新華社の報道によると、中国の商務省がTPPに参加する可能性があるかを分析しているらしい。
どうやら、アメリカを中心として、日本を取り込んだ環太平洋地域の協定が中国抜きで結ばれることを危惧しているらしい。
「日本の旨味をアメリカに持って行かれてたまるか」と考えているのかも知れない。

分析するのは結構だが、中国がTPPに参加できる可能性はゼロだろう。それは間違いない。
高い貿易の自由度が求められるのも理由のひとつだが、共産党一党独裁体制による制約だらけの中国は、"非関税障壁"に引っかかりまくるはずだ。

非関税障壁は、関税以外の方法で貿易を制限することであるが、中国には山ほどある。
例えば、中国では日本の出版物やテレビ番組などが著しく制限されている。しかも、単に共産党政権にとって都合が悪いというだけの制限だ。こんな制限があっては、日本の貿易に不利益である。だから、TPPにおいて問題となりうる。

それ以外にもっとも大きな問題となりそうなのが、中国のネット検閲だろうか。金盾(Great Firewall)と呼ばれる中国のネット検閲システムは、著しく言論の自由を損害している。中共の強制力がおよばないSNSは軒並みアクセスできないようになっているから、中国では普通にTwitterもFacebookにもアクセスできない。YouTubeで動画も見られないし、写真共有サイトFlickrも見られない。
検索サイトで使えるのは、中共のお許しを得たサイトだけ。
最近では、LINEにNGワードが多く登録されたとして話題になった。

こんなNGだらけの国がTPPに参加できるわけがないのである。
だが、中国は自分たちがTPPに参加できないことで不利益を被ることがあるため、それがガマンならない。
中国人の性質として、自分だけ損をすることは容認できないのだ。それが国家の姿勢にもよく現れている。

中国人にはマナーやモラルというものが育たない。自分が社会の決まりを守り、他人を尊重すると損をすると考えるからである。

中国人が交通機関や店などでマトモに並ぶことができないのは、自分だけ大人しく列に並んで待っていたら、横入りしてくるヤツがいるため、自分が損をすると考える。割り込まないと損だと考える。
自分だけ道端に痰を吐かず、ゴミもポイ捨てしなかったら、ほかのヤツはやっているのに自分だけ損をする。

こういう考え方のヤツがたくさんいると、収拾が付かなくなる。日本に留学したり、日本企業に就職した中国人は素養がいいため、そういうことをしないのが殆どだが、中国人の多くがマナーのなっていないヤツばかりなので、中国国内でも、中国国外でも、めちゃくちゃになる。

国外での中国人の傍若無人な振る舞いに、さすがの中国政府も国民に苦言を呈した。「痰や唾を吐くな」「ポイ捨てするな」「列の順番は守れ」「落書きするな」などなど。
今さら中国政府が中国人に対して何か言ったところで遅すぎる。これまで何千年、他人のことを顧みない生き方をしてきたと思っているのか。

そもそも、中国政府がこんなことを言い出したのも、海外で中国人に対する悪評がどんどん増えているからであって、それをヘンなプライドが許さないここと、結果的に自分たちの損に繋がるからだろう。
他国から悪く言われず、評判も下がらなければ、どれだけよそ様に迷惑をかけようがお構いなしに違いない。

いつまでもチャイナ・クオリティでやっている中国人が、TPPに参加することなんか夢のまた夢、海外でいい評判を得ることはもっと難しい。
それもこれも、自分たちのことしか考えない中国人自身のせいだ。さもなくば、中国の新聞が、「中国人の海外旅行者は海外で金を遣っているのだから、少々のマナー違反は海外の人間が慣れるべきだ」などと主張できまい。

「俺たちが変わるのではない。お前たちが変われ」―― それが中国という国である。