先っちょマンブログ

2020年02月

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昨日、大阪市内の公立の小中高が来週から休校になるというニュースがあり、社内で話題になっていた。大阪市内で公立に限られるので、同僚でそれに該当する子供がいるのは案外少なかった。
家に夜9時頃帰宅したら嫁さんが「安倍さんが学校休校にするって」と言うので、大阪市の話なのかと思ったら全国一律で小中高の休校を要請するというのでビックリした。

政府が休校を要請するのは、休校を決めたり学校に命令したりする権限が政府にはないためだろう。学校保健安全法で学校の設置者に休校の権限が与えられており、市町村立の小中学校ならば各市町村の教育委員会、都道府県立の高校ならば各都道府県の教育委員会にある。
教育理念上、教育現場に国家権力を介入をさせないためにそうなっているわけで、政府がお願いしたところで教育委員会が突っぱねることもできるわけだが、まあそうはならずに全国の小中高で休校となるのだろう。

この措置が新型コロナウイルスの感染拡大阻止に有効かどうかは疑問が残る。子供の感染者が出てるとはいえ、世界的なデータから見ても子供は新型コロナウイルスに感染しにくく、かつ重篤化しにくい。
どうせやるなら子供じゃなくて大人を休ませた方がいいように思えるが、やらないで学校で感染が拡大したら政権批判が殺到するに決まっている。やっても批判され、やらなくても批判されるならやっちまえということだろうか。

「共働きの家庭はどうすればいいのか」という文句が多く聞かれるが、そんな家庭でも春休みや夏休みの期間はどうにかしているわけであって、何とかなるのではないか。学童保育が大変なことになるかも知れないが、祖父母に面倒見てもらうとか、留守番させるとかどうとでもなる。
休校するのに1週間の周知期間とか猶予期間を持たせてモタモタしていると休校にする意味が薄れてしまうので、とりあえず走り出して、走りながら考えるしかない。
私は子供の頃に両親が共働きだったので、小学校1年の頃からいわゆる鍵っ子だった。学校から帰ってきてひとりで留守番し、夏休みなどもひとりで留守番し、作りおきの昼飯を食べ、鍵をかけて遊びに行ったりしていた。都合がつかずに子供に留守番をさせることがあったとしても、大多数の子供はまあ大丈夫だろう。

それより問題は大人の方ではないか。正直なところ、子供を自宅待機にさせるなら大人もそうさせろと思うわけだが、大人は仕事をして稼がねばならないし、なにより医療やら小売の関係者が休んだりしたら社会が大混乱に陥ってしまう。こんなときくらい長めに休んだり家にいてよさそうなもんだが、そうはいかないのが大人の世界だ。

私は感染が怖いから仕事に行きたくないのではなく、在宅勤務できるなら家でサボりながら適当に仕事をしたいだけなのだが、ソフトウェア開発の仕事をしているのでそうはいかない。パソコン上で動くソフトを作っているだけなら家でもできるかも知れないが、産業用機器で動かすソフトを作っているため、機材が必要になるので家で仕事なんぞできない。
そのため、私が勤める会社では大手の一流会社みたいに在宅勤務などないと思っていたのだが、昨日の安倍首相が休校を要請するというニュースが出る前に会社から「来週から2週間、在宅勤務可能な人は在宅勤務をすること」という通達が来た。
しかしながら、在宅勤務は社内ネットワークにVPN接続可能な持ち出し用ノートPCを所有し、出先でメールチェックなどができ、製品開発をしていない管理職しかできない。開発の仕事自体もそうだが、メールチェックすら自宅でできないため、私は会社に来るしかない。しかし、管理職の連中は在宅勤務をするという。
在宅勤務を実施することで一流会社のフリをしたいらしいが、IT土方と呼ばれる下っ端のコマは出勤して、管理職は家でのんびり仕事。これほど腹立たしいことはない。

しかも出社する社員は時差出勤せよとのことで、8時半の始業時間が8時になった。たった30分繰り上げて何が時差出勤なのか。
私は元から始業時間の1時間前に会社に着く時間に家を出て、朝から大阪駅でポケモンGOをしたり、蔦屋書店で本を買ったりしているので30分繰り上げられてもどうということはないが、この30分という繰り上げ時間は適当すぎる決め方だ。始業時間を繰り上げる企業が結構あるため、全員が早く出たら混雑の緩和につながらないではないか。

