昨日29日(火)にMSN産経ニュースに掲載された経済コラムはかなりの辛口だった。
Yahoo!ニュースやITmediaなどのニュースサイトにも転載されたから読んだ人も多いかも知れない。

【MSN産経ニュース】 「ポストiPhone」生み出せぬ日本メーカーの末期症状…いまだ高画質TVに固執する経営者たちの“無能” (10/29)

次世代の高画質映像に対応した4Kテレビ、さらにその次の世代の8Kテレビについて、今のフルHDの高付加価値版だとして、そんなテレビに固執するパナソニックやシャープなどの日本の家電メーカに苦言を呈している。

前に書いたが、私は4Kや8Kに期待している。テレビがアナログからデジタルに変わる時期に、「アナログで十分」などと言っていた人が結構いた。目が悪いジジイはそうかも知れないが、どう考えてもSD画質のアナログ放送より、フルHDのデジタル放送の方がいい。私はテレビ好きなので、高画質のワイド画面で見たい。

4Kや8Kもそのときと同様に、「そんなにキレイな画質で見る必要のあるテレビ番組なんかないから不要」などと言ってるヤツがいる。そいつは映像がテレビしかないと思っているのかも知れないが、家で見る映画も超高精細の映像で見たいと私は思う。

そこは価値観の違いかも知れないが、4Kや8Kが今のフルHDの単なる高付加価値版とは思えない。付加価値で済ませられるような技術であろうか。

このコラムを書いた記者は、「テレビなんか将来がないから固執せずに捨ててしまえ」と言っているに等しい。そんなもん、これまで積み上げてきた歴史や経験がある企業に気軽に言えるもんじゃない。
寧ろ、今はやりの「選択と集中」と押しつけるのであれば、これまで得意だった家電にさらに集中するのはいいことではなかろうか。

パナソニックやシャープが失敗した原因は、調子に乗りすぎてパナソニックが尼崎に巨大なプラズマ工場を、シャープが堺に超巨大な液晶パネル工場を作ったことにある。
だからといって、4Kテレビや8Kテレビを適当に開発して何とかなるような甘いもんじゃない。
今から研究開発を行い、製品をリリースし続けることで、低価格化のノウハウを蓄積でき、東京オリンピックなどで4Kテレビが注目された頃に一気に攻勢をかけることができる。
ちんたらしていたら、サムスンやLGのような韓国企業にまたやられてしまう。4Kテレビで一発逆転は十分にあり得る。

さらにこの記者は、何年かに一度はライフスタイルを変えるような製品をリリースできる体制にしろと気軽にいう。しかも、家電メーカではないAppleのiPhoneを例に挙げて。
ソニーのウォークマンのような革新的製品など、なかなか出るもんじゃない。しかも、Appleが売れているのは、革新的な製品を出しているというよりも、どちらかというとデザインや独自OSの使いやすさなどではなかろうか。
革新的な製品を出せないと製造業の魅力も未来もないという。だとしたら、韓国や中国のクソみたいな製造メーカはどうして生き残っているのか。

どう考えても、日本の企業は最先端の製品開発プラス、付加価値ゼロの低価格製品の開発と販売のふたつに注力すべきであって、単純に革新的な製品を出せとか言っている場合かと思う。具体的に革新的な製品とはどんなものなのか。いろんな新製品が出ているが、それが革新的でないということだから、どんなものか教えて貰いたい。

文句だけ垂れるのは簡単だ。文句があるのなら代案を出すなり、何か提案すればよさそうなもんだが、何もない。
しかも、それを家電業界が遅れていると、未だに紙媒体の宅配に固執する新聞業界がいうのだから、目くそが鼻くそに文句を言っているようにしか見えない。産経新聞はまだネット分野ではほかの新聞より進んでいるが、新聞社ほど旧態依然としている会社はなかろう。
くだんのコラムを読んだパナソニックやシャープの社員たちは、「お前が言うな」と思っているのではなかろうか。