クリント・イーストウッドが監督した映画「硫黄島からの手紙」はよかった。
ストーリーもよかったのだが、何よりよかったのが日本兵が人間として描かれていたからだ。栗林忠道陸軍大将を始めとする日本兵が主役の映画で、日本兵たちは家族のため、祖国のため、悩みながら自らの命をなげうって戦闘に参加していた。

これまでのアメリカ映画は、第2次大戦ものだと敵国としてナチスドイツがよく出てきたが、ドイツ人はちゃんと人間として描かれていた。ドイツ人は白人だからだ。
一方、日本を敵国として扱った映画では、日本人が「バンザイ」など叫びながら自爆したりだとか、何を言っているか聞き取れない不明瞭な言葉で喚き散らして、トーチカで米兵に焼き殺されるとか、そんなのばかりであった。
まるで、「非白人の日本人は人間に非ず、畜生なり」と言われているようだった。

中国人監督のジョン・ウーによる「ウインドトーカーズ」も、日本兵がバカみたいな感じで描かれていて、見ていて不愉快だった。
アメリカ人は、ドイツ人は賢く、日本人はバカと思っているのだろう。

戦争に負けたのだから、日本が敵国として戦勝国の映画に出てくるのは仕方がないと思う。
ただ、ちゃんとした人間として描いて欲しいのに、どうしてもそうはならない。

アメリカ映画より酷いのが、中国の抗日ドラマである。
中国では毎日どこかのケーブルテレビのチャンネルで放送していて、チャンネルを回せば抗日ドラマが見られる。
これまでにのべ10億人の日本兵が、中国共産党の兵士に殺されているそうだが、第2次大戦中に日本がシナで主に戦っていたのは、蒋介石率いる国民党軍であり、最初の設定からウソばかりのドラマである。

その抗日ドラマに登場する日本兵は2パターンしかない。
ひとつは、めちゃくちゃ残忍な日本兵。中国人民や中国兵の捕虜を残虐な方法でいたぶり、殺す。
もうひとつは、めちゃくちゃバカでマヌケな日本兵。中国人視聴者に嘲笑される役割だ。
いずれにしても、最後は中国兵にぶち殺されて終わる。毎回毎回同じパターン。日本の子供が見る戦隊モノの番組と同じで、分かりやすい悪役を、正義の中国共産党軍がやっつけるという話ばかりだ。

 

 日本兵は真っ二つにされて殺される。これを見て、大人も子供も喜ぶ。

 

日本兵は残忍でバカで醜い反面、八路軍(中国共産党軍)の兵士は美男美女揃い。

 
日本人への劣等感が、このようなドラマを量産させ、ワンパターンでもそれを見て中国人が喜ぶのであろう。
国民党軍にせよ、共産党軍にせよ、日本との戦闘で互角以上に渡り合えたことなんかなかった。日本軍から逃げ回り、ゲリラの便衣兵として卑怯な方法で日本兵を殺す内容では爽快感が得られないから、中国兵がありもしない大活躍をするのだ。

そんなバカみたいな内容のドラマを見続けたら、中国人はバカになる。実際バカになっていて、虚構と現実の区別が付かなくなっているのだろう。
そうでもなければ、反日デモのとき、ショッピングセンターを歩いていた日本人を殴りつけたり、ラーメンの汁をぶっかけたりなんてことはできないだろう。

中国人がバカになり、勝手に暴れるのは別に構わないが、抗日ドラマで恐ろしいのが、骨の髄までそのドラマに染まった連中が出てくることである。
テレビ番組のインタビューで、中国の小学校低学年くらいのガキが、「テレビのアニメ番組は見ません。毎日抗日ドラマを見て、日本との戦争に備えています」などと大マジメで応えていた。
そんなヤツが大人になったら、日本は何をされるか分からない。
日本人だからという理由で殴られたり、ラーメンの汁をかけられるくらいでは済まないだろう。「地球上から日本人を消し去ってしまえ」などと言い出しかねない。実際、そんなことを言っているヤツがいる。

人民日報が荒唐無稽な内容の抗日ドラマに対して苦言を呈したらしいが、さすがの中国政府も、こんなバカ製造機のようなテレビ番組ばかり放送していても、大したプラスにはならないと考えているのだろう。
人民の思想は、教育と共産党の報道でのみ制御すればいいと思っているのかも知れない。
それはそれで恐ろしい話なのだが。