時差出勤で混雑を避けて出社しろという指示のほかに、バカげた指示が会社からあった。
会議や飲み会の禁止は理解できる。それとは別に人と面会するときには2メートル以上離れるようにしろとあった。
2メートルの距離がどれほどか分かっているのだろうか。85インチの超大型4Kテレビの最適視聴距離が1.6メートルだ。2メートルなんておよそ会話に適さない遥か遠い距離に感じる。今日の昼、会社に出入りしている生命保険のオバチャンと話をしたが、机を挟んで面と向かって1メートルくらいしか離れていなかった。
こうなったのは恐らく、2メートル以内の距離での対面の会話が濃厚接触と定義されているからだろう。

【中国新聞】濃厚接触、2メートルが目安 (2020/02/26)

こうなるともう立ち話もできない。

会社の上司は「会社からの命令やから、オレは在宅勤務するわ」と言っていた。おのれは在宅勤務、下っ端は出社である。しかも「出社するときは感染しないよう十分気をつけるように」と言っていた。社員の誰かが感染するとほかの社員まで出社できなくなるので、業務に支障が出るというのが理由らしい。社員の健康ではなく、会社が回らなくなることが心配のようだ。
だとすると、これでもし自分が新型コロナウイルスに感染してしまえば、会社の業務を止めた戦犯扱いされるに違いない。ならば、陽性が分かっても無症状なら会社に行って戦犯にされることを回避しようと思う社員が出てくるかも知れない。
バカな会社がいいカッコして新型コロナウイルス対策を取ると、こんなことになる。これではかえって逆効果ではなかろうか。

勤務先で初めて在宅勤務が導入されたわけだが、管理職だけが家でのんびり仕事ができる在宅勤務なんてもんは、ヒエラルキーの下層に属する労働者に労働格差を感じさせるものでしかない。
これから2週間、下層の労働者である私は毎朝体温を計測し、在宅勤務している上司に連絡せねばならない。熱がないか上司が確認し、出社させるか判断するらしい。症状が出てから休んでも遅いと思うが、やらないよりはマシなのだろうか。
私は毎日5時20分に起きて6時の電車に乗っているので、せめてもの嫌がらせとして、毎朝5時半に上司に連絡することにしよう。

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新型コロナウイルス(COVID-19)の全世界の感染者数が2月13日に1万5100人という大幅増になった。これはPCR検査による確定診断の判定が出なくとも、CTスキャンで肺炎の症状が出ていれば感染者と認めると中国国内での基準が変わったせいだ。

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中国のこの決定は明らかに問題だった。統計の基準を変えてしまうとデータとしての信頼性が損なわれてしまう。実際、13日14日両日で2万1600人も増えたからか、この基準が見直されることになった。それも問題で、一時的に基準が変わり、元に戻るとますます分からなくなってしまう。
これを書いている時点での全世界での感染者数は8万2150人であるが、実際はもっと多いはずだ。中国では病院がパンクして検査はもちろん診察を受けられていない人が相当数いるはずだし、アメリカのような皆保険でない国では診察すら受けていない隠れ感染者がいるに違いない。
感染者の大部分は中国人であるが、中国の統計がいまいちアテにならないことを考えると、そこから致死率を計算したところで意味があるのかと思ってしまう。
中国で感染者がもっと多いのであれば、分母が大きくなるから致死率はぐっと下がる。

韓国ではここ数日で感染者数が爆発的に増えて1595人になった。イタリアでも数日で453人になった。
韓国と同様に地理的に中国に近く、中国人の出入りも多い日本がダイヤモンド・プリンセス号を除いて189人の感染者でとどまっているのは誰もが疑問に思うところである。

韓国の場合、大邱市の新天地イエス教会なる新興宗教の礼拝が原因で多くの信者に感染し、そこから市中感染が爆発的に広まった。
イタリアでは上海帰りの知人と食事をしたイタリア人が起点となり、そこから感染が広がった。普段マスクをしないし、手洗いなども適当な欧米人の間で感染が広がることは容易に予想できる。
日本では宗教の大規模な礼拝での感染がたまたま起きず、マスクなどの感染予防が広く実施されているから市中感染が思ったほど広がっていないと考えることができるかも知れないが、運よく偶然にそうなっていると考えるのはあまりにも都合がよすぎで、多分間違いだろう。

