日本とEUの経済連携協定(EPA)が明日2月1日発効される。GDPの合計で世界の3割、貿易総額で4割を占める世界最大級の自由貿易圏になるという。
そういわれてもあまりピンとこないわけだが、EUとの関税が段階的に撤廃され、最終的に日本からEUへ輸出する際の関税の99%、EUから日本へ輸出する際の関税の94%がなくなるという。消費者が受ける恩恵としては、欧州の食料品の値下げが挙げられる。欧州の食料品というとチーズ、ワイン、生ハムあたりが思い浮かぶが、それらはすべて安くなる。また、皮革製品や履物の関税も最終的にゼロになるので、フランスやイタリアのブランド品の値下げが予想される。
正直なところ、ワインなんか飲まないし、チーズや生ハムもめったに食べないし、ブランド品なんか買わないので、実感するような恩恵に預かれるような気がしない。むしろ日本の酪農家の苦戦が心配される。
一方で、日本が輸出する自動車関税も撤廃されるので、マツダなど国内生産が多い自動車メーカーにとっては追い風だろう。
日欧EPAを非常に気にしているのが韓国だ。韓国は既にEUとFTAを締結済みだが、EPAはFTAよりカバー範囲が広く、知的財産権やら投資、サービス事業も含まれる。さらに、自動車関税の撤廃により、既に関税ゼロの韓国車の大きな脅威になるからだ。
日本と韓国は輸出品目でかぶっているものが多いので、韓国が不安になるのも当然だ。
ただ、韓国は日欧EPAよりもTPPの方がよほど気にしているらしい。これまで「TPPには実益がない」「二国間で結ぶFTAで十分」としてTPPに一切興味を示さなかったのに、朴槿恵政権時代に一度参加姿勢を見せたものの頓挫。その後、TPPの発効に目処が立った頃からまた色気を出し始めた。
TPPの仕組み上、あとから入るのは損だ。発効前の交渉段階から参加していれば自分たちが望む条件を出すこともできたのに、枠組みなどがすべてできあがってからでは交渉の余地はない。途中参加するには11か国すべての国から了承を得る必要があり、自国に有利になる条件なんぞ11か国すべてに飲んでもらえるわけがない。
それにTPPに参加する以上は関税の引き下げが必須であるから、日本からの輸入自動車に関税をかけている韓国では、韓国の自動車メーカーにさらなる競争が必要となる。
それでも韓国がTPPに入りたいというのであれば入れてやれという意見がある。かつての米国に代わってTPPを手動する日本としては、TPPの参加国を増やしたいからだ。
だが、相手はあの韓国だ。国家間の条約や約束ごとを平気で無視する国が、TPPのルールをちゃんと守るのだろうか。
それに韓国は台湾と同様になんの根拠もなく福島とその近隣の県の水産物輸入を禁止している。明らかにWTO違反であるが、ルールよりも感情が優先される国ではそんなことはお構いなし。そんなことをしている国はTPPへの参加資格などない。
TPPへの参加意欲がより強い台湾も同様だ。台湾は国民投票で決まったこともあり、特例として福島近隣の水産物禁輸を認めさせたうえでTPPへの参加を要望しているようだが、日本はそんなことを絶対に認めてはならない。
さらに韓国の場合、ソウル市で今月24日に日本の「戦犯企業」の製品の購入制限を設ける条例が提出された。勝手に認定した284社の「戦犯企業」の謝罪や賠償がないため、それら企業との随意契約を制限するという目的らしい。
ここでもまた日韓請求権協定の話が出てくるわけだが、ここまで来ると話にならない。国民情緒を考慮した条例らしいが、まあこんなことをやっている以上、TPPへの参加など死んでも無理だろう。
まあ、端から日本に頭を下げる気などないので、通貨スワップのときのように「日本が頼んできたら結んでやってもいい」的なことを言うかも知れないが、お引き取り願うしかない。
かつて中国がベトナムを懲罰すると言って中越戦争をしかけたことがあった。結局ベトナムに惨敗しておきながら「勝った」と言い張る精神勝利で終わった。
中華文化圏の連中は相手が気に入らないと大した問題でなくてもすぐに「懲罰を与える」として行動に移す。中国で日本企業の工場が燃やされたり、日本のスーパーが襲撃されて略奪の憂き目に遭うなどしたことがあったが、それ以外にもしょちゅう日本製品の不買運動をしている。
不買運動は中国よりも韓国の専売特許のようになっているが、韓国の不買運動はまったく続かない。飽きやすい国民性なのか、一部が主張しているだけに過ぎないのか知らないが、いつの間にか不買運動が終わっている。少し影響が出るだけ。この中途半端さはなんなのだろうか。やるなら成果が出ることをやらねばならない。
日本でもネット界隈で保守の自称する連中が韓国製品の不買運動を呼びかけたり、反日的とレッテル張りしたテレビ番組のスポンサーの商品の不買運動を呼びかけたりしている。韓国人みたいで本当にかっこ悪い。人に呼びかけて参道を得ようとしなくても、自分だけで買わないようにすればいいではないか。
私はサムスンのスマホもLGのテレビも買うつもりはないが、他人に絶対買うなといちいち言う気も起きない。今まで日本ではそうやってきたではないか。
韓国の現代自動車が日本市場に参入したが、日本ではさっぱり売れずに撤退した。起亜自動車に至っては1台も売れなかったとかなんとか。トミーズの雅がテレビで「ヒュンダイの車に乗ってるのは生野区の人だけちゃうか」と言っていたが、在日以外でヒュンダイの車を買う理由がない。
サムスンにしても、日本ではメーカー名を隠してスマホを販売してうまくいったが、テレビ市場ではうまくいかずに撤退した。
いずれも別に韓国メーカーだからという強い理由があったわけではあるまい。買う理由がないから買わなかった。それだけで十分だろう。
わざわざ不買運動をしてもあまり効果はないし、不買運動などしなくても売れないものは売れない。大して意味のない不買運動などする必要がない。
韓国人はそれを学んだから、ソウルで官製不買運動をやるのだろう。そこまですればご立派とも言えるが、それで懲罰が与えられるかは疑問だ。ソウル市での売り上げなんか微々たるものだろうし、なにより日本の一部企業の最終製品を忌避したところで、部品や素材がほかに使われることなど多々ある。
効果としては、せいぜい自分たちの気持ちがスッとすることと、パフォーマンスとして韓国国民に訴えることができるくらいか。感情で動く人たちはそれでいい。死ぬまでやっとけ。