎麦は持ち上げた分の先の方だけ蕎麦つゆに浸けて食べるのがマナー」とか言うやつがいるが、正直「うるせー」としか思えない。濃い味が好きなのだから、蕎麦つゆにドップリと浸けさせろと思う。

こだわりの強い蕎麦屋からしたら「こだわりのない客は来るな」ということだろうが、こだわりの店は気取っていて高いところが多いので、私のような非グルメは多分行くことはない。
世の中は合わない者同士が交差しないようよくできている。

この蕎麦つゆどうこう言う手合と似たような感じでウザいのが、鍋奉行のように焼肉を取り仕切る焼肉奉行だ。何から食おうが、どんな焼き加減で食おうが人の勝手なのに、「まずはタン塩から」と決めてかかり、そのタン塩も「タン塩は片面焼きで」とか言ってくるやつだ。私はよく火を通したのが好きなので、ゴチャゴチャ言われると「ぶっ殺したろか」と思ってしまう。
焼いた肉も、塩、レモン、焼肉のタレ、どれを使うかは好きにさせろ。

食事にこだわりのある人たちは、自分の価値観をよしとして他人に押し付けがちだ。
端的に言おう、余計なお世話である。

20181126-1

24日(土)に投開票された台湾の統一地方選は、事前の予想通り与党・民進党が惨敗し、国民党が圧勝する結果で終わった。
台湾の統一地方選は人口が多い6つの直轄市と、それ以外の16の県や市の首長、およびそれぞれの議会議員を決める選挙だ。22ある首長のポストは民進党が13占めていたが、今度の選挙で6に減らす惨敗を喫した。

特に象徴的なのが強固な民進党の支持基盤があった高雄市で、国民党の泡沫候補だった韓国瑜が「韓流ブーム」と呼ばれるうねりを起こして当選。その「韓流ブーム」に乗ってほかの首長選でも国民党候補が当選する事態になった。

台湾の統一地方選では選挙区として高雄市が盛り上がっていたのだが、開票速報で盛り上がっていたのが台北市だった。
無所属で現職の柯文哲と、国民党の丁守中がものすごい接戦を繰り広げ、開票率が上がっても数百票差で行ったり来たりしていた。YouTubeのニュース番組の生中継のチャット欄でも盛り上がっていたし、InstagramなどSNSでは「柯P(柯文哲)がんばって」という書き込みが多かった。
結果、柯文哲580,820票、丁守中577,566票でたった3000票強の差で辛くも現職が勝った。

台湾の選挙を見ていると、若い世代が結果を左右しているように感じる。高雄市の韓国瑜が「韓流ブーム」を作ったのも、「ディズニーランドを誘致する」と荒唐無稽な公約を掲げたり、ハゲをネタにするのがインターネット上で若い世代にウケたからだ。医学部の大学教授だった柯文哲も若者からの支持が厚い。
ジジババの有権者が幅を利かす日本とは大違いだ。

台湾の統一地方選では、選挙以外に国民投票も行われた。多くの芸能人がInstagramやFacebookなどのSNSで「10、11、12不同意、14、15同意」と訴えていた。国民投票の番号で10、11、12は反同性婚の内容で、14と15は同性婚を推進し、小中学校でLGBTについて教育するという内容だ。
投票の結果、同性婚の推進が認められないことが決まった。

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ほかにも、東京五輪に中華台北ではなく台湾名義で出場申請するかという国民投票があり、否決された。台湾名義で申請すれば五輪出場できなくなるとICOが警告しており、台湾人メダリストらアスリートが「出場できなくなる事態は避けたい」と訴えていた結果だ。台湾であることが否定されたわけではない。

また、日本の福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県の食品の輸入禁止は継続されることに決まった。国民投票の結果は法的拘束力があるため、2年間は維持される。日本からの輸入品に関し、製造場所を示す証明書の添付は依然として必要となるわけだ。
放射能について台湾人には理屈が通じないとは思っていたが、それが証明された。

そのわりに、別の国民投票で2025年までにすべての原発を停止することをやめる国民投票は賛成多数で通過になった。台北市に近い核四と呼ばれる原発の稼働には反対したものの、節電する気がゼロの台湾人に節電が堪えたのだろう。原発をすぐに止めるんじゃないという判断になった。


選挙結果もそうだが、国民投票の結果を見ても蔡英文政権が支持されていないということがよく分かる。蔡英文は台湾独立強硬派であったが、急進的な台湾独立は否定された。同性婚も推進する公約だったがそれも否定され、脱原発も否定された。目玉の公約がすべて否定されたことになり、求心力低下が目に見えて現れた形だ。

選挙結果を受け、蔡英文は民進党の主席を辞任すると表明した。彼女は2020年の総統選での再選を目指していたが、どう考えても危うい。これまでの台湾は、総統選の2年前に行われる統一地方戦で勝った党が総統選でも勝利する流れになっており、よほどのことがない限り、蔡英文の再選はあり得ない。
とはいっても、民進党には蔡英文以外に戦えそうな総統候補がおらず、苦しい立場にある。このままだと国民党の独擅場になってしまう可能性が高い。

この結果にほくそ笑んでいるのは中国だろう。多方面からの様々な圧力で、台湾独立の機運を削いできたのがズバリ効き、与党・民進党を惨敗に追い込んだ。
選挙結果を受け、なぜか中国政府が「勝利宣言」を掲げたが、別に台湾人が大陸との合併を望んだ結果ではないし、中国に近い国民党が支持されたわけでもない。

台湾は中国との経済的な結びつきが強く、これ以上中国に圧力をかけられると経済的に困窮してしまうという危機感と、本気で中国が何か行動を起こすのではないかという恐怖から若者を中心に「現状維持」の声が強い。中国と台湾は別の国だと認識しているが、あえてそれを表明して中国を刺激しなくても、今のまま何となくごまかしつつやっていきたいというのが台湾人のホンネなのだろう。
それに加えて、蔡英文が今ひとつ指導力を発揮できずにふわふわして、支持を徐々に失ったという"敵失"の感が強い。

それでも、この選挙結果は中国にひとつのメッセージを送った。経済的な結びつきで台湾を離れられなくすれば、じわじわと真綿で首を絞めるように台湾を追い詰めることができる。
台北市長の柯文哲は台中関係についてかねてから現状維持を訴えており、新しく高雄市長になった韓国瑜はバリバリの親中派で、習近平が掲げる「両岸一家親」(中台はひとつの家族のように親しい)を推進すると宣言した。そんな政治家が支持されている。
台湾独立はますます遠のくばかりだ。

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