韓国では新型肺炎のPCR検査を1日に1万件も実施することができるという。それに対して日本では先月末までは1日300件、今月に入ってようやく1000件になった。
数日前の加藤厚労相の発表では、1日最大で3830件の検査が可能だという。それによると、17日までは国立感染症研究所400件、全国の検疫所580件、地方衛生研究所1800件だったが、18日以降は民間検査所5か所で900件、大学で150件が追加され、1日最大3830件なのだそうだ。

ただ実際は、本当にその数を検査できるのかは不明だ。厚生労働省が数日おきに発表している数値では1日100人から200人くらいが検査を受けているようで、26日までの検査人数は1890人にとどまっている。患者ひとりが複数検査を受けていることもあるため、実際に検査を何件やったのかは分からないが、現状で挙げられている3830件というのは希望的観測を込めた数値でしかなく、あてにされた民間の検査所や大学では疑問視する声が挙がっている。

韓国の場合、MERSで多くの死者を出したこともあり、検査体制が整っているという。日本は数合わせの強引な数値が挙げられているだけで、実績がなく心許ない。そのうえ、検査をなかなかしないという実態もあり、これでは単にPCR検査をしていないから感染者数が少ないと海外から受け止められても仕方がない。

新型コロナウイルスに感染しても無症状や軽症の人がかなりの数いるため、中国や日本では感染者の数字よりももっと感染が広がっていると考えるのが自然だ。韓国やイタリアの場合、確定診断された人の濃厚接触者がどんどん検査されて結果が出ているせいで数が増えているのだろうと思うのが普通だ。
イタリアは検査数を公表していないが、韓国ではこれまでに5万件以上の検査が行われている。さらに、新天地イエス教会の信者20万人以上にPCR検査を受けさせるとしている。

だから日本でも韓国のようにもっと検査をすべきだという声が挙がるのは当然かも知れない。多くの人がPCR検査を進めない厚生労働省や政府に対して「感染者数を低く見せるためではないか」と批判しているが、ことはそう単純ではないらしい。

26日(水)のYahoo!ニュースのトピックとして取り上げられて注目されたバズフィードの記事がある。

【バズフィードジャパン】新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの?  感染管理の専門家に聞きました (2020/02/26)


読んだ人が多いと思うが、記事の中にある「検査の感度(感染している人のうち検査結果が陽性となる人の割合)と特異度(感染していない人のうち検査結果が陰性となる人の割合)がトレードオフになる」とか陽性適中率に関する話が理解できない人がほとんどではないか。私も意味がよく分からなかった。
この検査の感度や特異度について、五本木クリニックの院長が詳しく書いており、それが分かりやすい。

【五本木クリニック】新型コロナウイルス感染をPCRで判定しても、様々な問題が発生する可能性があります。 (2020/02/19)

例に挙げられたダイヤモンド・プリンセス号の3700人の乗客乗員のうち、962人が新型コロナウイルスに感染して、2738人が感染していないと仮定する。
感度95%だった場合、962人のうち914人が陽性となり、48人が感染しているのに陰性と判定される偽陰性となる。つまり、この偽陰性の48人は感染していないと診断されてしまう。
特異度が95%の場合、感染していない2738人のうち2601人は陰性と判定され、137人は感染していないのに陽性と判定される偽陽性になる。この137人は感染していないのに隔離されることになる。

新型コロナウイルスのPCR検査に関する感度や特異度は分かっておらず、バズフィードの記事にあるように感度が30~70%であれば、そもそものPCR検査にかなりの問題がある。偽陽性の人が必要もないのに隔離されることはその人の運が悪かっただけでまだ許容の範囲だとしても、偽陰性を隔離しなければ感染拡大は防げない。
感度が100%でない限り、全数検査を行うことでかなりの数の偽陰性が出てくる。検査の数を増やせば増やすほど、偽陰性の人が増えるわけだ。
偽陰性であっても数週間にわたって誰とも会わず、どこにも行かなければいいのかも知れないが、実際にはそうはならない。自分に当てはめて考えてみるといい。念のために用心はしても、陰性と判定されているから会社員なら仕事に行く人はいるだろうし、専業主婦でもちょっとした買い物くらいはする。家族と同じ家にも住むだろう。

五本木クリニックの院長が「半可通の人が全数検査をしろと主張している」と批判めいた言い方をしているが、キヤノングローバル戦略研究所の専門家も同様の指摘をしており、「集団スクリーニングは対象をハイリスク集団に絞って行うべきである」としている。

【キヤノングローバル戦略研修所】新型コロナウイルス感染症との闘い ー 知っておくべき検査の能力と限界 (2020/02/12)

この専門家は、かつてエイズウイルス感染で社会不安が起きたアメリカの例を挙げ、偽陰性の問題があるからアメリカで集団スクリーニングを行わない決定があったとし、なんでもかんでも検査すればいいものではないという事例があるにも関わらず、メディアの報道にそれがまったく活かされていないとしている。

検査の精度を高めるために検査を受ける人を選別する必要がある。だから熱が続くとか、肺炎の症状が出て新型肺炎が疑われる状態になって検査対象となるわけで、「検査数を少なくして感染者を低く見せかけている」なんて話は陰謀論ではないか。
また、どんどん検査を実施する韓国について韓国人が自画自賛しているわけだが、感染者の炙り出しには功を奏しているものの、その裏で偽陽性と偽陰性の人をたくさん排出していることを思えば、それが正しいとは必ずしも言えない。
全数検査を主張する人たちは多少のブレが起こってもいいからやれと言うが、疫学的にはそのブレが問題になるわけであって、なんでもかんでもやりゃいいってものではない。

結局のところ、検査をしようがしまいが感染の疑いが晴れないので、感染の可能性が高い人は他人に感染させないようマスクをしたり手洗いを徹底するなどの策を取るしかない。感染の可能性が高くなくても同様だろう。
だからどちらかというとPCR検査体制の拡充に注力するよりも、厚生労働省などの役所はマスクの在庫確保に努めた方が賢明なのかも知れない。

「簡易検査キットを早く開発しろ」という話も出ているが、インフルエンザの検査キットのように特異度98%で感度60%ならば、偽陽性となる人は少なく済んでも、PCR検査以上の偽陰性の人をたくさん生み出すだけになるだけで、それが感染の拡大防止に繋がるとは思えない。

ここらへんの感度や特異度の話を含めた新型コロナウイルスに関する検査の特性を厚生労働省がちゃんと説明せず、メディアも単に不安を煽るだけだから、「全数検査をしろ」と騒ぐ人が増え、「政府の陰謀だ」などという話に発展するのだろう。
説明したところで理解しない人が多いかも知れないが、説明しないよりマシだろう。韓国を除き、シンガポールや台湾、タイ、ベトナムなどでこれまでの検査数が概ね1000~2000件にとどまっているのは疫学的な理由もあるわけだ。

国民をバカだと思って説明しないことは得策ではない。理解できない、あるいは理解するつもりがない人はどうせ騒ぐだけなのだから、放っておくしかない。そのかわりに理解する人が増えれば、その分説明をしたかいがあるというもんだ。
厚生労働省は後手後手に回っていると批判されるが、対応のもたつきや間違いがいくらかあったとしても、致命的なほど間違っているわけでもない。これまでの対応でもっとも大きな間違い、職務怠慢を挙げるとすれば、感染が疑われる症状が出ている人がPCR検査をなかなか受けられなかったことと、詳細な事情説明をしていないことではなかろうか。

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今日は高血圧治療の通院で総合病院の循環器科に行くため休みをとった。
医師に「どうですか?」と質問され、「変わりないです」と答えて血圧の測定結果を見せて2分くらいで終わる診察なのでわざわざ行くのが面倒なのだが、降圧剤を受け取るには診察が必要なので仕方がない。
待合所にいる人の数はいつもと同じくらいで内科に特に多いということもなかったが、消毒用ジェルがたくさん設置されていたので、病院を出るときに手を念入りに消毒しておいた。

その後、嫁さんと昼飯を食ってイオンシネマに映画を見に行った。平日の昼ということもあるが、イオンがいつもの平日より若干人が少ないような気がした。新型肺炎の影響なのだろう。

外に出歩けばそれだけ知らない人と出会う確率も高くなり、新型コロナウイルスをうつされる可能性も高くなるのは間違いなかろうが、何パーセントが何パーセントになるのかという話だ。家に閉じこもっていれば0%かも知れないが、引きこもりでもない限りそうできる人などいまい。
イオンに行って閉鎖空間である映画館で映画を見るなんて正気の沙汰じゃないと思う人もいるかも知れないが、私も嫁もそれほど気にはしない。むしろ、映画館が空いていてよかった。エアロゾルが感染経路になるとか言われているが、基本的に空気感染はしないし、むやみやたらとそこらへんを触らなければ特に問題もなかろう。

今日見た映画は「1917 命をかけた伝令」だった。第1次大戦の戦地フランスで、イギリス軍の最前線の隊に作戦中止の伝令をふたりの兵士が持っていくというストーリーだ。
正直なところ、ストーリーはあってないようなものだが、とにかく映像がすごい。アカデミー賞の撮影賞と視覚効果賞を獲得しただけある。最初から最後までワンカット(正確に言うとツーカットになると思うが)で撮影されていて、どうやって撮影したのか驚くような映像が多い。カメラがぐるっと回っても撮影クルーが一切映らず、主人公らが大きな水たまりを避けて歩くシーンではカメラが水の上をスムーズに移動していた。

ワンカット撮影でいうと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」という映画があったが、「はぁ?」というような内容だった。ワンカットで撮影する意味あんのかと思ったが、「1917 命をかけた伝令」はワンカット撮影が映画に妙なリアリティと緊張感を与える。映画の途中で爆弾が爆発するシーンがあるのだが、そこまでの緊張感と突然の大音量でのけぞるほどビックリして、口にしていたコーヒーを吹き出しそうになった。

2018年のPS4のゲーム「ゴッド・オブ・ウォー」も最初から最後までずっとワンカットでカメラがパンしたりズームしたりするすごい映像だったが、あれはゲームだからできることであって、実際の映像でやるのは本当にすごいと思う。
ストーリーはどうということはないが、映像は見る価値が十分ある。家で見るよりかは劇場で見た方がいいかも知れない。

この「1917 命をかけた伝令」は、先週までイオンシネマの一番大きなスクリーンで上映されていたのだが、今週から小さいスクリーンになってしまった。
ネットで座席を取るとき「なんでやねん」と思ったが、代わりに一番大きいスクリーンに入っていたのが「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」という邦画だった。
前から思っていたのだが、イオンシネマのようなファミリー向けシネコンはクソみたいな映画を一番大きいスクリーンで上映し、上映回数も多くする。見てもいないのに批判するのは問題あるかも知れないが、落としたスマホからいろいろ知られて殺人事件に巻き込まれるとかいうアホみたいな映画を誰が見るのか。

そう不満を漏らしたら、嫁さんが「高校生とか大学生は見るんじゃないの?」と言う。私が高校生でも「1917 命をかけた伝令」の方を見たいと思う。しょーもない邦画なんか金をもらっても見る気が起きない。
「じゃあ、大学生のカップルがいたとして、デートで映画見に行くのにスマホを落とした映画選ぶか?」と訊くと、嫁さんは「戦争映画よりそっち選ぶ人が多いんじゃないかな?」と言う。
スマホを落とす映画が一番大きいスクリーンで、一番回数が多く上映されるのだから、本当に戦争よりスマホの映画を選ぶ人が多いのかも知れない。
日本のその現状にゲンナリする。

日本映画が落ちぶれて久しいが、それはスマホを落とした映画を見たいと思うような観客が多いため、国際映画賞に出しても絶対に賞を取れないような映画が量産されるのだろう。
つまり、日本映画の程度が低くなったというよりも、観客のレベルに合わせてしょーもない映画が多く作られるようになったということではないのか。クソみたいな邦画でもそこそこ見に行く人がいるから、そんなクソみたいな邦画が量産される悪循環である。

洋画にもゴミ同然の映画がたくさんあるが、少なくとも良作や面白いと思える映画がたくさんある。最近の日本の実写映画でいい作品や面白い作品と呼べるものがどれほどあっただろうか。韓国映画が世界で評価され、日本の映画がされないのは日本の観客が甘やかしているからである。
映画館をあとにしながらつくづくそう思うのであった。

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年末年始に台湾の台南市に滞在中、行きたいドリンクスタンドがあった。緑豆スムージーの店で、現地で大変な人気だという。緑豆はもやしの原料となる豆で、中華圏では甘く煮て食べる。風味や食感があずき(紅豆)と大体同じだ。
その店が毎日11時から18時というバカげた時間しか営業しておらず、平日に行くことは絶対に無理だったので休日にわざわざ買いにでかけた。

一番人気が「緑豆沙牛奶」で、日本語でいうと「緑豆スムージーミルク」だ。それにタピオカをトッピングするために「緑豆沙牛奶加珍珠」と注文した。
片仮名で書くと「リュウドウシャーニューナイ ジアチェンジュー」だ。適当な発音でも伝わったようで、頼んだものが出てきた。
台湾の飲食店は注文時に手元で指差しして注文できるメニューを置いていない店がよくあり、外国人にフレンドリーではない。そのわりに、店の壁に商品のラインアップが張り出してあり、ご丁寧に日本語と英語の訳が書いてある。

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それを見ると、「緑豆沙牛奶」は「緑豆沙に牛乳を混ぜたもの」、「紅茶牛奶」は「紅茶に牛乳を混ぜたもの」、「紅茶豆漿」は「紅茶と豆乳を混ぜたもの」と書いてある。意味は分かるが、モヤモヤする違和感の感じる翻訳だ。
「緑豆沙牛奶」は「緑豆スムージーミルク」、「紅茶牛奶」は「ミルクティー」、「紅茶豆漿」は「豆乳ティー」でいい。日本人としては「混ぜたもの」という表現に違和感を感じてしまう。

こんなものはマシな方で、店によっては客が日本人だと分かると日本語メニューを出してくれるところがあるのだが、日本語がデタラメすぎてむしろ中国語のメニューをもらった方がいいと思うことが多い。事前にネットで頼むものを決めてきたのに、日本語メニューを出されると頼もうと思ったのがどれなのか分からなくなったりもする。

ただまあ、そういうのも外国での楽しみのひとつのようなものであり、飲食店でいろいろ苦労するくらいどうってことはない。
中国語話者が日本の飲食店で奇妙な中豪語メニューを見ることも多いだろうし、個人の飲食店がGoogle翻訳などを駆使してそれっぽく翻訳したものを用意して何が悪いという話だ。親切心でやっているという気持ちだけ受け取っておけばいい。

ところがそれが行政になってくると話が変わってくる。日本の行政はイケてない役所ばかりなので、外国人観光客の誘致を謳っておきながらマトモな翻訳をしていないところが多い。

今月始め頃、毎日新聞が厚生労働省の新型肺炎に関する情報ページの外国語翻訳がデタラメすぎると記事にしていた。厚生労働省のホームページは左上にある言語切替で日本語以外を選択すると、「機械翻訳します」という断りが表示され、機械翻訳されたページが表示される。
新型肺炎に関する情報もそれだったので、誤訳がたくさんあってかなり問題だった。

【毎日新聞】厚労省HP、新型肺炎の外国語情報で誤訳多発 「手洗い重要」が「トイレ重要」 (2020/02/25)

毎日新聞の指摘があったせいか、今では英語と中国語のページだけ用意され、言語切替で韓国語に切り替えるとトップページ飛ばされるようになった。

【厚生労働省】新型コロナウイルス感染症について

本来なら厚生労働省のホームページなんか誰も見ないから、外国語対応に機械翻訳を用いて手間を省きたい気持ちは分かるが、新型肺炎の情報もそれに頼っていたのはまずかった。
Google翻訳の経験則でいうと、英語の翻訳はまあまあよくできているが、中国語はめちゃくちゃヤバい。まともに翻訳できないことがほとんどだ。厚生労働省の機械翻訳とやらがどのシステムを使っているのか知らないが、多分似たようなものだろう。

以前にこのブログで書いたが、Google翻訳を使って「秒」という中国語を日本語に翻訳すると「第二」と表示される。
実際は日本語と同じ「秒」という意味で、芸能人のSNSのコメント欄に「1getズサー」と同意の「速攻でコメントしたった」の意味で「秒」と書かれる。「第二」という意味はない。
「第二」となるのは、Google翻訳で中国語の「秒」を翻訳すると、一旦英語の「second」となり、それが日本語に翻訳されるせいだと思われる。中国語から直接日本語に翻訳するのではなく、英語で仲介されるためこんなことになる。
一旦英語が入るせいで、Google翻訳で中国語を日本語にするとめちゃくちゃになり、英語がチラホラ出てくることになる。

機械翻訳というのはその程度で、ひとつも信用ならない。にも関わらず多用されるため、日本でいろいろ恥ずかしいことが起こる。
道路標識にある英語の翻訳もデタラメなものが多いし、新国立競技場の英語もメチャクチャすぎるとの指摘があった。

「HELLO, OUR STADIUM」新国立競技場の妙な英語──これで東京五輪を迎えるの?【ニューズウィーク】「HELLO, OUR STADIUM」新国立競技場の妙な英語──これで東京五輪を迎えるの? (2019/12/26)

記事にあるが、「私たちの新しいスタジアムにようこそ」と書きたかったのに「HELLO, OUR STADIUM」としては、私たちのスタジアムにハローと挨拶しているようにしか読めない。C言語の入門書で最初に「hello, world」とprintfしましょうというのが出てくるが、そのノリだったとしてもOUR STADIUMではおかしいと指摘されている。

日本では中学や高校で何年英語を勉強しても、まったく英語が身につかないという問題がある。仮に話せるようになったとしても、「the under button」ではおかしいと感じ、「the button below」と表記しようとはならないだろう。
「under」の使い方は論外としても、英語など外国語の細かいニュアンスなんぞ分かるわけがない。

私はソフトウェア開発者として自分が関わった製品の解説書を書く。日本語はいいとして、問題は英文解説書だ。機械翻訳してもメチャクチャになるのは分かっていたので、日本語版を完成させて外部に翻訳を出したことがあった。1ワード何円と決まっていて、100ページ超の解説書の翻訳に50万円もかかった。
ところが、50万円もかけたのに、アメリカから「意味がよく分からない」という指摘があった。翻訳代行業者は技術用語に疎く、専門的な言い回しの翻訳も慣れていない。だからもっと金を出して技術系翻訳が可能なところに翻訳を出すべきだったのかも知れない。50万円で翻訳して「意味が分からない」と言われたら、何のために翻訳したのかバカバカしくなってしまう。

現在は英語ネイティブと同じくらい英語ができる人を会社で雇い、その人に翻訳を頼むときに技術用語が変に翻訳されないように注意書きを付けるようになった。中国人は何人かいるので、中国語についてはおかしなニュアンスがないかチェックして貰っている。

結局のところ、外国語への翻訳はネイティブに確認して貰わないとおかしいか、おかしくないかという微妙なニュアンスは分からない。行政は山ほど税金を使うくせに、外国人を雇ったりお願いしたりする金をケチる意味が分からない。伝わらなかったり笑われる訳を付けるくらいなら最初からない方がマシとは思わず、「ないよりマシやろ」という中途半端な考えが幅を利かせてしまう。
日本の行政は、学校教育で習った英語なんぞ屁の突っ張りにもならないこと、人に見える部分には金をかけなければならないことをそろそろ学ぶべきだと思う。

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日本で新型コロナウイルスの市中感染が広がっているため、台湾の大手企業で外国人は台湾に来てから2週間は出入り禁止という措置が広がっている。台湾に滞在している日本人は長期停留可能な就労ビザを取得せずに90日ごとに一時帰国している人が結構いるのだが、そういう人たちが台湾の企業に入れずに困るケースが増えてきた。
中国人と違って日本人や韓国人を入国禁止にしなかったり、台湾人医師の出国を禁止した台湾政府に批判が集まっており、そのうち日本人が台湾に行けなくなるかも知れない。

タイでは中国に加え、香港、シンガポール、日本、韓国から来た人に対して公共の場に行ったり、公共交通機関の利用を控えるよう要請が出た。空港や電車を使わず、観光地にも行くなということであり、実質的に観光客は来てくれるなという入国禁止に近い。

こういう措置が広がることを考えると、夏くらいまで海外旅行の予定を立てないほうがいいだろう。海外でバイ菌扱いされており、いつ入国禁止になるか分からず、旅行費用と時間を損をする恐れがある。
国内に目を向けても、人が集まるところに行けば感染の可能性が僅かに高くなる。人が大勢集まれば、その中に感染者がいるかも知れない。感染者が触ったところにウイルスが付着し、それを自分が触ってしまうかも知れない。そうなっても顔を触らなければ大丈夫だろうが、花粉症のこの時期、目や鼻に触ってしまうことも多くなる。そういう可能性を考えれば、人混みを避けた方がいいのかも知れない。

個人的にはあまり感染の心配はしていない。私は普段から風邪の予防を心がけていて、風邪をそれほどひかないからだ。
というのも、社会人になってから急に気管支が弱くなり、風邪をひくと気管支炎を痛め、空咳だけが残る咳喘息になることが多かったからだ。咳喘息になると空咳が止まらなくなり、非常に苦痛だ。咳喘息と診断する医師が少なく、咳止めでは治らない。喘息の吸入器を1週間ほど使用すれば収まるのだが、苦しい咳喘息になるのはゴメンだと思うようになって、冬の時期は極力風邪をひかないよう心がけるようになった。

大人は普通に風邪予防をやっていればよさそうだが、問題は家に年寄りがいる場合で、年寄りは新型肺炎での死亡率が高い。
そもそも、年寄りと肺炎の相性は悪く、病院では肺炎球菌による肺炎ワクチンの摂取を呼びかけている。肺炎球菌感染症での死亡率は19%とされており、うち7割が65歳以上の高齢者だから、新型肺炎で70代で8%、80代で15%となるのは当然なのかも知れない。

肺炎球菌感染症の感染者数は毎年3000人以上、死亡数は200人に近いのに、それや季節性インフルエンザを気にせずに新型肺炎だけ気にするのは変な話ではあるが、年寄りが死ぬとテレビでけしかけられたら不安になるのは当然だろう。
祖母が特養の老人ホームに入っているが、そのホームでは12月くらいから基本的に面会禁止になっている。インフルエンザの時期になるといつもそうで、それが続いているために新型肺炎の予防にもなっているだろう。

そういうホームに入っていない年寄りがいる家庭は、本人と家族が感染しないよう心がけるしかない。これまでの症例を見ると、家族が感染して同じ家に住むと家族全員に感染することが多そうだ。
だとすれば、そういう注意が必要な人は感染しないようあちこち行かない方がいいだろう。休日は家に閉じこもっているとよい。

幸か不幸か、人の移動が増えて感染症が爆発的に広がるようになったこの時代、家に閉じこもっていてもいろいろ暇つぶしができるようになった。ゲームソフトはオンラインで購入できるし、オンラインで対戦もできる。映画を見たいなら、レンタル店に行かなくても動画配信サービスでオンデマンドのストリーミング視聴ができる。

元々出不精の私は、飼い犬が死んで外に散歩にも行かなくなり、休日はもっぱら家でテレビを見ている。録画したテレビ番組やケーブルテレビ、アマゾンのプライムビデオである。NETFLIXに入ろうとも思っていたのだが、ケーブルテレビやプライムビデオだけで見たい映画や海外ドラマが山ほどあるので区切りが付かない。
やしきたかじんはテレビとビデオのセットを5つとか6つ持っていて、録画した番組を複数同時に見ていたらしいが、テレビ番組を見ながら手元のタブレットでストリーミング視聴するなどせねばならないかも知れない。

最近、プライムビデオで面白いと思ってみているのがアメリカのドラマの「ベイツ・モーテル」だ。ヒッチコックの「サイコ」の前日譚を現代のドラマにしたもので、5シーズン全50話で完結している。サイコを知ってれば、主人公とその母親が最後どうなるのか分かるはずだ。マザコンで性的倒錯者である若い主人公がどんどん壊れていく様子が実に秀逸だ。ヒステリー持ちの毒親を演じるヴェラ・ファーミガも素晴らしい。日本語吹き替えで見ているのだが、吹き替え声優も完璧。

それと同時に視聴を進めているのが「ビッグバン☆セオリー」だ。「フレンズ」のように笑い声が入るシットコム(シチュエーションコメディ)で、シットコムは苦手だったのが、見ているうちにだんだん慣れてきて、笑えるようになってきた。どいつもこいつもわざとらしい変なヤツばかりなのだが、それを繰り返しみているとお笑いの定食のように感じてきて、吉本新喜劇を見ているかのようになってくる。
1話完結で20分なのもちょっと見るのにちょうどいい長さだ。

それ以外に、ケーブルテレビで「ウォーキング・デッド」がもうすぐ最新シーズンの後半が始まるし、「ミスター・メルセデス」のシーズン2も録画しているで見ないといけない。
こんなのを見ていたら休日にでかける余裕などない。通勤時にダウンロードしたものをタブレットで見ているが、全然間に合わない。

映画やドラマの動画配信サービスは究極の暇つぶしだと思う。これがあれば家にいても退屈しないし、クルーズ船で隔離されていても退屈しのぎになっただろう。昔なら2週間も隔離されたら暇すぎるストレスに耐えられなかったかも知れない。ある意味、いい世の中になったものである。

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